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サッカーU−23/日本×中国を振返る/GL第1戦/AFCU−23アジアカップ2024パリ五輪アジア最終予選/24.04.16


1.試合前


1.1前書き


AFCU−23アジアカップ2024が開幕し24年4月16日にU−23日本代表のGL(グループリーグ)初戦中国戦が開催されました。
この大会はパリ五輪アジア最終予選を兼ねているため3位まで入ればパリ五輪に出場できます。
また4位になれば大陸間プレーオフでアフリカ大陸のギニアと対戦することになり、勝てば最後の出場枠を獲得できます。
23歳以下の選手にとっては今後のステップアップのためにもパリ五輪に出場することは大きな経験になり、近い将来フル代表に選出されるためまた選手個人としてステップアップするためにも重要なことだと思うので、サッカーファンとしては今大会で出場権を獲得し今後の成長に繋げてほしいと思うところです。
選手は恐らくパリ五輪の出場権獲得はあくまで最低目標で優勝を目標に大会に挑んでいることでしょうから、優勝を目指し勝ち進むことを願い応援していきたいと思います。
戦力的に見ると今回のチームは東京五輪世代に比べ有名な選手が大勢いるわけではないですが、Jリーグで試合に出場している選手が数多くいてあとは海外でプレーする選手も5人いるため、名前が知られていなくてもある程度力のある選手達が集まったチームだと思います。
パリ五輪世代には彩艶や久保も該当しますがオリンピックはFIFAの大会とは違いクラブ側に招集を拒否する権利がある為、海外のクラブで主力としてプレーしていて更にフル代表でもプレーしている彼らを招集するのは正直難しいと思いますし現実的な考えではなかったでしょう。
その他にも海外でプレーする選手が何名かいますがその選手達も今回招集できませんでした。
海外でプレーする選手を招集できないことでチームに影響があるのか分かりませんし、Jリーグの選手が彼等より劣っているとも思いませんが、選手選考の選択肢が狭まったのは間違いないのでベストと言えるチーム作りができなかった可能性はあるかもしれません。
しかし、過去のオリンピック世代にはクラブで出場機会の少ない選手を集めるしかなかったこともあるので、そのことを考えると今回のチームは戦力的に見て悪くないと言えるでしょう。
恐らくコロナ禍にJリーグが降格を無くした期間がありクラブが若い選手を起用しやすくなったために、出場機会を増加させた若手がいたはずなのでパリ五輪世代にはそういった影響もあり試合に出場できている選手が多いのかもしれません。
戦力的に悪くないと言っても他国も年々チームの強化が進んでいるので簡単な試合はないと思いますが、まず準決勝を目標に勝ち上がりパリ五輪の出場権を獲得してほしいですし、最終的には優勝してほしいと期待しています。
それでは中国戦を振返りたいと思います。


1.2先発情報


U−23日本代表 先発メンバー 4−1−2−3
進行方向→
    16内野(貴)      20平河
    22高井   17松木
 1 小久保    8 藤田     19細谷
     3 西尾    7 山本
     4 関根        11山田(楓)


U−23日本代表 ベンチメンバー
GK 12野澤 23山田(大)
DF   2 半田  5 木村 15鈴木 21大畑
MF  6 川崎 10佐藤 14田中
FW  9 藤尾 13荒木 18内野(航)


U−23中国代表 先発メンバー 4−2−3−1
進行方向←
      9 番       5 番
         19番  13番
 11番   7 番          22番
         10番   4 番
     17番      16番


