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黒髪の乙女といえば響きが良いけれど


美容師さんに「髪は染めないんですか?」と聞かれた時、
言葉に詰まってしまう自分がいる。
そこにはっきりとした理由が無いからだ。


生まれてこの方、髪を染めたことが無い。
最近、「経験したことが無いこと」を積極的に探すようにしているのだが、
髪を黒色以外にしたことが無いなと、ふと気が付いた。

染めたいと思ったことが無い訳ではない。
学生の頃は少なからず憧れもあったし、
当時プリクラで流行りつつあった髪色を変える効果で色を変えて
うふふ、と思う程度の願望はあった。

そんな憧れの全盛期、私が染めなかった一番の理由は
「親が反対するから」である。

親は断固としてピアスと染髪を許さなかった。
それはもう確固たる意志があって、
テコでも動かぬ勢いだった。

私はこうなると意見が覆らないことを知っていたので、
大人しく黒髪の乙女を貫いた。

私は今や大人である。
社会人になり、親元を離れた今、
別段髪を染めても多少怒られる程度では無いかと思う。
(それでもやっぱり怒られる覚悟は必要だけど)

しかし、染められないのである。
そこにある所以は親に植え付けられた
髪を染めること=悪。
という一種の洗脳だ。

確かに今更染めるのは勿体無いという友人もいる。
しかし髪はまた生えてくる。
一生の付き合いで無いことは、頭では分かっているのだ。
それでも染める勇気が出ないのは、
染髪がとんでもなく不良な気がしてしまうからである。

今時、髪を染めたことが無いというと
驚かれるくらいには、
当たり前のファッションとして許容されているのに。

最近美容院に行くと必ず聞かれる
「髪染めないんですか?」という質問に、
そうにも答えるのが億劫な自分もいる。

染めないというと、理由を聞かれる。
会社の規則ですか?とか。
どうしてですか?とか。

そんな時、美容師さんに答えられる理由なんて無い。
髪を染めることは本当に美しいと思っている人たちに、
抵抗があるなんて話せない。


茶髪の自分が、どうにも想像つかない。
似合わないような気もする。
顔だって純和風顔だし、
これだけ長年付き合っていれば、
黒髪の自分に落ち着いてしまう。
だけど、それだって本当は勿体無いことなのでは無いだろうか。
一生に1回くらい、髪を明るくしてみて
「やっぱり似合わなかった」で終わったとしても
今より確実な結果は得られる。
未知であることは、なんだかとっても勿体無い。


いつか不良になってやる。
そう思って、機を伺っている。

私はもっともっと自由になりたいのだ。


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