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なぜ採用代行会社の社長が、あえて自社のノウハウ公開となる本を出版したのか?出版までの裏側。

「うちの強みは採用ノウハウなのに、
 これ全部、公開しちゃって大丈夫なんですか…?」

・・・そう社員から言われたのは、本の原稿を9割ほど書き終わり、
その原稿を社員に見てもらっている時だった。

採用がうまくいってる会社って、何が違うんですか?と聞かれるが、いまや「この媒体に出せばいい人がバンバン来ますよ」なんてことはない、売り手市場が続いている。

簡単にいえば、この書籍『中途採用の定石』の内容はこんなものだ。いま採用がうまくいってる企業は、結局「いろいろやってるんですよ」という採用業務の”幅の広さ”が違う。では幅の広い採用施策ってなにか?というのを、採用広報やスカウトや面接術とか写真のとり方まで、全部詰め込んだ本だ。

採用業務の「幅」が、めちゃ広がっているんです!

そもそもマルゴト株式会社という社名の会社を経営しているは、創業してから8年間かけて採用代行をやってきた。合計で350社以上の採用をご支援してきて、多くのスタートアップ・ベンチャー・メガベンチャーの成長企業を社員のみんなとお手伝いしてきた。

多くの企業を支援して、採用をうまくいかせることでビジョンある会社の実現を支援したいと思っている。そのために社員も増やして拡大をしてきた。

出版しようと思ったのは、札幌に引っ越したから。

去年3月に父親のがんステージ4だとわかったことがきっかけで、関東から札幌に引っ越した。

地元の北海道へUターン!本社も東京から札幌に移転!

そこから出会ってきた札幌の企業から「採用をどうやればいいんですか?」と聞かれて話している時に、あまりにも採用のノウハウを知らなすぎてびっくりした。札幌でも採用代行の「まるごと人事」で手伝おうと思った。

僕はコーチングスクールにも通ってコーチング受けてもいるが、そのコーチに「札幌の企業にも採用代行のご支援を広めていくことにしました!」と話した。

そこでコーチから「いやいや、せっかく東京も知ってて、さらに地方都市の札幌も知ってるんだから、次は札幌の採用を頑張るんじゃなくて、”日本全国”を対象に採用を成功させる存在になれるでしょ!」と言ってもらった。

たしかに!と自分の視野の狭さを反省しつつ、日本全国の成長企業の採用をうまくいかせよう、と決めた。

実際には地方都市の企業にも採用代行サービスを提供しようと思うと、いよいよ企業規模の成長スピードに限界があるなと思ってきた。銀行から融資で資金調達をして拡大はしているが、クオリティ維持しながら拡大するにはスピードに限界がある。

たしかに、ずっと「採用に力入れていきたいんですが、なにかおすすめの本とかないですか?」と何回も聞かれていた。

毎回「面接はこの本で、スカウトはこの本で、新卒採用はこの本で、大手企業の事例を知りたいならこの本で〜」など10冊くらいを教えていた。逆に、ど真ん中の「これさえ読めば大丈夫」という本がないんだろう、とはずっと不便だなとおもっていた。

そこでやっと「あー、そうか、自分が本を書けばいいのか!」と思った。

ちゃんと届けるためには自費出版ではなく、商業出版として出版社にもリスクを取ってもらう形で出版をしよう、と決めた。

出版が決まっていないのに、書き始める1ヶ月。

ただツテがなかったので、まずは書き始めた。採用に関する頭の中にある知見やノウハウを、1ヶ月間で一気に4万字ほど書いた。

知り合いを辿って、2022年9月に日本実業出版社の方を繋いでもらうことができて、一発で素敵な編集者さんと出会うことができた。10月に企画が通ったことを聞く。

この時点でもう頭の中にあるざっくりと骨子は書いたから、あとは編集者さんとゴーストライターに書いてもらおうと思った。別に印税なんていらないから誰か本に仕上げてほしい、と思っていた。ぶっちゃけ仕事も忙しい状況でもあったので!

ただ、2人ほどゴーストライターをやっている方を見つけて聞いてみたら、結局は経験やノウハウや考え方を書く本なので、3時間インタビューして、3時間かけて代筆してもらうのも一応形にはなるけど、良い書籍ができないんじゃないかという話になった。もっと簡単な本なら書ける、とのこと。

良い本を作るなら、自分で最後まで書くしかない!と覚悟を決めた。ただ、なぜか「この分野で良い本を作りたいのなら、自分で書くしかない。どうにか自分で書かなきゃ。。」と思うほど、逆に書けない日々が続く。筆が進まずに2〜3ヶ月が過ぎる。

そんな中、札幌の経営者と話していて、採用の知識がなさすぎて、採用費を600万円ほどかけてやっと1人採用できた、という企業さんと出会い、無駄なお金がかかりすぎている、、と感じた。これは僕がちゃんと採用について広く届けなければという使命感が高まる。

本を出版したい気持ちが使命感に変わる。

よっしゃ、共にがんばる経営者のためだ。全部出し切るぞと決める!

