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熱い想い

藤が咲き始めました。
この花を雨に濡れるのもいとわず折り取って
愛するひとに捧げた男がいました。
在原業平、平安初期の歌人です。
藤は、春の終わりを告げる花です。
桜と同じく咲いたと思ったら
あっけなく散ってしまいます。

濡れつつぞ強ひて折りつる年のうちに
春は幾日もあらじと思へば
         
在原業平

今年の春はもう幾日もない、
あなたと共に過ごしたいのだ
だから濡れるのもかまわず枝を折った。

なんという熱い想いでしょう。
こういうかたちで
真心を捧げることができた
かつての日本人の感受性は
もう、失われてしまったでしょうか。
業平の愛が私にはわかる。
こういう愛を私も捧げたいと思う。

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