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靴下みたいな関係性


アウトプットしたい人は、インプットもまた同じように重要である。

大学時代耳にタコが出来るくらい 
「本を読め」と言われ続けてきた私だが、
この歳になってあのセリフを、
漸く実感し始めている。


私は大きなカテゴリーに所属するとすれば、
表現者になりたい人、だ。

一応大学ではそれなりに文学について学んできたつもりではあるが、
必死に本を読んだかというと、
そうでは無かった。

寧ろ大学以前の方が
列記とした『本の虫』であったし、
なんとなく昔の方が
語彙力も高かったような気がする。

何故か。
自分の中で、
本を読めなくなった時期があるのは明白なのだ。
『読書イップス』にかかったからである。


この『読書イップス』は、
決して本を読むのが面倒になったという訳ではない。
面白いと思える本が、
突然全くに近い程無くなってしまったのだ。


とても生意気である。
今思えばこの時期、アウトプットを重視しすぎた結果だったとも考えられる。
例えば私の場合、
人生においてかなりの量インプットしてきた(つもり)の大学時代。
インプットという基礎から、
次のステップであるアウトプットに重きを置いた瞬間、
すっかり後者の虜になってしまったのが原因だろう。

アウトプットはインプットと同時に行うべきなのだ。
私はそれを失念していた。

失念していった結果どうなったかと言うと、
迷走した。
偏った小説しか読めなくなり、
自分の書く小説も偏っていった。

今から考えると、若気の至りというか
言いようにいえばその年にしか書けない
希少作品とも言えるが、
それくらいインプットとアウトプットは重なり合った存在なのだ。

余談ではあるがこの『読書イップス』の最中
私を支えてくれたのが森見登美彦の本である。
この人の書く小説だけは幾らでも読めた。
読書と私を繋いでくれた命綱でもあり、
このせいで私の作風が
ますます偏ったことも否め無い
(勿論今でも大好きな作家さんだ)


私は今までインプットの次のステップにアウトプットがあって、
その次にまたインプットがあって…というミルフィーユのような層を
作り上げることが実力を底上げすると思っていた。
しかし違う。
この両者は2つとも器用に併用すべき事柄であり、
対義語ではなく類義語なのだ。

インプットがアウトプットと繋がっているという点では、
noteやSNSでも同じように考えられる。

例えば他の人が書いた記事を読み、
スキ(またはイイネ)を押したとする。
その記事を書いた人が通知を見て、
今度は自分の書いた記事を見に来てくれる。
そしてまた、その人が自分の記事に対してアクションしてくれる。

これって正にインプットとアウトプットが
密接している関係性にあるのでは無いだろうか。

特に小説投稿サイトはこの文化が結構根強い。
イイネを押したら返しにいくのが暗黙の了解になっていたりする。

勿論この文化は否定しない。
昨日挙げた記事にも書いた通り、
ネット社会で知名度を上げる合法的ルートだと思う。
(昨日の記事はコチラ)

他の記事を見にいくことは
他者をサポートすると捉えがちだが、
自分へのインプットでもあることを忘れてはいけない。

厳しいことを言えば
リアクションをしてくれた人の記事に飛んで、
反射的にスキを押すのは不毛である。

積極的に興味のある内容を読んでリアクションをする。
自分へのインプットにもなるし、
勿論同時に他者へのサポートにもなる。
この動きが反復されることで、
ネット文学が活発化する。
こうなれば電子書籍の需要も増える。
即ち、他者の作品を読むことで
自分が書くことへのメリットに繋がるのである。

アウトプットと同じくらい、
インプットも全力で。


…自分への特大ブーメランになってたらどうしようと思って
少しヒヤヒヤしているが、
勘違いを続けていた私への戒めでもある。


インプットとアウトプットの関係性は、
靴下見たいな関係性ということで締めるとしよう。


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