U−23中国代表 ベンチメンバー
GK  1番 12番
DF   2番   3番 15番 21番
MF  6番 20番 23番
FW   14番 18番


2.試合


2.1前半


前半両チームの戦い方を見ると日本は攻撃では4−1−2−3の並びでショートパスを繋ぎ攻めるのが軸になっていて、守備では相手のビルドアップや自陣でブロックを敷いて守るときは、左インサイドハーフ松木がセンターフォワード細谷と2トップになり、更に右インサイドハーフ山本がアンカー藤田とダブルボランチになり4−4−2の並びに変化する形をとっていました。
中国も攻撃では4−2−3−1と日本と並びが違いますがショートパスを繋ぎ攻めるのが軸になっていて、守備では相手のビルドアップや自陣でブロックを敷いて守るときはトップ下7番が1トップ11番と2トップになり日本同様4−4−2の並びに変化して守備をする形をとっていました。
両チーム攻撃時の並びこそ違いますがショートパスを繋ぎ攻めるところや守備時に並びを変化させたり変化後の並びが同じで、似た戦い方をしているようにも見えますが守備のしかたに違いがありました。
日本は相手が自陣からショートパスを繋いで攻めようとすると前線の選手がボールホルダーとの距離を詰めボールを奪いに行き、それに合わせて前線と中盤が相手ボールホルダーの近くにいる選手へショートパスを繋ぎにくくするため、すぐにパスカットやプレッシャーに行ける距離にポジションをとりプレスをかけます。
そして相手がショートパスを繋いで攻めるのが難しくなり苦し紛れに前にボールを大きく蹴り出したら、最終ラインがボールを回収するという形のボールを奪うための守備をしていたのに対して、中国は相手がボールを繋いできても前線からボールを奪いにいくことはせずに、ブロックを敷いて相手を自陣に侵入させないよう文字通り自陣に壁を作りゴールを守ることを優先した守備のしかたをしていました。
守備のしかたが違うことで日本は中国からボールを奪い保持する時間を増やし、同時に攻撃する時間も増やすことができたため試合の主導権を取ることができました。
守備のやり方が違うだけでは簡単に主導権は取れないと思いますが1対1の競り合いのところで日本はしっかりと戦えていたのが影響していたと思います。
主導権を取ることに成功した日本はビルドアップから主に相手の両サイドを攻めて7分に先制点を取りました。
内容は日本が相手のバイタルエリア付近で左サイドから中央を経由し右サイドに展開すると、オーバーラップした右サイドバック関根がPA(ペナルティエリア)に侵入しますが1対2の状況だったため後ろにいた右フォワード山田にボールを戻しました。
山田はゴール前の状況を見て左足でゴールに向かうクロスを蹴ると、ゴール前で中国のディフェンスラインの間にポジションをとりオフサイドにならないよう飛び出した松木が左足で合わせ先制点を取りました。
山田のクロスが正確だったことと松木のポジショニングや飛び出すタイミングが良かったことで奪えた得点だと思います。
また中国がゴール前で日本の選手をマークしきれていなくて、更にラインコントロールに意識があったように見えたのが得点に影響しているのかもしれません。
得点後も日本は攻撃から守備への素早い切り替えを継続できていたので、ボールを奪われてもすぐに奪い返すことができ結果的に攻撃の回数や時間を増やすことに成功して主導権を持ち続ける要因になっていたと思います。
失点した中国も攻めようとはしていましたが日本の攻から守への切り替えが速いことでなかなかパスを繋ぐことができず、更に1対1で勝負ができていない感じもあったのでまともに攻めの形を見せることができていないと思いました。
中国はパスを繋ぐのを諦め日本の高い最終ラインの裏を突く攻撃や体格の良さそうな選手が多くいたので浮き球のロングボールを多用し空中戦を仕掛ければ、日本の最終ラインを下げさせることに繋がり前線から最終ラインまでがコンパクトな距離間の守備を間延びさせることができて、中盤にスペースが生まれてからまたパスを繋げば日本のプレスが弱まり崩すことができたかもしれません。
また速攻やカウンターを多用し日本の守備が整う前に攻めきることも状況を打開する策としては有効だったかもしれません。
守備では1点リードされている中国は自陣でブロックを敷いて相手を待ち受けるのではなく、日本同様に前からプレスをかけ奪いにいくことが必要だったと思います。
ただ攻守どちらの策も1対1でもっと勝負する意識を持ちプレーしなくては効果を発揮しないと思うので、中国は戦う意識をより表に出す必要があったのは間違いないでしょう。
こういった改善ができなかったことで中国は日本に主導権を握られたまま劣勢が続いていたのだと思います。
しかし、14分に日本がコーナーキックでゴール前に浮き球を入れ中国の選手に跳ね返された後、日本がセカンドボールを回収し攻撃に出ようとしたとき中国の選手が1人倒れていたため主審が試合を止めて倒れている選手の状態を確認しに行きました。
セットプレーかその後に接触があり倒れていると思われましたが、主審がVARから助言を受け映像を確認すると16分主審は右センターバック西尾にレッドカードを出し西尾が一発退場になりました。
放送局のリプレイで確認してみるとセットプレーで中国の選手が浮き球を跳ね返した後、ゴール前に密集していた両チームの選手がゴール前から散らばっていく中で、中国の10番が西尾に後ろから接触または押した感じになりそれに対し西尾は左腕を振る動きを見せると、相手は顔か首のあたりを手で押さえ倒れました。
西尾の左腕を振った動きを主審は悪質なプレーと判断して一発退場にしたのでしょう。
どちらの選手も故意に接触したり腕を振ったのかは分かりませんし倒れたのが演技かどうかも分かりませんが、映像を見て言えることは西尾の行動が印象的に悪い見え方をするのは間違いないため退場になってもしょうがないということだと思いました。
この試合を解説していた内田さんも言っていましたが西尾が退場になったことで日本はディフェンス西尾のポジションを誰が下がり埋めるのか、または選手交代はするのか並びをどうするのかなどすぐに対応しなくてはならない問題が発生したため、西尾がピッチを出ないで主審に抗議をするなど時間稼ぎをする必要がありました。
しかし、西尾は1分もしないうちにピッチから出てしまい他の選手も抗議をして時間を稼ごうとする姿が見られませんでした。
時間稼ぎができなかったことが日本人らしいというのかまたは彼等の若さが出てしまったことなのか何とも言えませんが、こういった状況でしたたかに振る舞えない彼等はまだ西尾の腕を振った行動も含め選手として未熟と言うしかないでしょう。


