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サッカーU−23/日本×韓国を振返る/GL第3戦/AFCU−23アジアカップ2024パリ五輪アジア最終予選/24.04.22


1.試合前


1.1前書き


AFCU−23アジアカップの日本のグループリーグ第3戦、韓国戦が2024年4月22日に開催されました。
ここまで2試合を消化して2連勝中の日本は勝ち点6で韓国と共に3試合目を行う前にグループリーグの突破が決まっています。
しかし、この時点でグループリーグの順位はまだ決まっていないため準々決勝の対戦相手はわからないままです。
韓国戦の前日にグループAの試合が開催され1位がカタールで2位がインドネシアに決まっていたので、日本が入るグループBの3戦目である日本×韓国の勝敗しだいで準々決勝の対戦相手が決まります。
日本は韓国に勝てばグループBの1位となりグループAの2位インドネシアとの対戦になり、負ければグループBの2位となりグループAの1位カタールと対戦になります。
日本としては準々決勝で今大会の開催国であるカタールと対戦するのは出来れば避けたいところで、間違いなく準々決勝当日はスタジアムがカタールの応援一色になり日本にとって完全アウェーとなるでしょう。
ここまでの試合ではスタジアムの観客席がガラガラで中東のUAE戦でさえ人が入っていませんでしたが、開催国の試合となれば状況は変わるはずてす。
例えば今年の1月に開催されたフル代表のアジアカップで日本はイラク、イランと対戦してスタジアムが全てとまではいきませんが対戦相手のサポーターや応援がほとんどじゃないかと感じるような状況で試合をしました。
そこでフル代表の日本はチームの状態が良くなかったこともありますが、相手サポーターの圧力を感じながら難しい戦いを強いられました。
フル代表の選手達は欧州の厳しいアウェーを経験しているので相手サポーターにそこまで影響を受けないと思いますが、問題は対戦相手がサポーターに後押しされ普段より力を発揮することです。
フル代表はアジアカップでイラクやイランとの対戦で、サポーターに後押しされた相手の勢いに押され負けてしまったように、U−23の日本もカタールと対戦すると同じ様にサポーターに後押しされた相手が勢いを持ち戦ってくる可能性が高いです。
そのため準々決勝はカタールとの対戦を避けインドネシアと対戦するのが望ましいでしょう。
インドネシアと対戦するためには韓国戦で勝つ必要がありますが、韓国も当然カタールとの対戦は避けたいはずなので負けるつもりはないでしょうし、そもそもお互いの国がスポーツにおいてライバル意識が高くどのスポーツでも負けたくないと思っているはずです。
特にサッカーとなるとどの年代のカテゴリーでも日韓戦は激しい試合になり熱戦になります。
今回のようにグループリーグ突破が決まった後の消化試合のような試合でもそれは変わらないでしょう。
そのため勝つのは難しく簡単に準々決勝の対戦相手をインドネシアにすることはできません。
両チーム準々決勝に備え主力を温存してターンオーバーしますが、それでもここまでの試合とは違いレベルの高いものになります。
U−23の日本がアジアで今どのくらいの強さで、どの位置にいるのかを見るには絶好の相手でもある韓国との対戦をそれでは振返りたいと思います。


1.2先発情報


U−23日本代表 先発メンバー 4−1−2−3
進行方向→
    16内野(貴)     20平河
    22高井   13荒木
12野澤     6 川崎    18内野(航)
    15鈴木   14田中
     2 半田        9 藤尾


U−23日本代表 ベンチメンバー
GK   1 小久保 23山田(大)
DF   4 関根  5 木村 21大畑
MF  7 山本  8 藤田 10佐藤 11山田(楓)
   17松木 
FW 19細谷


U−23韓国代表 先発メンバー 3−4−3
進行方向←
         16番
      7 番  20番  15番
 11番           8 番  12番
     10番  23番   2 番
         22番


