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三重旅行〜本当に記念日だよな?編〜

前回

まじで美味しいものを食べて日暮れを迎えただけの私たちは、晩御飯までの間一度ホテルへ戻ることにした。

VISONには2種類のホテルがある。
和風な建物と、ホテルっぽい方だ。

ホテルか、ホテルじゃないかみたいなニュアンスになってしまったが、私の語彙力では他の表現方法が見つからなかった。
和風な建物も魅力的ではあったものの、シャワーしか無いことにいささかの不安を覚え、インスタでよく見るホテルタイプの部屋に泊まることにした。

その中でもみんながよく泊まっているのは【テラス付き半露天風呂】というちょっとリッチな部屋のようだ。
今回はなんと言っても記念日という箔が付いていたので、満を辞してみんなが泊まっているリッチ部屋を予約していた!
入った瞬間から、いつも安さ重視で泊まる部屋の3倍くらいの広さがあり、私たちは早急にテンションが上がった。
これはリッチな人が泊まる部屋だ。
VISONは温泉も有名なので、この日は部屋の風呂に入る予定もなかったのだが、
無意味に風呂の窓を開けるなどもしてみた。

寒かった。
この日は冬の中では暖かい方であったが、コートを着なければ流石に耐えられなかった。
半露天は使われることなく、静かに窓を閉めた。

ところでこの部屋の一番の魅力は、なんといってもテラスが付いていることである。
テラスが付いた部屋など今まで泊まったことがない。
部屋とテラスの間は大きな窓ガラスで仕切られていて、カーテンを閉めなければ丸見えじゃないか、というほどの開放感がある。(勿論外から見える造りではない)
その窓ガラスと付随している扉を開けると、最も簡単にテラスに踏み入れることができるのだ。
私たちだけのテラス。
部屋1部屋分くらいはあるのでは無いだろうか。

早速、テラスに出てみて思った。
だから寒いって言ってんじゃん。

テラスという第二の国境に踏み入れた私たちは2人、体感10秒くらい立ち尽くしていたが、先に言葉を放ったのは私だった。

「テラスって何するところだ?」

コンクリートで造られたテラスは、広さでいうとギリギリバドミントンくらいはできる。
しかし私たちは元より球技をする予定を立てていなかったので、勿論羽根すら持って来てはいなかった。
隣に立っていた彼氏は苦し紛れに
「コーヒーを呑んだり…?」と言った。

コーヒーを呑むだと?
それは暖かい部屋の中でも出来るじゃない?みたいな野暮な答えは置いておいても、
コーヒーを飲むのはテラス席から一段上がった机と椅子が置いてあるスペースの話だろう。ちょっとお洒落な雰囲気ではあるが、肝心のテラスは使われていないのだ。

結局、彼氏がテラスより一段上にある椅子でコーヒーを飲んでいる間、私はテラスでスキップをしていた。

そう、こんなに長々書いたくせに、今回はまだスキップしかしていない。
晩御飯の時間になった私たちは、お店探しに繰り出すことにした。

今回は記念日旅行といえど、少し良い部屋に泊まることを決めていたので晩御飯の予約はしなくて良いくらいの値段のお店を選ぶことにしていた。
VISONにはイタリアンやバスク料理など、記念日っぽいお店は勿論ある。
ここは本来お洒落な外国料理とか選ぶべきではあるが、
私たちの考えは、一方にまとまっていた。

「出汁の聞いた和風料理が食べてえなあ〜〜」

昼間からずっと調味料の店を巡り回っていた私たちは完全に和の口になっていた。
その中にも蕎麦だったり少し高めの割烹な店もあったのだが、
あまりにも良い匂いがする定食屋につられ、私たちは1年記念日に魚定食を選ぶことになった。
鮭ハラスと鯖の焼き定食だった気がする。
他のテーブルで焼きおにぎりを食べている人がいて、追加で1つ頼んだ。
私は焼きおにぎりにめっぽう弱い。見かけると絶対に頼んでしまう。
しかし「記念日なのに〜」とか言ったものの、定食は大変美味しかった。後悔は全く無い。

これがもう本当に美味しかったのだ

焼きおにぎりに目がないと言っておきながら大変申し訳ない話であるが、実は私は人よりも米がそこまで好きではない。好きでは無いというか、味覚に敏感になのか(グルメの意味ではない)、自分の好みな米に会う機会が少ないというべきか。無いなら無いで生きていけるくらいのレベルである。

しかしこの店の米があまりにも美味しくて、焼きおにぎりを頼んだにも関わらず白米までぺろりと食べた。
いつもだったら焼きおにぎりを食べて、白米は彼氏にあげているところである。
米が美味しくて感動したのは北海道の店で食べた『ゆめぴりか』以来だった。

それなのに米の種類を聞かずに店を出てしまった私は、
翌朝店に行って「すみません、昨日この店でご飯を食べた者なんですが、米の種類ってなんですか?」と聞…こうとしたのだが、流石に恥ずかしいという話になって辞めた。
実は帰りバスに乗る直前も再び気が変わり、電話で聞くか??とまで思ったのだが、「すみません、昨日この店でご飯を食べた者なんですが」が枕詞の電話なんてクレーム以外想像がつかない。
美味しい米を食べさせてくれた店員さんに余計な心労を与えたくなったので、結局米の種類は聞かずじまいで終わってしまった。

さて、ご飯を食べた私たちは温泉に入り、その日をようやく終えることになった。
余談だが、1人で温泉に入るといつも思うことがあって
友人同士で来ている人たちは右も左も恋バナをしながら温まっている。
かくいう私も友人と温泉に行く時はいつも恋愛話に花が咲く。
不思議な空気感だ。
化粧水や乳液を丸々忘れた私は顔がカピカピなままこの日を終えて、
次の日の伊勢旅行を楽しみに眠るのであった。

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