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サッカーU−23/日本×UAEを振返る/GL第2戦/AFCU−23アジアカップ2024パリ五輪アジア最終予選/24.04.19


1.試合前


1.1前書き


AFCU−23アジアカップの日本のGL(グループリーグ)第2戦UAE戦が2024年4月19日に開催されました。
日本は初戦で1人退場者を出しながらも1−0で勝ち幸先の良い出たしとまでは言えませんが、2戦目に繋ぐ勝ち点3を手にしたと思います。
しかし、10人で戦うのは当然普段よりも体力の消耗が激しかったと思いますし、U−23アジアカップは試合と試合の間が2日間しかなくいわゆる中2日と言われる期間しかありません。
通常であればほとんどの大会で選手の体調を考えて中3日の期間を空けて次の試合を行いますが、オリンピックの開催期間が短く試合の間が中2日のため恐らくU−23アジアカップも同じ中2日の期間しか空けないのだと思います。
以前まではオリンピックが中1日の時代もありかなりハードスケジュールだったことを考えれば多少ですが改善はされています。
しかし、選手にとって中2日で回復と次の試合の準備をするのはかなり厳しいでしょう。
そこで考えられるのが試合に出た選手と出ていない選手を入れ替えて次の試合に挑むターンオーバーです。
U−23アジアカップには1チーム23人まで選手登録を出来るため1試合に先発メンバー11人と交代選手5人の16人が出場できます。
すると残り7人は試合に出ていないので疲労が溜まっていませんが、ゴールキーパーが1チーム大体3人いるのでフィールドプレーヤーが5人出場していないことになります。
すると試合にフル出場していない選手は先発から5人、交代選手5人、そして試合に出ていないフィールドプレーヤー5人の15人になります。
こういった疲労が少ない選手達を試合に上手く使うことで例えば3試合のうち2戦目で選手を入れ替えると、1戦目にフル出場した選手は3戦目まで中5日回復や次への準備ができます。
もちろん選手たちの実力にばらつきもある為選手を入れ替えると負けるリスクもありますが、そのへんは監督の見極めが必要で選手の疲労と能力を考え何人の選手を入れ替えて試合に挑むのか調整が必要です。
入れ替えながら勝つことができれば短期間に最大6試合ある大会なのでかなり有利になります。
日本は初戦で1人退場者を出したのでUAE戦は22人になりますが、どのくらいターンオーバーを実行し2戦目に挑んだのかも含め試合を振り返ってみたいと思います。


1.2先発情報


U−23日本代表 先発メンバー 4−1−2−3
進行方向→
    21大畑       10佐藤
     5 木村   13荒木
 1 小久保    7 山本     9 藤尾
    15鈴木    6 川崎
     4 関根       11山田(楓)


U−23日本代表 ベンチメンバー
GK 12野澤 23山田(大)
DF   2 半田 16内野(貴) 22高井
MF  8 藤田 14田中 17松木 20平河
FW 18内野(航) 19細谷


U−23UAE代表 先発メンバー 4−1−2−3
進行方向←
 11番          23番
     12番       5 番
 21番       4 番      22番
      8 番       3 番
  7 番          13番