U−23韓国代表 ベンチメンバー
GK  1 番 21番
MF  3 番  9 番 13番 14番 17番 18番
   19番
FW  6 番


2.試合


2.1前半


前半が始まると日本はこれまでの試合同様4−1−2−3の並びをベースに、相手が自陣の奥でディフェンスラインから繋いでくるときと日本が自陣でブロックを作るときに、左インサイドハーフの荒木がセンターフォワードの内野(航)と2トップを組み、アンカーの川崎と右インサイドハーフの田中がダブルボランチを組む4−4−2の並びに変化していました。
相手が自陣の奥でディフェンスラインから繋いでくるときに、日本は最終ラインを高く保ち前線までの距離をコンパクトにして全体で連携し前線からプレッシャーをかけるプレスを仕掛けます。
また攻撃から守備への切り替えを早くして、敵陣奥で奪われたらボールの近くにいる選手がすぐに奪い返しに行き相手の攻撃を初期段階で潰す守備をして、潰せなかったら相手の攻撃を遅らせ自陣に戻りブロックを作ります。
日本はUAE戦から先発をゴールキーパー含め7人替えてターンオーバーしてきました。
これでゴールキーパー1人を残して23人中22人の選手を起用したことになります。
出場時間にばらつきがありますが登録選手をほぼ全てと言っていいほど使ったチームは日本だけかもしれません。
中2日の厳しい日程とカタールの暑い気候、そして運動量が必要なサッカースタイルのために少しでも疲労を分散し、疲れを特定の選手に偏らせたくないのでしょう。
UAE戦でも相手が先に疲れていたように見えましたし、勝ち進んでいくとよりはっきりとした効果を見せると思います。
因みに最近知ったのですがDFの西尾は中国戦で悪質なプレーをしたと判定されレッドカードで一発退場になりましたが、悪質なプレーには最大3試合の出場停止という重い処分があるみたいで西尾は準決勝まで勝ち上がらないと試合に出られないようです。
以前はレッドカードだと1試合の出場停止だけだったと思いますが、いつ頃からなのか分かりませんが悪質なプレーなどに対するルールが変更されていたようです。
私は代表戦でしばらく退場や悪質なプレーを見ることがなかったため知りませんでした。
選手の疲労を少しでも分散させたい日本にとって1人少ないのは痛いですし、センターバックを3人で回しターンオーバーするのは大変だと思います。
しかし、だからと言って処分が出てからの西尾を責めても意味は無いと思いますし、本人が1番悔やみ反省していると思うのでこれ以上何も言うことはないです。
韓国は3−4−3の並びをベースに自陣でブロックを作り守る時は、3トップの両サイドと両ウイングバックが1つ後ろにポジションを下げ5−4−1の並びに変化します。
日本が自陣の奥でディフェンスラインから繋いでくるときに、韓国は前線からプレスを仕掛けずに自陣に戻り5−4−1のブロックを作ると、最終ラインを高く保ち前線までの距離をコンパクトにして待ち構え、日本が後ろにボールを下げると前線からプレッシャーをかけて圧力を高めます。
また日本同様に攻撃から守備への切り替えを早くして、敵陣奥で奪われたらボールの近くにいる選手がすぐに奪い返しに行き相手の攻撃を初期段階で潰す守備をして、潰せなかったら相手の攻撃を遅らせ自陣に戻りブロックを作ります。
日本は敵陣の奥からプレスを仕掛け前がかりに守備をすると奪ったらそのままショートカウンターや敵陣に押し込み人数をかけて攻めるのに対して、韓国は自陣でブロックを作り最終ラインを高く保って前線までの距離をコンパクトにすると、中央を中心に縦パスの侵入を防ぎ入ってくる縦パスやパスを受けた選手にパスカットやチャージを仕掛け、奪ったらシンプルに手数をかけずにボールを繋ぐと速攻やカウンターを狙い、それができなければ敵陣に押し込み人数をかけて攻めます。
前から積極的に行く日本と自陣でしっかり待ち構える韓国の状況は、大会中この試合の前まで日本が常に遭遇してきた状況ですが、韓国が今までの相手と少し違うのは中盤の4人と5バックで5−4−1のブロックを作り、中央を固めると同時に両サイドもケアしているところです。
韓国は中央を固め縦パスの侵入を防ぐのと同時に日本の3トップの両サイドや両サイドバックがタッチライン際にポジションをとり横幅を広く使う動きに対して、中盤の両サイドや5バックの両サイドが素早く対応してプレッシャーに行きますし、中に3人のセンターバックがいることで5バックの両サイドが引き出されても、サイドとセンターの間に生まれるスペースが4バックのときよりも狭くて利用されづらく対応もすにぐできます。
