見出し画像

浮気は正義か悪かーTinder上級者への質疑応答を通しての考察ー

酷暑に魘されたと思えば、オアシスのような雨が降る今日この頃。
宇都宮は大洪水だったらしい。


雨と引き換えに得た涼しさに喜ぶも、
案外あっという間に有り難みは薄れる。

通勤の邪魔をする雨にうんざりし始めると、
戻ってきた晴れ間をまた歓迎する。

なんて自分は無い物ねだりな生き物なんだと感じて呆れる。


そんな帰り道に、薄い青を背景に虹が現れた。


遡ること2ヶ月ほど前、
短期間だけど、Tinderを通じて大学の同級生と遭遇した。 


彼のことは顔だけ知っていた程度で、
他の情報は何も無かった。

強いて言えば、実習の時に右薬指に指輪をしていて、
それを実習先の方から陰で非難されていたことを覚えている。

先日、大学時代ぶりに会ってみて、彼はもう右薬指に指輪をしていなかったけど、
話を進めるなかで既婚者であることを自ら教えてくれた。


私自身、彼とどうこうなろうという気持ちは一切無かった為、申し訳ないがダメージは皆無だった。

そもそも自身がTinderを行っていたのは、アプリ内にどんな人がいるのか知るという目的だったから、彼のような人材はむしろ好都合であった。

折角の調査の機会、サンプル採集として、Tinderで浮気をするということについて5つの質問のをした。

Q1「Tinderで会った人と何をしているのか?」

A1「ご飯食べて、セックスしたりする。」 

ビールを飲みながら飄々と言う。
ファストフードとかファストファッションみたいな気軽さで浮気しているようであった。


Q2「妻にはバレていないのか?」

A2「大学時代に付き合っていた時に、スマホに位置情報共有アプリを入れられていたが、
その期間にしていた浮気がバレなかったので、今はもう信用されている。
位置情報共有アプリはスマホをお互い買い替えるタイミングで、もう入れなくなった。」

彼はその試されている期間を乗り越えたから、今はもう疑いの目がかけられていないらしい。


Q3「位置情報を知られているのに、浮気ができるものなのか?」

A3「敢えて男友達の家にスマホを置いていけば、その間自由な行動がとれるので、気付かれなかった。男友達には、薄ら勘付かれていたかもだけど。」

ここまでして浮気がしたいものなのかと感心の念さえ生まれてしまう。



Q4「妻がいるのに浮気をしていて、平気なのか?後ろめたさは無いのか?」

A4「妻とは、もうときめきみたいなものはなくて、何年もセックスをしていない。
妻自身も性欲があまり無く、お互いレスであることに不満は無い状態。
だから、恋愛のときめきを感じたい時や、セックスしたい時にアプリを経由して女の子と遊ぶ。」


少し欲張りな気もするが、あまりにも理路整然と語るから、感情による暴走とかでは無いんだなと感じた。


Q5「他の女の子との関係が、結婚関係を崩してしまわないのか?」

A5「あくまでも妻が第一で、妻との関係を円滑にする為に、自分の欲を外で満たしている。

でも以前に一度、相手の女の子が本気になってしまって、既婚者であることを告げたら恨まれたことがあるから、それからは気をつけている。

以後、アプリで会う子がが本気になってしまわないように、同じ相手と何回も会わないように気を付けている。」

彼は、結婚生活という土台は守っていくという意志を持ち合わせた上でアプリをしているとのことであった。
彼は勿論欲張りなのだろうが、彼は彼なりの一貫性の上に立っていた。


浮気は、正義か悪か。
言わずもがな、悪だろう。
悪なのだけど、妻を重んじている姿勢は、歪ながらも正義の形をしているようにも感じられた。

アンチ浮気、アンチTinderの私。
過去に付き合っていた人がTinderで女の子とメッセージをやり取りしていたことを受け、浮気だ浮気だと騒いだ私。


パートナーがいるにも関わらずTinderをする人や浮気をする人には、その人なりの考えがあることを知り、少しだけ救われた自分がいた。
ショックで不信感を拭えなかった当時の私よ。
きっと、別に、すごく裏切られていたわけでもないのかもしれない。




未確認生物は、分からないから恐いもので、
その生態は意外にも人間の脳を持っていた。


恋愛も結婚も、相手を信用することが大事だと思っていたけれど、闇雲に信用することは恐い。裏切られることは気分が悪い。

けれど、仮に浮気をされていたとしても、場合によっては大丈夫なのかもしれないと思えてしまった。
その行動に流れている血液には、パートナーへの愛も成分として含まれている可能性があるという仮説の存在だ。


居酒屋を出て、「もう少し若ければこの後ホテルに誘いたかった」と彼は言ったが、
目的は達成されたので、すぐ帰らせてもらった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?