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27-1 梅すだれ 紀国雑賀 / 木花薫

墨絵を描かなくなったお滝は寺小屋へ行っても退屈なだけで、また通わなくなった。朝は畑の野菜の世話をして、昼は父ちゃんに見つからない場所をぶらついた。家の裏の竹林を歩いていたが、ある日飯屋の畑へ通じる坂のことを思い出した。「飯屋へは行ってはいけない」と父ちゃんから言われているが、坂くらいならいいだろう。村の人があの坂を下りていくのを見たことがない。誰も通らない道をお滝は下りて行った。

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