U−23日本代表 ポジション変更 4−4−1
進行方向→
    17松木    20平河
    22高井     8 藤田
 1 小久保            19細谷
     4 関根     7 山本
    16内野(貴)  11山田(楓)


日本は退場した右センターバック西尾のところに右サイドバック関根を置き、右サイドバックには左サイドバック内野(貴)が入り左サイドバックには左インサイドハーフ松木が入りました。
そして右インサイドハーフ山本がアンカー藤田とダブルボランチになり、3トップの両サイドだった左平河、右山田(楓)がポジションを下げサイドハーフになり細谷が1トップの4−4−1に並びを変えました。
西尾の退場後すぐに試合が始まり日本は西尾のポジションを誰が埋めて並びをどうするのか定まっていない時間が1分程あった感じがしましたが、中国が積極的に攻めてこなかったことや日本が攻める時間を作り出せたりピッチの外にボールが出たタイミングで修正できたことが幸いし、西尾のポジションを埋めたり並びを変えることが比較的早く安全にできたと思います。


21分 日本 選手交代

  1. MF 7 山本→DF 5 木村


U−23日本代表 選手交代 4−4−1
進行方向→
    16内野(貴)  20平河
    22高井     8 藤田
 1 小久保            19細谷
   IN 5 木村    17松木
     4 関根    11山田(楓)