U−23UAE代表 ベンチメンバー

GK  1 番 17番
DF   2 番 14番 18番
MF  6 番
FW  9 番 10番 15番 16番 19番 20番


2.試合


2.1前半


前半が始まると日本はベースが4−1−2−3の並びで相手がディフェンスラインからショートパスで繋いだり日本が自陣でブロックを作り守る場合は、左インサイドハーフ荒木がセンターフォワード藤尾と2トップを組み、更にアンカーの山本と右インサイドハーフ川崎がダブルボランチを組んで4−4−2の並びに変化する形をとります。
そしてUAEがディフェンスラインからパスを繋いで来る場合は日本が前線からプレッシャーをかけ奪いにいくプレスを中盤、最終ラインと連動して仕掛けます。
また攻撃から守備への切り替えを素早くしてボールを奪われたらすぐに近くにいる選手が2、3人で奪いに行く守備のやり方をしていました。
ここまで説明した日本の並びやチーム戦術は前の試合と同じで特に変化がありませんでしたが、選手を前回から7人入れ替え大幅なターンオーバーを実行してきました。
7人入れ替えるのはターンオーバーとしてはかなり大胆で私の感覚ですが5人ターンオーバーすれば十分多い部類に入ります。
7人入れ替えると組織力や連携、個々の実力が落ちる危険があり弱くなる可能性が高いと言えますが、大会本番で入れ替えたということは前々から大会を想定して選手の組み合わせを試し試合をしてきたのだと思います。
監督に自信がなければできないことですから勝つ自信があるのでしょうが、実際に勝てるかどうかはまた別の話です。
UAEもベースは4−1−2−3の並びで日本がディフェンスラインからショートパスを繋ぐ時は右インサイドハーフ12番がアンカー山本をマークして、更にアンカー4番と左インサイドハーフ8番がダブルボランチを組む4−2−3−1の並びに近い感じに変化します。
そして自陣でブロックを作り守る場合は4−3−3または4−1−4−1の並びでセンターフォワード21番を前線に残すような形にして守り、奪った後のカウンターを意識しているような感じがしました。
そして日本がディフェンスラインからパスを繋いで来る場合は前線からプレッシャーをかけますが、日本と比べるとややプレッシャーが弱くボールを奪いにプレスを仕掛けているとまでは言えない感じのものだと思います。
序盤は両チーム互いの前線からのプレスを警戒しディフェンスラインから繋がずにロングボールを前線に入れ、相手最終ラインの裏を狙ったり前線の選手が空中戦で競った後のセカンドボールを回収して攻撃している感じでした。
特にUAEはセンターフォワード21番の身長が高いため21番をターゲットにロングボールを蹴っていたので、ディフェンスラインから21番を狙いロングボールを蹴り21番が空中戦からヘディングですらし裏へ流すと、3トップの両サイドがあらかじめ日本ディフェンスラインの裏をとり走り込む形や近くの味方にボールを落とし預けるポストプレイの形をあらかじめ準備してきた様子が伺えました。
しかし、ディフェンスラインからのロングボールが正確でなければ成功率は低いですし、日本が前線から相手のディフェンスラインにプレッシャーをかけ全体を押し上げるプレスを仕掛けていたので、簡単に正確なロングボールを蹴らせなかったり日本の最終ラインを高く保つことで、ゴールとの距離を遠ざけ21番のプレーが成功しても簡単にはゴール前までたどり着けないようにしていました。
また鈴木と木村の両センターバックが21番と片方が競り合いもう片方がカバーをするチャレンジ&カバーができていたので相手を自由にさせませんでした。
UAEはもっと21番の周りに人を集め敵陣に押し込み作戦を実行すれば確率が上がったかもしれません。
そのためには日本の前線からのプレッシャーをかわし全体を押し上げる必要があったでしょう。
日本はディフェンスラインからボールを繋ぎ相手のプレッシャーをかわすと両サイドからパスを繋ぎ攻め上がりました。
藤尾が下がりパスを受けるとセンターバックを食いつかせ引き出したところで、ワンタッチパスを繋いでディフェンスラインを崩したり、また3トップの両サイドが横幅を広く使いサイドライン際にポジションをとると、パスを受け相手の両サイドバックが食いつき引き出されたところで、広く空いたセンターバックとサイドバックの間に日本の両インサイドハーフが走り込んで崩すなど、ディフェンスラインを揺さぶる攻撃を仕掛けシュートまで持ち込んでいました。