また日本の3トップと両インサイドハーフ合わせて5人に数的同数の5バックで対応できるので基本的にはボランチが下がる必要がなく並びを崩さずに守れますし、サイドとセンターの間に生まれるスペースに侵入されても数的同数のため相手に抜かれなければフリーにさせることもほぼ無いでしょう。
韓国は前の試合まで4バックだったらしいので日本へ対策をとってきたと言えます。
そして前の試合から10人の選手を入れ替えターンオーバーしてきたので、入れ替えた選手の適正ポジションから考えてフォーメーションを変えたということもあるのかもしれません。
序盤から韓国の球際が激しく今までの相手よりも厳しいチャージをしてくる印象ですが、日本も負けること無く球際で競り合っていましたが、恐らく若干韓国が体の強さで有利なのではないかと思いました。
両チーム自陣ゴール前から繋いでビルドアップする状況が続き日本はディフェンスラインでパスを回しますが、韓国の距離間を狭め網を張り罠を仕掛けたようなブロックの中央に縦パスを入れることはせずに、両サイドにパスを出し相手の様子を伺ったり前線に浮き球のロングボールを入れてセカンドボールを回収し攻めたりしていました。
韓国もディフェンスラインでパスを回し縦パスを入れることはせずに、前線に浮き球のロングボールを入れて前の選手がボールを収めるのを狙っていましたが、日本が対応して収めることができませんでした。
ですが日本のセンターバックを避けサイドバックを狙いロングボールを蹴るとそこから繋いでゴール前まで攻めることもありました。
お互いに縦パスを奪われるリスクはとらずにロングボールで攻める形を見せるのですが、相手の食いつき引き出されたところを狙い攻めたいため、様子を伺いディフェンスラインでパスを回すことが多く本来の攻め方をしていない感じがあり、静かで張り詰めた緊張感があるような試合になりました。
ですがロングボールを収めたりセカンドボールを回収するなど1つの動きが成功すると、両チーム一気にゴール前までボールを運ぶ状況になり相手に襲いかかります。
そのため早めに球際で止めようとファウル覚悟の激しい守備を見せますが、この試合の主審はカードの基準が厳しいというのかイエローカードを簡単には出しませんでした。
両チーム決定的な場面がないなかで韓国のゴール前からのビルドアップに1つ特徴的なところがあり、3バックの両サイドとゴールキーパーの3人でボールを回すのですが、3バックのセンター8番は1つ前にポジションをとり中盤4人の真ん中でパスを受ける側に周り、中盤が5人でラインを作っていました。
これにより4−4−2で前線からプレッシャーをかけ奪うプレスを仕掛ける日本は、韓国の最終ラインがゴールキーパーを含めて3人、中盤が8番を含めて5人になる為、日本の前線2人、中盤4人のプレスではどちらも韓国のほうが1人多いため、ボールホルダーに奪いに行く動きを見せるとボールを前に繋がれてしまうため、相手を追い込むことができなくなりました。
そのため日本は敵陣の奥で中央に縦パスの侵入を防ぐブロックを作り相手の動きを待つ状態になり、自分達からは安易に動けない状態になりました。 
そういった状況がある為韓国は最終ラインから余りプレッシャーを受けること無くロングボールを前線に入れてましたが、時々日本が奪いに行き引き出されたら縦パスを中盤に入れてボールを繋ぐ本来の攻め方をしていました。
韓国は本来の攻め方から敵陣に押し込み人数をかけると両サイドからパスやドリブルで攻め込みました。
日本は相手の攻撃を遅らせ味方の帰陣を待つとゴール手前でブロックを作り対応して何とか韓国の攻撃を止めていましたが、この流れからの攻撃が日本にとって1番嫌な攻撃になると思うので、前線からボールを奪いに行くときは積極性を出すのが難しくなっていたと思います。
日本はディフェンスラインから両サイドへパスを出し攻めますが相手のブロックが崩れないためサイドからクロスを上げる単調な攻めになりがちだったので、やはり勇気を持ち積極的に中央へ縦パスを入れて相手のブロックを崩しにかからないと点を取るのは難しい感じがしました。
結局両チーム決定的な場面が1回あるかないかみたいな感じで前半は終わり、互いにリスクをとらず積極的な展開にならない静かな前半でした。