ポジション変更で西尾のポジションを埋めた日本でしたが21分に山本から木村に選手交代をしてポジションをまた変更しました。
木村を右センターバックに置いて関根と内野(貴)を本来の右と左のサイドバックに戻し、松木を交代で下がった山本のポジション右ボランチに入れました。
監督は西尾の退場でポジションを変更した選手を木村を入れることで本来のポジションに戻しチームを安定させたい狙いがあったと思います。
10人になった日本は中国戦のために用意したゲームプランが攻守共に全て使えなくなりました。
今までのように前線からプレスをかけボールを奪う守備をすると、中国の選手が1人余るためプレスをかわされてしまいますし、1人少ないことでビルドアップしても今度は中国に前線からプレスされる可能性があるのでパスを繋ぐのが難しくなり戦い方を変えなければいけなくなりました。
日本は4−4−1の並びで自陣にブロックを作り相手をゴール前に侵入させない守り方に変え、1点リードしている強みを活かしゴールを守り失点する可能性を減らす対応を取りました。
攻撃ではショートパスを繋ぎ攻めるのが難しくなったので前線の細谷を狙いロングボールを蹴り、速攻やカウンター等の手数をかけずにシンプルに攻めきる手段を軸に攻撃していました。
中国は1人多い強みを活かし攻撃の時は両サイドバックと両サイドハーフ、トップ下の選手を前線に配置し1トップの選手と合わせて6トップを横一列に並べ最終ラインからロングボールを入れたり、ビルドアップしてパスを繋ぎ両サイドから攻める攻撃に変化し、守備では1点負けていることもあり前線からプレスをかけボールを奪いにいく守り方に切り替えていました。
両チームの状況は西尾の退場で逆転し日本は1点リードしていましたが劣勢になり、中国に主導権を完全に握られてしまいました。
しかし、日本は落ち着いて安定した守備を見せていましたし、バイタルエリア中央から7番に撃たれたミドルシュートがバーに当たった場面と、日本から見て右サイドから16番が入れたアーリークロスをゴール前で9番がヘディングシュートした場面を除けば、中国のパスやトラップは精度を欠き攻撃のアイデアやパターンも単調だったためそれほど怖いものではなかったと思います。
日本は1人減ってから攻撃の回数が激減して攻めきる場面もほぼありませんでしたが、守備ではゴールキーパーの小久保が安定した判断とセービングを見せてチームを助けていたと思います。
結局前半が終わるまで中国に一方的に攻められる状況でしたが、日本は中国の精度を欠いたプレーに助けられた感じもあり失点すること無く前半を終えました。
中国は数的優位に立ちながらも自らのミスや雑なプレーでせっかくのチャンスを潰してしまった感じがありました。
相手が何を嫌がってるのか探し弱みを繰り返し突く洞察力や判断力があれば中国はもっと違う展開に持ち込めていたかもしれません。
ただ両チームには数的な有利不利がありましたが個々の力で見ると日本の選手の方が実力が完全に上だと感じました。
個々の実力差が数的不利でも安定した守備を見せ失点を防げた要因であるのは間違いないと思います。


2.2後半


45分 中国 選手交代

  1. MF11番→FW18番

  2. FW17番→MF23番


U−23中国代表 選手交代 4−2−3−1
進行方向←
    IN23番       5 番
         19番  13番
IN18番   7 番          22番
         10番   4 番
      9 番      16番


中国は後半開始前に左サイドハーフ17番を下げ右サイドハーフに23番を入れ右サイドハーフだった9番を左サイドハーフに変更し、更に1トップ11番を18番と交代しました。
後半が始まり戦い方を見ると中国に選手交代がありましたが、両チーム日本が前半10人になってからとフォーメーションの変化はありませんでしたが、日本はハーフタイムに状況が整理できたのか前半よりも中国がビルドアップするときに平河、山田、細谷が連携して
相手のサイドバックにプレッシャーをかけるようになり、中国に両サイドからショートパスやクロスを簡単に蹴らせないようにしました。
そして攻撃ではまず速攻やカウンターを狙いますが相手の帰陣が早いと、強引に攻めることはしないでパスを回し時間を使いながら攻める様子を見せ、体力の消耗を抑えていたように感じました。
中国は後半開始早々に日本から見て右サイドで日本からボールを奪うと7番、18番、23番とシンプルにパスを繋ぎ、日本のディフェンスラインを突破してゴールキーパー小久保と1対1になるカウンターを仕掛けましたが、小久保にシュートを止められ決定機を活かせませんでした。
決定的な場面を作ったカウンターが1回あった以外は今まで通りビルドアップからの攻めが中心で今までと特に変化がありませんでしたが、そのビルドアップも日本が前半とは違いプレッシャーをかけるようになったことで、両サイドバックを前線に上げづらくなり攻め込む場所を探すため最終ラインでパスを回す時間が長くなって攻めにくそうにしている感じがありました。
ただ時間が進むと徐々に日本陣内に全体を押し込み左右どちらかのサイドバックを前線に上げ、両サイドハーフとトップ下、1トップと合わせて5トップを作り攻めるようになりました。
それでも日本は中国の最終ラインにプレッシャーをかけ簡単にロングボールやショートパスを出させなかったので、中国は正確なパスを出すことができず日本が驚異に感じるような攻撃はできていなかったと思います。


57分 中国 選手交代

  1. DF16番→DF2番


U−23中国代表 選手交代 4−2−3−1
進行方向←
     23番       5 番
         19番  13番
 18番   7 番          22番
         10番   4 番
      9 番     IN 2 番