UAEは全体の距離感を狭くして選手の間を通す縦パスの侵入を防いだり、ボールのあるサイドにディフェンスラインの間を空けずマークする選手を受け渡しながら全体を左右にずらしていたら崩される可能性が低かったかもしれません。
前線からのプレッシャーが弱く前と後ろの距離間もコンパクトでないため、中盤で日本の選手を捕まえきれず簡単にパスを繋がれ攻められていたためUAEはどう守ればいいか混乱しているようにも見えました。
UAEの攻撃では21番をターゲットにした攻撃が上手くいかないためアンカー4番をセンターバックの間においてパスを回し、両サイドバックのポジションを上げることで日本の前線からのプレッシャーをかわし、ロングボールを前線の両サイドに蹴ると3トップの両サイドをターゲットにサイドバックや21番に繋ぐ工夫を見せました。
しかし、ボールサイドへの人数のかけ方が日本の方が早いため、数的有利な状態を作り相手の侵入を防いだりセカンドボールを回収していました。
UAEはロングボールをターゲットに当てる攻撃では確率が低いため、ショートパスを繋いで攻める意識を持ち色々な方法を試すべきだったかもしれません。
UAEが攻守共に上手くいかないため日本が主導権を握ると、UAE陣内に押し込んで攻撃する時間を増やし相手の守備を揺さぶると決定機を何度も作りだしました。
するとこの世代が武器とするセットプレーの回数も増え左のコーナーキックから逆サイドに大きくボールを蹴ると、右サイドで山本が左足でゴールに向かうクロスを折り返します。
ゴール前で木村が競り合いヘディングシュートを撃つと、日本から見て左のポストへ当たりゴールしました。
26分木村の得点で日本が先制点を奪いリードすることに成功しました。
コーナーキックから逆サイドに蹴ったことでUAEの選手はボールに意識がいきマークが外れたところに、山本の正確なクロスと木村のヘディングが合って得点できたのだと思います。
UAEは失点後ディフェンスラインからパスを繋ぐ日本に対して今までよりも前線がしっかりとプレッシャーをかけ奪いに来ましたが、
しかしそれでも日本は長短のパスでかわし攻勢に出たため主導権を維持して得点後の勢いも加え決定機を作り出しました。
UAEは日本の攻撃に耐えられずファウルをしてしまうため、PA(ペナルティエリア)の周りで日本が得意のセットプレーをする回数も増やし攻撃の巡りが良くなる一方でしたが、最後の部分で精度を上げられず追加点を取ることはありませんでした。
UAEは前半の終盤に3トップの左をターゲットにしたロングボールの攻撃で、ポジションが入れ替わっていた左サイドバック13番にロングボールを入れると21番とワンツーの形になり、日本のディフェンスラインを突破してシュートまで持ち込みましたが、点を取ることはできず結局決定機はこれだけでした。
UAEはもっと攻守に運動量を増やしサポートや連携の意識と1対1で勝負する意識があれば日本にとって嫌だったかもしれません。
日本は前半アディショナルタイムにPAラインの際どいところで、ドリブルをする川崎が相手に倒され主審がPKを指示し追加点のチャンスかと思われましたが、VARの助言があり主審が映像を確認すると恐らく相手のタックルはボールにいった正当なもので、ファウルが無かったと判断されPKは取り消されました。
その後日本が追加点を取ることはなく1点リードのまま前半が終わりました。
前半は互いの狙いが分かってからは終始日本ペースで試合が進みUAEを圧倒していたと思います。
決定機も多かったので出来れば最後の部分を正確にして、追加点を奪えていたら更に良かったでしょう。
そういった意味では詰めが甘かったのかもしれません。
UAEは失点してからも主導権を握ることができず確率の低い戦い方を続けていたので、本来であれば得点した日本が自陣を守りながらカウンターに備える形になるように、UAEが主導権を握り全体を押し上げて攻める時間を増やしていくのが普通だと思うのですが、それをやらないのか日本に押されて出来なかったのかわかりませんが終始劣勢でした。
ここまま全体の運動量やプレーの強度を上げることが出来なければ、後半も変化が無いでしょう。
とにかく自分達からアクションを起こすことが必要だと思いました。


