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見ようぜ『ファンタスティック・プラネット』

こんにちは。
此島このもです。

今日はスーパーおもしろ映画『ファンタスティック・プラネット』をご紹介します!

なぜなら今アマゾンプライムビデオでセールになっていてレンタル100円だからです🕺


この映画の感想は、端的に言うと「こわい」「不穏な感じ」「だけど気になる」でしょうか。

主人公は赤い目を持つ青い肌の宇宙人が支配する星に住むちっぽけな人間です。
(正確に言えば彼らは自分の星に住んでいるだけなので宇宙人ではないんですけれど、想像しやすくするために宇宙人と呼びます。人間は映画内でも人間と呼ばれています)

人間は宇宙人の手のひらにすっぽり収まるくらい身体が小さく(もしくは宇宙人が大きいとも言う)、主人公は宇宙人のペットとして成長します。

その後脱走して野良の人間としてサバイバル生活をスタートさせるのですが……

まず、もうペット時代から世界観がキツいです。


宇宙人たちは自分のペットである人間をそれぞれ持ち寄って戦わせたり、首輪をつけて引っ張ったり玉乗りなどの芸をさせたり、人間が他の生き物に対して行う残酷な行為を鏡で見せられているようなのです。

冒頭、悲痛な顔で逃げ惑う女性が出てきますが、巨大な指ではじかれ進行方向に障害物を置かれてしまいます。虫に対して同じことをした覚えがありすぎました。

そして人間に対する残虐行為の合間に挟まる宇宙人の生活。その気持ち悪さもこの映画の気になるポイントです。

瞑想を行うと瞳から光がなくなって、魂?が赤い球体の中に入ってフワフワ浮かんでどこかへ移動するとか、

また別の場面の瞑想では身体がグニャグニャに変形して形が保たれないとか、

天井からぶら下がる黄色い雲みたいなものを口から吸い込む食事?とか。


私が『ファンタスティック・プラネット』を初視聴したのは子供の頃でした。

実家のテレビで見たことを覚えています。日本語字幕の映画ですが当時見ても意味のわからない単語がありましたし、内容はこわいし、ビビりました。しかしそれでも強烈に惹きつけられて結局最後まで見てしまいました。


その「気になる」ポイントが先ほども述べた

  • 人間が他の動物に行う残虐行為を鏡で見せられている感じ

  • 宇宙人がなんかキモいけど何をしているのか不思議で気になる

に加えて、

  • 主人公がどうなるのか先が気になる

があります。

こんな残酷な世界で果たして主人公に安息の地はあるんだろうかとすごく気になってしまいます。

主人公の男の子は勇敢で賢く、飼い主の女の子が使用する学習装置を使ってどんどん知識をつけていきます。

そしてついに学習装置を持って逃走。

野良人間となります。


野良人間には野良人間のコミュニティがあり、宇宙人の言葉が読める主人公は有用な人間として迎え入れられます。

何故なら宇宙人は物資を盗む野良人間を快く思っておらず、駆除のための罠をしかけているからです。

主人公は書いてある文字を読んで罠だと気づくことができます。

仲間として迎え入れられた主人公は学習装置を使って人間たちに知恵を分け与えました。

そのおかげで人間は自分達の一斉駆除作戦に気づくことが出来るようになります(何種類も出てくる人間を殺すための装置や人間を食べる巨大な動物等もこの映画の見どころです。ホラー映画みたいですね)。

更に、一斉駆除から逃げ延びた人間たちは協力して宇宙人を殺すことすらしてしまうのです。


このあたりも気になるポイントです。「人間が他の動物に行う残虐行為を鏡で見せられている感じ」と上で述べましたが、ここに来て「人間が虐げてきた生き物から復讐される」展開になるのですよね。

罪悪感がチクチク刺激されるなあと思って見ていたらそこから一転してこっちが殺される立場になるのです。

宇宙人を地球における私たちだと思って鑑賞していると「他の生き物に残虐行為をした挙げ句復讐される」展開になり、かといってこの映画で身体が小さくて虐げられている方の人間を私たちだと思って見ると「大きな生き物に弄ばれ殺されまくる」話になります。

どちらも恐怖です……。

だって想像してみてくださいよ。野犬が知恵をつけて人間の罠をかいくぐりこちらを殺しに来たら? いえ野犬なら身体の大きさが違いますね。人間と宇宙人の大きさの差は私たちからするとトノサマバッタくらいです。どうでしょう。いつでも踏み潰せると思っていたトノサマバッタに殺されるのって怖くないですか。

でも怖いからこそ目が離せなくなってしまうのですよね。


映画の最後には、宇宙人の謎の生態が明らかになります。それは彼らの重大な秘密です。

度々映画に登場する瞑想に関わる秘密であり、それが私の想像もしなかった効果を持っていたんですね。

その、最後の最後まで宇宙人がミステリアスで全く人間と異なる生き方をしていること、それが一番の魅力だと私は思います。

ただ残酷で人間が死にまくっているだけの映画じゃないぞというところですね。



最終的に宇宙人と人間は和平交渉に入り協力して文明を発展させます。

実際の人間社会を見る限り、虐げていた方と虐げられていた方が和解しようとしてもなかなかうまくいかないものだとは思いますが、一応めでたしめでたしで終わります。

ですのでそこは子供の私には好印象でした。怖いけど、先が気になって見ていたらハッピーエンドになる映画。

何年も経ち大人になってあの強烈な映画はいったい何だったんだろうと何度も思い出しました。
一度しか見ていないのに映画のフランス語が耳に残っていて、のちに別のフランス映画を見た際にあの映画と同じ言葉だとすぐ気付いたほどです。

ある程度怖かったりグロテスクなものの方が記憶に残りますよね。

配信されているのを知った時はとても嬉しかったです。

普通のアニメ映画とは一味も二味も違う興味深い内容なので是非見てみてください!!

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