全体の目次から見て、足りない箇所を整理すること、図解すること、が特に進まなかったので、そこをやってくれる人を探してサポート担当として業務委託で手伝ってもらうことにした。

ちなみに社員には顧客へのサービス提供にフォーカスしてもらいたかったので、できる限り社員の手間を増やさないように執筆を進めた。ノウハウのシェアはしてもらったり意見をもらったりしているので、それで十分ありがたかった。

ただ、サポート担当の方にとっても、書籍の内容の整理や図解は大変な作業だったらしく、2週間でギブアップとなり、もう手伝えませんと言われた。

ゴーストライターも無理、サポート担当も無理、ということで、いよいよまた自分がやらなきゃいけない状態になった。行き詰まりは続く。

もはやビジネスサイドでバリバリと働いていた人に、事業立ち上げのテンションで手伝ってもらうほうがいいのではと考えて、週3日勤務で3ヶ月間だけ手伝ってもらうことにした。

本全体の整理や、出版と販売促進活動までのスケジューリング、図解イメージすべき箇所のピックアップと図解のイメージ作成、編集者とのやり取りのアジェンダ作成、などを進めてもらった。これでやっと出版できるかも、、という道筋が見えた。

見込める印税から考えると、この時点でコストが回収できる見込みがないことは間違いないが、日本全体に良い本を届けるために身銭を切ろうと踏ん張ることにした。

実際に11月から7月で社員数も30〜40名ほど増えていて、本業も拡大途中だった。会社としてはバリバリに忙しい中で、この時に自分に執筆にフォーカスする時間を作ってくれた、任せられる素晴らしい社員の仲間たちには本当に感謝している!

実現が近づくにつれて、採用ノウハウと組織力の2つが自分たちの強みである中で、うち1つの強みである採用ノウハウを1冊2200円で大放出してしまってよいのかな?とも思ってきた。

でも僕らがやらないと中途採用の概念が低いままで、日本企業のビジョン実現がされず、個人個人にも色んな素敵な企業があることが正しく伝わらないままだ、ということで、もはや売上やビジネスという概念を超えて、社会のために書くんだ、という気持ちにまで昇華されていた。

印税とか知名度アップとかリード獲得のためだけに本を出せる人はいないと思った。本を出すことは大きな工数がかかっていて、直接的な経済的なリターンがあまりないことをわかっていて、それでも出版しているので、それぞれの本の著者が強い使命を持っているのだろうなと、世の中の本を書かれた著者の皆さんにも尊敬の念が増していた。

仕事、家族、趣味が次のレベルに上がる機会に。

さらには本業の仕事をして、土日にも執筆をしたりと、ひたすら仕事と執筆に時間を使ってしまい、家族と趣味が減ってバランスを崩しかけたことから、家族にも改めて思いっきり向き合う期間もあった。

逆に踏み込んだコミュニケーションを家族間で取る機会だったので、執筆前よりもすごく良い関係に進化できた!

そして、趣味も現状の外のゴールと決めて、YOSAKOIチームをゼロから作って執筆の真っ最中の6月にお祭りに出場したものだから、まあバタバタな日々を過ごしていた(笑)

最後の大詰めから出版まで

約12万文字を書ききってから、編集者の方からたくさんのフィードバックをもらい、200〜300箇所くらいは修正をした。図解も自力でパワポで作ったものを追加していき、キレイにイラストレーターさんに作ってもらった。

pdfやwordで読んでも全体像や細かい部分をチェックしきれないので、10回ほどすべてを紙にプリントアウトして、赤ペンでチェックしては直す、、という改善作業を続けた。

いつ「本を出します!」とSNSでも公開しようかと悩んでいる中、まだ完成までいけていない中で、8月8日の誕生日が来たので、そこでSNSで出版について発表することにした!そこに合わせてAmazonでの予約ページを準備してもらい、表紙も決まっていない中での告知となった。(この時にはまだ最終稿は完成しておらず・笑)

なんと嬉しいことに、表紙も決まっていない中で100冊以上が売れたそうで、Amazonの人事総務部門で3位まで上がることができた。表紙もない本がここまでランクインしているのは珍しいらしい(笑)

そんな大詰めの日々が終わり、9月1日になんとか完成まで持っていくことが出来た。そこから印刷が始まり、無事に2023年9月29日に日本全国の書店に並んだ。約1年かけて発売までたどりついたことを本当に嬉しく思う。

ということでこの本には、自分とマルゴト社の仲間たちの頭の中に積み重ねてきた、中途採用の知見をすべて突っ込んだつもりだ。その記憶が鮮明なうちに、自分用の備忘録としてこのnote記事を書いてみた。

ここまで長文乱文お読みいただきありがとうございました!

最後にお願い!

たくさんの人たちのご協力の元、無事に形にすることができた『中途採用の定石』、ぜひ買ってください!日本全国の大きめの書店であれば、人事労務や経営の棚に置いていただいていると思います!amazonレビューもぜひ!

これからも宜しくお願いいたします!

マルゴト株式会社
今 啓亮