日本は中国の攻撃を跳ね返しクリアや反撃に出るも前線に人数が足りないため攻撃が途中で行き詰まると、中国にボールを奪われまた攻められるという展開が繰り返され長く続きました。
しかし、セカンドボールや中国の中途半端なパスを奪うと素早い速攻やカウンターを見せる場面もあり、攻める意識を失わずに相手を自陣深くに下げさせて中国に失点の恐怖を与えていたと思います。
日本が攻撃を完全に諦め守備だけをしていたら恐らく中国は前線に更に人数をかけ攻めていたと思いますが、回数は少なくても適度に反撃の姿勢を見せることで日本が中国に一方的な状態を作らせなかったのだと思います。


65分 中国 選手交代

  1. DF13番→DF3番


U−23中国代表 選手交代 4−2−3−1
進行方向←
     23番       5 番
         19番 IN 3 番
 18番   7 番          22番
         10番   4 番
      9 番       2 番


65分 日本 選手交代

  1. MF20平河→MF10佐藤

  2. MF11山田→FW 9 藤尾


U−23日本代表 選手交代 4−4−1
進行方向→
    16内野(貴) IN10佐藤
    22高井     8 藤田
 1 小久保            19細谷
     5 木村    17松木
     4 関根   IN 9 藤尾


日本は両サイドハーフを交代して相手のボールを出す選手にプレッシャーをかける運動量を保ち、正確なパスを出させないために選手を交代したと思います。
また、佐藤はドリブルが武器なので1対1で相手を抜くことができればチャンスを作り出せる可能性がありますし、藤尾は体格を活かしキープができるので前線でタメを作り味方に全体を押し上げる時間や攻撃参加する時間を作り出させたい狙いもあったかもしれません。
実際交代後に藤尾のキープから敵陣深くに攻め込んでファウルされると、この世代が得意とするセットプレーを獲得する場面や佐藤が左サイドでボールを奪い1人抜け出すと、相手のPAにドリブルで侵入する場面もありそういった場面から日本が攻撃する時間を増やし、前半から出続けている選手が息を整える状況を作り出せたので交代の効果があったと思います。
中国は左サイドバックと右センターバックを後半途中で交代してきたので、ロングボールやショートパスの精度が高い選手を入れてきたのかと思いましたが、相変わらず正確なパスを出しチャンスを作り出すことはできなかったので私には何のために交代したのか疑問でした。
意図のない交代をするくらいなら1人多い利点を活かし守備の選手を攻撃の選手と交代して前線の攻撃力を高めたり、リスクはありますがサイドバックに守備力が低くても正確なボールを蹴れる選手を置くために、ポジションを変えたり交代させたほうが攻撃の厚みが出たと思います。


87分 中国 選手交代

  1. MF19番→GK12番


U−23中国代表 選手交代 4−4−2
進行方向←
       23番     5 番
 18番     7 番     3 番
                 22番
IN12番    10番     4 番
        9 番     2 番


89分 日本 選手交代

  1. DF16内野(貴)→DF15鈴木

  2. FW19細谷   →FW18内野(航)


U−23日本代表 選手交代 4−4−1
進行方向→
   IN15鈴木    10佐藤
    22高井     8 藤田
 1 小久保          IN18内野(航)
     5 木村    17松木
     4 関根     9 藤尾


中国は右ボランチ19番を下げて12番を入れ18番と2トップにして、トップ下7番を右ボランチへポジション変更し4−4−2の並びに変化させました。
12番は本職がゴールキーパーですが身長が2mあるので、あらかじめフィールドプレーヤーのユニホームを用意してパワープレイのターゲットマンとして使えるように準備していたようです。
そして実際に両サイドからクロスを入れ12番の高さを活かしパワープレイをしてきました。
日本は1トップ細谷を下げ内野(航)を入れて前線からのプレッシャーが弱まらないように運動量を保ち、左サイドバック内野(貴)を下げ普段はセンターバックをこなす鈴木を左サイドバックに入れクロスの高さ対策をしました。
中国は正確なボールを蹴ることをあまり気にしない感じでとにかくクロスをサイドや最終ラインから入れましたが、フォワードが専門ではない高身長の12番を含め5〜7人の選手を常に前線へ張り付かせるも上手く効果を発揮できませんでした。
結局終盤のパワープレイを日本がしのぎ1人少ない日本が最後まで1点を守りきって試合を勝利で終わらせました。


