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意外な一面
ジョギング中。
神社の前におじいさんが突っ立っていた。
散歩中に疲れて休んでいるのかと思った。そういう高齢者はかなりいる。私が山登りで登っては立ち止まりを繰り返すのと同じだ。
ところが近づいて気付いた。おじいさんの足元に白くて丸いふわふわしたものがある。
「なんだろう?」
よくよく見ると、なんとあの白猫ではないか!
神社の前で餌をもらっている野良猫で、尋常じゃないくらい人を怖がる。餌をくれるおじいさんおばあさんたちでさえも近づけさせない。食べ物をもらっているくせに、近づいてくるとさっと逃げてしまうのだ。パーソナルスペースがとてつもなく広い。
餌をもらう野良猫はもう二匹いるのだけど、ほかの二匹はそこまで逃げない。少し距離をとってじっとこっちを見ている。でもこの白猫だけは、そのもっと後ろへ下がってこっちを見ていたり、どこかへ行ってしまう。
「野良だから・・。きっと私じゃ想像もつかないひどいことを人間にされたのね。こんなに人間を怖がって。可哀想に。」
と同情していたのに。なんとおじいさんの足の上で丸くなってひっくり返って、背中をこすりつけているのだ。まるでリビングで飼い主にじゃれる猫。目を疑った。
おじいさんは前へ進もうとするのだけど、足の上に白猫が乗っかっているから動けない。困りながらも嬉しそうな表情で突っ立っている。思わず笑ってしまった。おじいさんも笑った。
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