2.2後半


45分 UAE 選手交代

  1. MF4番→FW15番


U−23UAE代表 選手交代 4−1−2−3
進行方向←
  7 番          23番
     12番       5 番
 21番       8 番      22番
    IN15番       3 番
 11番          13番


UAEは後半開始前にアンカーの4番を下げ15番を左インサイドハーフに入れて、左インサイドハーフだった8番をアンカーに置きました。
そして3トップの両サイド11番と7番のポジションを前半とは逆にしました。
UAEは後半開始早々に右サイドバック23番を前線まで上げると、ディフェンスラインから右サイドにロングボールを入れ23番が中盤の味方にボールを落としました。
中盤から日本最終ラインの裏にパスを出し7番をディフェンスラインの裏に走らせると、日本の左サイドを突破してドリブルでPAに侵入しました。
すると7番はゴール前で待っていた11番にパスを出しますが、ギリギリのところで右サイドバック関根がクリアして失点を免れます。
日本は中国戦でもそうでしたが後半が始まってすぐの時間帯に、危険な場面を作られることがあり後半の入り方に課題があるのかもしれません。
後半開始直後は当然集中しているはずなので気を抜いていた訳ではないと思いますが、こういった課題はチームの癖みたいなものなので修正するのが難しいところがあります。
しかし、相手の出方を伺ったり受け身にならずにこちらからアクションを起こせば、相手が受け身になり課題を修正できるかもしれません。
相手の様子を伺ってばかりでは好きなように攻撃されてしまうということだと思います。
両チーム前半の戦い方と違いが無いように見えましたが、UAEが球際の競り合いで激しく来るようになったと感じました。
しかし、それだけでは前半と戦い方の変化がないので前半同様に日本が主導権を握る状況が続き、攻撃時間を増やすと決定機を作ったり日本の攻撃を止められないUAEが、PAの周りでファウルをして止める姿を何度も見せました。
日本は両サイドからワンタッチプレーを混ぜパスを繋ぐとPAに侵入して何度も波状攻撃を見せます。
すると左サイドから大畑が強く低いシュート性のクロスを蹴るとゴール前で荒木がスルーしてそのままゴールしました。
待望の追加点かと思われましたがすぐにVARのチェックが始まり主審へVARからの助言が入りました。
主審は助言を受けて映像を確認すると大畑がシュート性のクロスを蹴る前に、オフサイドポジションから戻る「戻りオフサイド」だったため得点を取り消しました。
日本は攻撃のリズムが良くあと一歩のところまで来てはいるのですが、なかなか追加点を取れませんでした。


63分 UAE 選手交代

  1. DF13番→DF14番

  2. FW11番→FW20番


U−23UAE代表 選手交代 4−1−2−3
進行方向←
  7 番          23番
     12番       5 番
 21番       8 番      22番
     15番     IN14番
IN20番           3 番


63分 日本 選手交代

  1. MF11山田(楓)→MF20平河


U−23日本代表 選手交代 4−1−2−3
進行方向→
    21大畑       10佐藤
     5 木村   13荒木
 1 小久保    7 山本     9 藤尾
    15鈴木    6 川崎
     4 関根      IN20平河


