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彼氏の枕は奪うくせに

彼氏とは付き合ってそろそろ一年になる。
つい最近2022年を「息を吸って吐いている間に過ぎたような心地」だと例えたばかりなので、
彼氏と付き合って今日までの時間は言うまでもなく『あっ』という間の出来事だ。
ちなみに『あっ』は息を吐く暇もないほどに短い。

何故か私は彼氏が絡むと真面目な記事ばかり書いてしまうが、
(くだらない話も書きたいのだが、まだ日常を記事にするのが照れくさいのだ)
今日もあまりファニーでは無いかもしれない。


私たちはアプリで出会ったこともあり
お互いを知るまでもなく付き合い始めたので、
最初はまあまあ恥じらいがあった。

江頭みたいにタイツだけでウロウロしない、とか
なるべく部屋を綺麗にしておく、とか
「お尻」みたいにお下品な言葉を言わない、とか。

それが一年も経てば全てどうでも良くなるから不思議である。
これは時間がどうとかではなく、私という人間性だ。
最近はもう「あ〜足がかゆい」とか言いながら掻いてしまうし、
寝ている彼氏の枕も奪う。
彼氏は「枕を奪うくらいなら君の枕を買おう」と提案してくれるが、
彼氏の枕を奪うことに生きがいを感じるだけであって、枕そのものには興味が無い。

そんな恥じらいも何も無くなってしまった私が彼氏に話していなかったことが2つある。

1つは前の会社をどれくらい早く辞めたか、ということ。
2つ目は前の彼氏のことである。

私は前の会社を驚くべき早さで辞めている。
「お尻」とかいうのが恥ずかしくない癖に、どれくらいで仕事を辞めたのか話すのが未だに恥ずかしい。多分プライドだ。それで黙っている。

2つ目の話だが、元彼は笑いに出来ないシリアスな男だったのでずっと深く話せずにいた。
恥ずかしいとかでは無いが、話し方がわからない。
というか普通に引かれそう。そんな奴と付き合っていたことに呆れられそう。
羅列すればそんな感じである。
(過去の記事を引っ張ってくればもう少し詳しい話も出来るのだが、あまり楽しい記事では無いので引用はしないでおく。)

彼氏は幸い、私が嫌がる話を深堀りしない。
自分は自分、他人は他人、みたいなところがなんとなくあるからだと思う。
付き合った当初はそれが本当に有り難かった。
私はパーソナルスペースが結構しっかりある方なので、
ぐいぐい来られると引いてしまうのだ。
おかげで友好的な関係性を築けたし、先ほど述べた2つはあまり深く話さないでいた。

ところがどっこい、私は彼氏の元カノの話を聞くのは好きである。
自分の話は棚に上げて、エンタメだと思っている。
元カノの話といっても、付き合っている時の話は全然聞かない。
上手くいっている元カノには興味が無いのだ。
私が興味あるのはなんで仲良くなったとか、どうやって付き合ったかの甘酸っぱい感じとか、
小学生みたいな話である。
彼氏も普段は話さないが、聞けば答えてくれるので楽しくなってしまう。
昨日もそんな感じで、一方的にギャーギャーと話しかけていたのだが、
調子に乗った私は何を思ったかうっかり口にしてしまった。

「彼氏、私の元彼の話はあんまり気にならないよねぇ」

どの口が言うかと自分で思うが、先ほど硬く決意していたことを、この瞬間すっかり忘れていたのだ。
しかしいつもはあまり深掘りしない彼氏が
「元彼が酷かったってなんとなく聞いたけど、どんな感じか聞いたことない」と遠慮がちに返したので、
興味が無いわけではなくて、私への気遣いだったのかと気が付いた。

出会ってすぐに「前の彼氏は浮気をされて別れた」とは話していたが、それ以上はどうしても話せていなくて、
でも今日なら言えるなと思って、言えるだけ話すことにした。

一年付き合ったことで、私のことを嫌いになることも見下すことも無いだろうなと思ったからである。

浮気相手との関係性とか、相手に言われていた酷い言葉とか、言える範囲で話をした。
言われていた言葉とかは誰に言っても引かれるのであまり話さないことにしているが、その言葉を枕詞に話すとやっぱり引いていた。
最後に私は
「まあ、酷いこととか怖いこととかされたけど、彼氏は真逆だから。今彼氏と付き合えて幸せなんだよ」と話した。

真逆という言葉は比べるみたいになってしまって今考えると申し訳ないが、あれは私の本心だった。
元彼の話を、まるでフィクションのように引いたり怖がったりしてくれる彼氏を見て安堵したのだ。

何より私は、辛かった思い出をようやく話せる関係性になったことにも安堵した。
これは話しても見放されない安心感の現れだ。
あんなことがあったから、
彼氏の優しさを噛み締めて実感出来るのもまた事実なのである。

来月で一年。
一年は早いし短いようで、関係性は大きく変わる。
多分最初の一年だけでなくて、これからもそうなんだろうと思う。

だけど私は、どれくらいの早さで会社を辞めたのかまだ彼氏に話せていない。
一体いつになったら、1ヶ月足らずで辞めた事実を話せるのだろう。

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