どうやら、大人になるのが早すぎた

最近、常に一緒に居る女友達が2人いる。


大人になって親友なんて出来ると思っていなかったので、
新天地で仲良くしてくれる人がいることは恵まれている以外なんでもない。
3人で作ったグループLINEはおはようから始まり、仕事が終われば自然と報告し合う。
恋人にすら、そんなマメには報告しない。

2人は元々同じ会社だった人で、NちゃんとFちゃん。今はバラバラな生活をしていて、活動時間だって全く違う。
それなのにくっついているのは、共通点があるから。
私たち3人はどうにも生きるのが下手なのである。

私が元彼に浮気されていた時、友達には散々「貴方以上の出来事に遭った人は周りに居ない」と言われていたのに、この2人はそのハードルを越えてくるほどに様々な出来事にぶち当たる。
その度、共に飲み明けて支えあっていた私たち。
ハプニングの度に結束を固め、今や一緒に住んでも変わらんのでは?というくらい常に一緒に居る。
心の拠り所でもあるし、このまま依存してしまったら危ないと思う程の安心感もある。
例えるなら【たられば娘】のような結束感だ。

私たちはいつもお酒を呑みながら「ルームシェアをしたい」と口走る。

「もう、いっそマンション買ってみんなで一緒に人生を送っては??」

3000万円、3LDKのマンションなら、みんな働けば意外と容易いかもしれない。

Nちゃんは働くのが好きなので、代わりに2人が多めに家事をしよう。
なんだか丸く収まりそうだ。

何故恋愛はこんなに下手な私たちなのに、この3人なら上手くやっていけるのだろう。

私たちはあーだこーだと言いながら、最終的に同じ結論を口にする。

「東京に行きたい」と。

不思議なもので、若い頃さほど魅力に感じなかった東京が、今は3人とも夢の世界だと思っている。
若い人が夢を追いかけるイメージだったが、私たちにとって東京は「身を潜められる土地」と化しているのである。

性格もバラバラだけどみんな足りなくて、足りない部分を補い合っている。
私たちは3人集まってようやく一人前なのだ。

生きづらさに揉まれ、真面目が故に損をして、小さな街に住むには疲れてしまった。

東京は、人も多いから埋もれるのには丁度いい。東京の人たちはきっと周りのことなんて気にしていない。
誰も私たちなんて見てないよ。
30過ぎても入れる会社は沢山あるし、
結婚しなくても受け入れてもらえる。

それが私たちにとっては心地良い。
都会に紛れたい。
社会に適応しなければ後ろ指をさされる気がする、
そんな街では息ができない。

しかし私たちは、それを現実には出来ないことを知っている。
根底には「どうせみんな、いずれ結婚するでしょう」と思っているからだ。
結婚によって今の自由が奪われることも気付いているのに、
結婚という夢も諦められない。
少なくても私は、そんな欲張りな気持ちを持って生きている。

Nちゃんは結婚願望が全く無いけれど、プロポーズを断る勇気は無いと言っていた。
この年齢で東京に行くには、捨てるものが多いのだ。

結婚をするかしないか、で人生は大きく変わってしまう。
一生3人で住むのは楽しそうだけど、イメージとしては一人一人が一緒に住む感覚。
私が「結婚したいわけじゃなくて、誰かと一緒に生きていきたいんだよ」と口走った時、
Nちゃんは「貴女は誰かと一緒に生きていきたいんじゃなくて、誰かに愛されたい願望を持っているでしょう」と言った。

その通りだと思った。
友達同士の愛と、恋人との愛はやっぱり違う。
こんなに強い絆で結ばれた友達の愛で満足できない私は、どれだけ欲張りなのだろう。

私たちは「3人とも結婚しないなら、一緒に住めるのにね」と言う。
『のにね』の後には見えない逆説があるのだ。
お酒を飲み結婚というタイムリミットを見て見ぬ振りしながら、今最後のたらればを言い合っている。

"何故恋愛はこんなに下手な私たちなのに、この3人なら上手くやっていけるのだろう。"

恋愛は他人事では無いからだ。
結婚になると尚更で、
どうしても自分との境界線が難しくて、感情も複雑になってしまう。
友達はサバサバしていて良い。
他人を認め合う関係性で居られる。


今が大学生だったら、沢山の選択肢を手に取れたのに。
自由になりたいと言いながら、沢山の事柄に縛られている。
あと少し早ければ。
そう思っても私たちは既に20代後半に差し掛かっていて、戻ることはできない。

どうやら、大人になるのが早すぎたようである。

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