UAEは左サイドバック13番を下げ14番を左センターバックに入れて、左センターバックだった3番を左サイドバックにポジションを移動させました。
そして3トップの左を11番から20番に交代しました。
日本は3トップの右を山田(楓)から平河に交代しました。
日本の交代は恐らく選手の疲労を考慮したものでしょう。
両チームの選手交代が終わり試合が再開すると日本は相手からボールを奪い両サイドから攻撃を仕掛けます。
すると左サイドを佐藤がドリブルで攻め上がり荒木にパスを出すと、荒木、山本、荒木、佐藤とパスを回しその間にオーバーラップした大畑へボールを預けます。
大畑はゴールライン際からクロスを入れると、PAで5番の背後からニアに飛び込んだ川崎が頭で合わせゴールの右サイドに決めました。
65分川崎が頭で決めて待望の追加点をとりました。
川崎がパスを回す間にスルスルとPAに侵入して5番の背後を取るとクロスのタイミングまで、飛び込むスペースに入らず我慢したことがゴールの決め手だったと思います。
UAEはボールウォッチャーになり川崎を捕まえていなかったのが失点の原因ですが、背後に回られた5番には対応が難しいので人数的には十分足りていたはずですから、5番の近くにいる選手がカバーするべきだったでしょう。
得点後も両チームの状況は変わらず日本の一方的な状態が続きました。


72分 日本 選手交代

  1. FW13荒木→MF17松木

  2. FW 9 藤尾→FW19細谷


U−23日本代表 選手交代 4−4−2
進行方向→
    21大畑   10佐藤
     5 木村    7 山本 IN19細谷
 1 小久保
    15鈴木    6 川崎 IN17松木
     4 関根   20平河


日本はセンターフォワード藤尾と細谷を交代して左インサイドハーフ荒木と松木を交代しました。
そして細谷と松木を2トップにして、更に山本と川崎をダブルボランチにする4−4−2のフォーメーションに変更しました。
今までは守備のときだけ4−4−2を採用していましたが、選手交代と同時に攻守共に4−4−2の並びにしてきました。
監督の狙いが分かりませんでしたが私の考えでは細谷は2トップの方が機能すると考えたのかもしれません。
しかし、日本は元々試合の中で状況に応じてポジションが入れ替わったり、前の選手を追い越したりするフォーメーションに囚われすぎないチームです。
それを考えると4−4−2に変えた理由がまたわからなくなりました。
実際変更後のプレーを見ていても効果が感じられませんが、2トップにしたことで前線で受ける人数が増えてポストプレイがしやすくなったとかサイド攻撃の起点ができたのかもしれません。
また相手の両センターバックに対して1対1の状況を作りカバーする選手を無くしたかったのかもしれません。
守備のときは今まで自陣でブロックを作るときと前線からプレスを仕掛けるときに4−4−2の並びに変化していましたが、4−4−2に固定することで相手の両インサイドハーフに日本のダブルボランチが常に対応する状況を作れるため、アンカーが1人のときよりも守備が安定するはずです。
それを考えれば2点リードした日本が守備を安定させ失点を防ぎ、試合を安全に終わらせようとしたのかもしれません。


78分 UAE 選手交代

  1. MF12番→MF6番


U−23UAE代表 選手交代 4−1−2−3
進行方向←
  7 番          23番
     15番       5 番
 21番       8 番      22番
    IN 6 番      14番
 20番           3 番


UAEは右インサイドハーフ12番を下げ左インサイドハーフに6番を入れて、左インサイドハーフだった15番を右インサイドハーフに移動させました。
日本は4−4−2にした影響から相手の攻撃を中盤で奪うことが増えてショートカウンターを仕掛けることが多くなりましたが、やはり最後のところで精度の高いプレーを見せられず決定機を逃し続けました。
しかし、4−4−2に並びを変えた効果は見れるようになりました。


86分 日本 選手交代

  1. MF 6 川崎→FW18内野(航)


U−23日本代表 選手交代 4−4−2
進行方向→
    21大畑   10佐藤
     5 木村   17松木  19細谷
 1 小久保
    15鈴木    7 山本 IN18内野(航)
     4 関根   20平河


日本は右ボランチ川崎を下げ2トップの右に内野(航)を入れて、2トップの右にいた松木を左ボランチに移動し左ボランチだった山本を右ボランチに移動させました。
恐らく疲労を考慮した交代だと思いますが、内野(航)をトップに入れたことで松木がボランチにポジションを変更したので、松木を本来のポジションに移動したかったのでしょう。
終盤UAEはパワープレイを見せることもなく疲労からなのかチーム全体が何としても点を取るという意欲が感じられませんでした。
少し前まではファウルをしてでも相手を止めようとしていたのにそれも無くなり、若干諦めの雰囲気を漂わせながら時間が過ぎるのを待っている感じでした。
日本は最後まで点を取りに行きましたがやはり決定機を外し続け3点目を取れないまま試合を終えました。


