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法雨林舎

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#釈迦

諸法実相(3) 十二因縁法:後編

諸法実相(3) 十二因縁法:後編

この記事は前編からの続きです。

十二因縁法の内容

それでは、いよいよ十二因縁法で説かれる十二の条件について個々に見ていくことに致します。

まずは、全体像を掴むために次の表をご覧ください。

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諸法実相(3) 十二因縁法:前編

諸法実相(3) 十二因縁法:前編


前記事について

〈諸法実相(2)お釈迦さまが菩提樹下で経験された法界知見〉では、お釈迦さまの法界知見が法華三部経中、どのように説かれているかを見ました。

一番のポイントは、お釈迦さまは「法界の構造」と「仕組み(法理法則)」を観察されていたということで、記事では、まずお釈迦さま見出された〈法界の構造〉の概要に触れ、お釈迦さまが「無色界」という新たな領域を発見されたとことが画期的であったと書きま

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悟りへの道ー肉体苦行から三昧へ

悟りへの道ー肉体苦行から三昧へ

さて、この記事では「四門出遊」を経たお釈迦さまがどのようなことを考えられたのかを見て参ります。

四門出遊についてはこちらに書かせていただいております。

苦の原因

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仏教の世界観(1)ー仏身三種身

仏教の世界観(1)ー仏身三種身


仏身三種身(ぶっしんさんしゅしん)により表される仏教の世界観

法華三部経の内容を理解する上で押さえておきたい仏教の世界観があります。その基本構造は、本仏の三種の姿〈仏身三種身(ぶっしんさんしゅしん)〉として表されていますので、まずは仏身三種身についてみてゆくことに致しましょう。

無量義経徳行品において、本仏は「法身(ほっしん)」「報身(ほうしん)」「応身(おうじん)」が三位一体となっている存

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仏教の世界観(2)ー心の調和が取れた状態とは

仏教の世界観(2)ー心の調和が取れた状態とは


仏教が説く心の構造ー五蘊・唯識論

「精神の調和」を考えるために、仏教が人間の精神と物質的世界の関係性についてどのように捉えているのかを見てみましょう。

大本となるのはお釈迦さまが人間を分析して説かれた「五蘊(ごうん)」の考え方です。
五蘊については下記の記事に書いてあります。

この理論により明らかにされているのは、人の認識は極めて個人的で、世界をあるがままに捉えているわけでないということで

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法華三部経におけるお釈迦さまの位置づけ

法華三部経におけるお釈迦さまの位置づけ


お釈迦さま=本仏

法華三部経の大きな特徴の一つは、お釈迦さまを「本仏」と位置づけていることです。「本仏」とは「一切を生み出した創造主」ということであり、その意味で「造因仏(ぞういんぶつ)」と言われることもあります。

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諸法実相(1)ー目に見える世界と目に見えない世界

諸法実相(1)ー目に見える世界と目に見えない世界


水やりは根っこに

あれは私がとても幼い頃のことでした。

小さなジョウロを使って見よう見まねで鉢植えの植物に水やりをしていると、側で見ていた父がにっこり微笑んで言いました。

「水は葉っぱではなく土にかけるんだよ。」と。

当時の私は、土の下にある根っこには思いが至らず、ポカンとしておりました。記憶が定かではありませんが、恐らく、その後、父は根っこのことを教えてくれたのでしょう。

さて、なぜ

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舎利弗の名演技ー「表」のストーリーと「裏」のストーリー

舎利弗の名演技ー「表」のストーリーと「裏」のストーリー


舎利弗の役どころを探る

今回のタイトルは〈舎利弗の名演技〉。タイトルをご覧になって「何のことだろう?」と不思議に思われた方もいらっしゃるでしょうか。

私は常々、法華三部経ははっきり書かれている体裁をとりながら、実は秘密の多いお経と感じております。なぜなら、読みこむ毎に、「ああ、そういうことか。」と、それまでは気がつかなかった意味や、お釈迦さまのご意図を発見するからです。

一見、物分かりが悪

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