2.2後半


後半両チーム選手交代は無く始まりお互いに前半と戦術の変更もありませんでした。
後半の入りは前半よりも少し積極性が見えるくらいでしだが、次第に激しい接触が増えてどちらかの選手がファウルで倒される状況が多くなりました。
両チームの選手が集まり一瞬揉め事が起こりそうなこともあり、ファウルによる怪我防止のためにも主審にはファウルやカードの基準を下げて試合のコントロールをして欲しいと思うところでしたが、主審の基準に変化はありませんでした。


57分 韓国 選手交代

  1. MF20番→DF 3 番

  2. MF23番→MF19番


U−23韓国代表 選手交代 3−4−3
進行方向←
         16番
      7 番 IN 3 番  15番
 11番           8 番  12番
     10番 IN19番   2 番
         22番


韓国はダブルボランチの23番と20番を19番と3番に交代しました。
恐らく疲労やイエローカードを気にしての交代でしょう。


61分 韓国 選手交代

  1. DF 2 番→MF14番

  2. FW11番→FW18番


U−23韓国代表 選手交代 3−4−3
進行方向←
         16番
      7 番   3 番  15番
IN18番           8 番  12番
     10番 IN14番  22番
         19番


62分 日本 選手交代

  1. MF20平河→MF10佐藤

  2. MF14田中→MF17松木

  3. MF 6 川崎→MF 8 藤田


U−23日本代表 選手交代 4−1−2−3
進行方向→
    16内野(貴)    IN10佐藤
    22高井   13荒木
12野澤   IN 8 藤田    18内野(航)
    15鈴木  IN17松木
     2 半田        9 藤尾