3.試合後


3.1試合の感想


中国戦から7人選手を入れ替えて勝利した日本は、ターンオーバーを上手く使いながら理想の結果を得ることに成功しました。
対戦相手との実力差などもあると思いますが、大幅な入れ替えをしても組織力や連携が落ちている感じはなく戦力ダウンが見られなかったと思います。
このチームは選手の実力にばらつきが少ないのかもしれません。
良く言えば全員レベルが高いと言えますし悪く言えば飛び抜けた選手がいないということになりますが、中2日の短期間で試合を続けるこの大会ではターンオーバーがしやすく選手の消耗を抑えながら戦うことができるので良いことだと思います。
試合の内容から考えて日本にとってUAEは中国同様に格下感がある相手だったと思います。
UAEがターンオーバーをどのくらいしたのか分かりませんが、連戦の疲れがプレーに出ていたようにも見えました。
チャンスを作ったのは結局後半の最初に1回だけでしたし、守備のとき日本にプレッシャーをかけるスピードが遅く運動量も少ない感じがありました。
結果的に見れば比較的楽な相手だったのかもしれません。
ですが、日本は多くの決定機を外し試合を早く決めることができませんでした。
これはチームの重要な問題で今後の課題にもなるでしょう。
日本が決定機を逃した場面の多くはFWが最後のところで精度を欠いたことが原因で、ここまで2試合合計3得点のポジション別割合を見ると、MFが2点でDFが1点でFWはまだ点が取れていません。
良くどこからでも点が取れるチームという表現がありますが、それはFWが点を取っていて更に中盤からも点が取れるチームを指す言葉だと思うので、このチームには当てはまらないでしょう。
どちらかと言えばFWが点が取れないからMFやDFが点を取りに行かなくてはいけないチームだと思います。
今後相手が強くなればMFやDFが点を取るのも難しくなりFWが点を取ることの重要性が更に出てくるでしょう。
このチームにはセットプレーという武器もありますが流れの中でFWが点を取れないからセットプレーに力を入れているようにも見えます。
そう考えるとセットプレーからの得点の割合が高いのも理解できますし、FWが流れの中で点を取れないから結果的にセットプレーの得点割合が高くなったのでしょう。
急にFWの得点力を上げるのは難しいので大会期間中に何とか工夫を見せてチームの得点力向上と、守備の安定を図り失点を最小限に抑えることで勝ち上がってほしいと思います。


3.2後書き


2連勝したことで勝点を6に伸ばし韓国と共に2試合終了時点でグループリーグの突破が決まりました。
3戦目の韓国と対戦する前にグループリーグの突破を決めることができたのは大きなことだと思います。
韓国はここまで2試合の相手みたいに楽をさせてくれるチームではないはずなので、この大会でパリ五輪の出場権がかかった準決勝以降に対戦するレベルのチームと、グループリーグで戦えるのは力を測る意味で重要なことだと思いますし、それがグループリーグの突破を決めた後にできるのは理想的だと言えます。
グループリーグの突破を決めることはできましたがこの時点で準々決勝の対戦相手はまだ決まっていないので、日本に有利な対戦相手と戦うためにもグループの首位になるため勝っておきたい試合ではあります。
両チームターンオーバーをすると思いますが勝敗に関わらず良い戦いをすれば、この先パリ五輪の出場権がかかるトーナメントを前に課題が見つかるかもしれませんし、逆に自信がつくこともあると思います。
どちらにしても準々決勝に繋がる試合をして収穫を得られることを期待したいと思います。


終わり。

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