3.試合後


3.1試合の感想


前半の早い時間に先制点をとり試合を優位に進めるかと思われた日本でしたが、西尾の軽率な行動により前半から1人少ない状態で70分以上戦わなくてはいけない状況になり、初戦から難しい戦いを強いられたと思います。
もし退場が無かったら11人のときの試合展開から考えるとだいぶ楽に勝てる可能性があったと思います。
起きてしまったアクシデントに何かを言ってもしょうがないのですが、1つ言えることがあるとすればこの経験を次に活かし同じミスは2度としないよう気をつけるということだと思います。
中国の攻撃は日本が驚異に思うほどのものではなかったと思いますし、日本が技術や精神面、組織力で勝りそして何より運動量で1人少ない状況をカバーしたことで安定した守備を見せることができました。
試合中の選手達は疲れた姿を見せることもなく冷静で落ち着いた対応を取っていましたので、観ている私も比較的安心してみていられました。
中国の連携や組織力があまり感じられない単調な攻撃に助けられた部分もあったと思いますし、高身長のゴールキーパーを使いわざわざフィールドプレーヤーのユニホームまで用意して実行したパワープレイもただの奇策だったと思います。
更に中国の監督は選手交代を効果的に使うこともできなかったですし、1人多い利点をポジションやフォーメーションの変更で活かすこともできなかったと思うので、日本からしてみればだいぶ楽をさせてもらったと言えるでしょう。
これが例えば韓国戦で日本が退場者を出していたことに置き換えると、この程度では済まなかったと思います。
そう考えると中国戦だったことや退場者を出す前に得点できたこと、そして試合に勝てたことは運が良かったと思います。
もちろん日本に実力があるという前提があってこそのものですが、もしかすると今大会日本は運が味方をしているのかもしれません。
初戦を勝った勢いでこのまま最後まで突き進み優勝することを期待しています。


3.2後書き


中国戦が終わり試合のことを少しずつ書いているとフランクフルト所属の長谷部選手が今シーズンを最後に引退するというニュースを見ました。
日本代表がW杯に出場してから1番長くキャプテンを務め私の中では歴代代表の中で1番優秀なキャプテンだと思う人です。
クラブチームでは多くの監督から信頼されている印象があり一緒に仕事をした監督達から「彼はサッカーをよく理解している」と言われていた記憶があります。
その言葉からピッチ上にいる監督というイメージがあり海外ではけして体が大きいわけではないですが、自分より大きい相手に体格やパワー以外の部分で勝負をして自由にプレーさせなかったり、統率力でチームのバランスをとり戦術を機能させたりと試合をコントロールすることができる選手だと思います。
そういった選手だからこそ長年海外でプレーできたと思いますしクラブや選手達からも信頼されたのでしょう。
結果が出ない時期や怪我が続いたときもありましたしベンチに置かれ出場機会に恵まれない頃もありましたが、年齢を重ねるたびに活躍できなくなるものですが年々成長する姿を見せ、ヨーロッパリーグ優勝などの結果をキャリアの後半に残しました。
選手として試合に出場しながらドイツで指導者のライセンス取得も同時に行っていたらしいので、引退後は監督になることを目指しドイツでコーチとして学ぶのかと思いますが将来的には海外で監督をする日本人のパイオニアとなるかもしれません。
そうなれば選手に比べ監督の部分でまだまだ欧州に遅れている印象の日本が、欧州のクラブで監督をする道がひらけ優秀な監督が今よりもでてくるかもしれません。
そんなことを期待させるほど長谷部選手には可能性があります。
今の段階でまだ将来のことはどうなるか分かりませんが、長谷部選手の今までの選手生活や代表での貢献にサッカーファンとして感謝の気持があります。
まずは残りの選手生活を無事に終えて体を休めてほしいと思います。
少し早いですが長谷部選手今までお疲れさまでした。
そして選手としての活躍を見ることができて嬉しかったです。
今までありがとうございました。


終わり。

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