韓国は左センターバックの2番を下げて左ウイングバックの22番を左センターバックに置き、左ボランチの19番を左ウイングバックにして新しく入った14番を左ボランチにしました。
そしてセンターフォワードの11番を18番に交代しました。
11番はピッチに座り交代のジェスチャーをしていたので、恐らく足の怪我か痙攣だと思いますし他の選手も疲労による交代でしょう。
日本は3トップの左平河を佐藤に交代、右インサイドハーフの田中を松木に交代、アンカーの川崎を藤田に交代しました。
恐らく平河と川崎は疲労を考慮しての交代で初出場、初先発で体力的に余裕がありそうな田中を下げて松木を入れたのは、監督がこの試合を勝ちに来たためだと思います。
そうでなければターンオーバーを今まで徹底していた監督が1試合目フル出場、2試合目途中出場とチームの中で比較的出場時間が多い松木をここで使わないでしょう。
交代後から両チームの動きが活発になり日本はビルドアップからのサイド攻撃でクロスを入れ、韓国は両サイドから縦に速い攻撃で最終ラインの裏やクロスを狙います。
どちらも決定的なところまであと一歩から二歩といった感じまで迫りますがゴール前での精度が上がりませんでした。
活発になったのは攻撃だけでなく日本のビルドアップに対して前半は自陣でブロックを作り対応していた韓国は、日本がゴール前から繋ごうとすると時々前線からプレッシャーをかけてプレスを仕掛けるようになりました。
日本はプレスを避け前にロングボールを蹴り対応しますが、韓国の最終ラインに跳ね返され繋がれると日本の左サイドで3トップの右7番に左サイドバックの内野(貴)が1対1で苦戦する姿が目に付きました。
7番は左サイドのタッチライン際からドリブルで内に切れ込んだりすると、内野(貴)は逆をつかれて簡単に抜かれる等ファウルで止めるしかない状況になったりして7番に主導権を取られていました。
日本も負けずに韓国のプレスから右インサイドハーフの松木が、左ボランチ14番と3トップの左10番に挟み込まれ奪われそうになったところで、14番に掴まれながらも力強いボディバランスで競り勝ち内野(航)にスルーパスを出す決定機の演出をしていました。
交互に決定機を作り出し前半の静かな感じと比べると正反対の状況になり、打ち合いといった言葉が合う状況になりました。
そんななか韓国が左サイドからの攻撃でコーナーキックを獲得すると、日本から見て左のコーナーから左足でインスイングの強くて速い浮き球を蹴り、ゴールキーパーの野澤が飛び出して処理しようとしますが触ることができずにファーサイドの1番外で待っていた左ウイングバックの19番にヘディングシュートで74分に決められてしまいました。
日本は選手達がゴール前に集まっていたので恐らくマンマークではなくゾーンで守っていたと思います。
なので得点した19番を捕まえている感じがなく得点を決められたときに19番と近くにいた半田との距離が離れていました。
19番が半田の後ろにいたことや強く速い浮き球だったこともあり、ボールが蹴り出されてからだと恐らくマークしていない限り半田が19番に体を寄せる時間は無かったと思います。
私は日本がセットプレーでゾーンを使うのは正解なのか疑問に感じました。
セットプレーのゾーンを守る守備は身長の高い選手が多くいる国やチームが使うから効果を発揮するのではないかと思うからです。
日本が失点の場面で使うべきだったのはマンマークだと思ったのですが、それは何故かというとゾーンは自分の守る範囲に飛んできたボールに対して対応するので、身長が高いほうが自分の守る範囲の上空に来たボールに関われる可能性が高くなります。
日本の選手も身長が低いわけではないと思いますが、それでも欧米と比べれば低いでしょうし韓国の選手は空中戦に強いイメージもあります。
今回のように強く速いボールの場合ゾーンで守る選手は反応するのが難しいと思いますし、ボールの軌道や高さから見て上空を通過したボールを選手達は触れるだけの身長が無いように感じました。
であればマンマークで相手を捕まえた状態で競り合い守ったほうが、相手にいい状態でヘディングされる可能性が低い分良いと思います。
マンマークは対峙する相手に1人でも負ければ失点の確率が高くなりますが、上空のボールに誰も関われなかったゾーンよりは全然マンマークの方が良いでしょう。
あと失点の大きな要因としてゴールキーパーの野澤がボールに反応したのにも関わらず、ジャンプすることもなくボールに触れなかったことです。
キーパーが飛び出せばフィールドプレーヤーはキーパーに任せるので対応するのをやめてしまいます。
それが原因でゾーンで守る選手達の反応や対応が遅れたことも失点に繋がったと思いますし、何よりも野澤は飛び出したらボールに触らなくてはいけません。
それがキーパーの鉄則ですので飛び出して触れなかった野澤は強く速いボールに完全に目測と判断をミスしたことになります。
ゾーンで守る味方に進路を塞がれてしまった感じもありましたが、それでも野澤の判断ミスが失点の1番の要因でしょう。
キーパーはミスの許されないポジションでキーパーへの信頼がフィールドプレーヤーの動きにも影響を与えます。
特に1点を争う痺れる展開では尚更重要になりますので、今回の試合でキーパーのミスが出たのは両チームの明暗を大きく分けたと言っていいでしょう。


76分 日本 選手交代

  1. FW18内野(航)→FW19細谷

  2. FW13荒木    →MF 7 山本


U−23日本代表 選手交代 4−1−2−3
進行方向→
    16内野(貴)     10佐藤
    22高井   17松木
12野澤     8 藤田   IN19細谷
    15鈴木  IN 7 山本
     2 半田        9 藤尾


日本は左インサイドハーフの荒木を下げて右インサイドハーフの松木を左インサイドハーフに移動して新しく入った山本を右インサイドハーフに置きました。
そして3トップのセンター内野(航)と細谷を交代しました。
失点前から準備していた感じがあったので特に荒木は疲労を考慮した交代だと思いますが、どちらも選手を入れ替え運動量を保ち得点を取りに行きたい狙いがあったと思います。
試合再開後韓国は自分達のゴールから離れた日本の左サイドで、ボールをキープするなどリードを守るため時間を使う行動に出ます。
韓国7番の体の使い方が上手く対峙する内野(貴)ではキープするボールを奪えませんでした。
3トップの左佐藤と内野(貴)で挟み込んで対応するとフリーの16番にパスを出しゴールへ攻められ、ゴール前を守ると7番にパスを出しキープされる状況が続きました。
また強引に奪おうとすると隙間からゴール前にパスを繋ぎ、シュートまで持ち込まれて危険な場面を作られていました。
それでも日本はファウルをしないで粘り強くボールを奪うと、右サイドから3トップの右藤尾が1対1を仕掛けてクロスを入れてチャンスを作りましたが、決定機を決める正確さがなく決められません。
韓国の方が日本よりも疲れが見える感じがありましたが、ボールが外に出たタイミングで上手く時間を使いながら休み、ゴール前の危険な場面では集中を切らさず力を振り絞り守っていました。


