ワクチン接種の日に起こったこと
1.ワクチンを打つまで
2.ワクチンを打って
3.次の日
ワクチン接種。
打つ気なんてさらさらなかった私が、ただ「海外へ行きたい」だけで打つことにした。
接種日が近づくにつれてナーバスになった。カウントダウンのように
「あさってワクチン打つから。」
「あした、ワクチンだから。」
「きょう、ワクチン。」
と、母に言った。
そして当日の朝。居ても立ってもいられなくて、山へ登った。ワクチンを打ったら体調を崩すかもしれない。登れなくなる前に登っておかねば。そんな思いからだった。
台風が過ぎ去ったばかりの空は快晴で、この一年間登って来て一番景色が澄んでいた。そして遠くにあれがあった。
富士山。
天気が良ければ見えるとは聞いていた。でもどれだけ空が青く広がる日でも、その姿を現わすことのなかった日本一の山が、でん!とはるか遠くに御座しました。思わず古語になるほどの神々しさだった。
距離感がわからなくなるほどに大きくて、どこまでも続く空に負けない存在感があった。
帰宅すると、靴を脱ぐ間も惜しくて玄関から母に「富士山が見えた!」と叫んだ。そしたら「富士山?!あんた、すごいじゃない。いいことあるわよ!」と、飛び切りの返しをしてくれた。
ワクチン接種におびえていた私だったけど、最高の励ましであり勇気づけをもらえた。気も楽になりせっせとNOTEの活動に勤しんだ。フェスレポータになったし、小説の連載も始めたし、NOTEを楽しむ時間が増えてきている。
ところが、フェスレポーターのあさみっきさんの「ぱるぷんて!」を読んでまたワクチンの恐ろしい影を感じ始めた。なんとあさみっきさんは1回目のワクチン接種で具合が悪くなったそうで。
朝見た富士山はもう見えなくなった。現実はこうなのだ。
ため息をつきながらも、元気なうちに沢山いるフェスレポーターさんたちにスキをしておかなきゃと、スキに励んだ。
そうしたところ、ゆこさん(フェスレポーターの方です。)の記事にスキをつけたら、「いいことありますよ」という返しが来た。
二回目!!
再び今朝の富士山のお姿が頭に浮かんだ。いったい今日どんないいことがあると言うのか。
進化。
ワクチンへの不安から、強がってワクチン接種を「進化」のきっかけにしてやろうともくろんだ私。進化できるということ?!
あと三時間で運命の接種。
ざわつく心を落ち着かせるために、急ぎエッセイを書いてみた。
追記:ワクチンを打って
ワクチンを打ったあと、15分間会場で待機させられた。看護師さんが2-3人いて、帰って行った人の座っていた椅子を消毒していた。
10分立った時、ワクチンを打ったほうの左肩が凝り始めた。覚悟は決めていたから、「来たな。」と姿勢を正した。すぐにずどんと左上腕が重くなった。「うわ、ホントにこんなことになるんだ。」と怖くなった。でも、数分で気にならなくなった。
15分経ったので帰って来た。自転車で。
説明書によると、今夜から2日かけて副作用が出るらしい。なるべく左腕は使わないように心掛けながら、心静かに過ごそうとNOTEを開いた。
まだフェスレポーターの方たちをチェックしきれていない。Miyoko Gotoさんのページを開いてびっくり。「ワクチン副反応でやられております。」とのこと。あまりのグッドタイミングに恐ろしくなった。Miyoko Gotoさんの回復を祈りながらスキをした。
その夜お風呂に入った。そしたらまた左腕が重くなった。しまったと思いながらワクチンについて考えてみた。
私のワクチンのイメージはこうだ。
突起のないコロナであるワクチンが、上腕の筋肉に入り込み、二日かけて全身の筋肉へと増殖する。新参者が入ってきたら反発する体の部位があってもむりはない。痛みが出て当たり前。でもしばらくしたら打ち解けて和やかに共存を始める。
腕が重い時は「おまえなんか認めない!出て行け!」の時。軽くなる時は「仲良くやろうぜ。」と仲間になった時。
腕の重さは寝る頃には消えた。
「なじんだみたい。大丈夫そう。」
と両親に言ったところ、父が、
「明日熱が出るぞ。がはは!」
と笑った。
父の性格の悪さはさておき、人の言葉を真摯に受け止めるようにしている私は、数分後に言い直した。
「明日の朝起きてこなかったら救急車を呼んでください。」
「なによ、なによ!どうしたのよ!」
と、母が騒いだ。
「あ、医療機関へ行っちゃいけないんだ。ホットラインへ電話してください。」
そう言い直して接種会場でもらったチラシを渡して寝た。
そのあと父の盛大なる咳き込みが数分間聞こえてきた。その咳の激しさに「なんなのよ!」と母に怒鳴られていた。
わたくし、クロウサこと木花薫は連続投稿を続けておりますが、もし途絶えたら、そういうことです。
追追記:次の日
無事目を覚ました私は参拝へ行ってきた。走るのはやめてウォーキングで。左腕は筋肉痛のように痛い。「うー」と言うと痛みが和らぐような気がするから、動かすたびに「うー」と声を出すようにしている。
老け込んだ気分だ。
小説「梅すだれ」を連載中です!皆様の支えで毎日の投稿を続けられています。感謝の気持ちをパワーにして書いております!