80分 韓国 選手交代

  1. DF15番→MF13番


U−23韓国代表 選手交代 3−4−3
進行方向←
         16番
      7 番 IN13番   3 番
 18番           8 番  12番
     10番  14番  22番
         19番


韓国は右のセンターバック15番を下げて右ボランチの3番を右センターバックに移動させ新しく入った13番を右ボランチに置きました。
15番の疲労か足の痙攣で交代したのでしょう。
韓国が疲労感を見せる中で日本は攻勢を強め得意のセットプレーも含め相手ゴールへ襲いかかりましたが、韓国の固い守備に阻まれ得点することはできませんでした。
アディショナルタイムが9分あり攻めるには十分な時間がありましたが結局韓国がリードを守りきり試合が終わりました。


3.試合後


3.1試合の感想


日本はセットプレーのミスから失点を許し韓国に負けてしまいましたが全体的に見ればほぼ五分五分の内容だったように思います。
しかし、両サイドバックは対峙する相手に苦戦していた感じがありました。
特に左の内野(貴)はそれが目立っていたと思います。
センターバックの空中戦を含めた守備は安定していたと思いますが、両サイドバックは今後の課題かもしれません。
他にはキーパーの野澤は判断ミスがあり小久保に比べ安心感がないと感じましたし、UAE戦に続き前線の選手は決定機を活かせず未だに無得点です。
チャンスが無いのであればしょうがないですがそれなりに今回もチャンスはあったのでより問題は深刻です。
点の取れないFWなら周りを活かすFWになってもらうのが良いのかもしれません。
例えば藤尾はポストプレーが出来るのでサイドではなくセンターで起用して、インサイドハーフに得点させる形を作ったほうが良いのかもしれません。
中盤の選手の方が点を取ってくれる気がします。
あとこのチームは慎重すぎるのか相手が疲れてきた終盤に縦パスを中央付近に入れずにサイドばかり使っていました。
多少のリスクがあっても中央に縦パスを入れて攻めないとサイドが生きてきませんし、相手のブロックは崩れないと思うので今回のようにグループリーグ突破が決まったあとの試合では、思い切りの良い縦パスを見たかったです。
また相手のペースに付き合ってしまう印象もあるのが気になりますし、それが慎重に見える1つの要因なのかもしれません。
もしかするとターンオーバーが選手の疲れを軽減させていますが個々の出場時間が十分に取れないため、コンディションが上がらず慎重になったりオリンピックの出場権獲得がプレッシャーとして重くのしかかっている可能性も十分にあります。
様々なことに様々な理由を考えてしまいますが結局は勝つために何をするのかが1番重要です。
準々決勝までに改善できることはして負ければ終わりの重要な試合を戦ってほしいと思います。


3.2後書き


韓国に負けてグループBの2位になりこの時点で準々決勝の相手はカタールになりました。
グループリーグを勝ち上がってきたチームはどこも強いとは思いますが、やはり開催国のカタールと対戦するのはホームとアウェーの影響を考えると嫌な感じがあります。
実際に戦う選手や監督は気にしてないかもしれませんが、応援する側としては嫌なものです。
ただカタールに勝てば開催国の枠に入るのでトーナメントの日程的に有利な側面もあります。
それは準決勝で対戦相手よりも1日多く準備が出来る点で、カタールに勝つと準決勝は中3日で相手は中2日になるからです。
まずは準々決勝を勝つことが大事ですがターンオーバーのおかげでここまで対戦した相手に体力面では全て勝っていたと思うので、強みを活かして戦ってもらいたいです。
準々決勝で勝てばオリンピックの出場権をかけた戦いが3回できます。
準々決勝がパリ五輪世代にとって大きなターニングポイントになるのは間違いないでしょう。
選手達のキャリアにも大きく関わってくる重要な局面を自分たちの力で切り開くことを期待しています。


終わり。

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