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サッカー/日本×イラク後半を振返る/AFCアジアカップ2023(開催は2024)

7.「ハーフタイム終わりの選手交代」

ハーフタイム終わりに、両チーム選手交代が行われました。
日本は、左CBの谷口に変えて同ポジションで冨安を投入、前半相手のワントップに競り合いで苦しんだため投入したのか、それともビルドアップのときに、前線への効果的なパスを期待され投入されたのか、どちらか一つの理由なのか、それとも両方なのか不明だが、それよりもコンディションが気になるところではある。
イラクは、二人交代でDF3番が23番と交代、FW18番が10番と交代しました。

8.「後半開始直後の変化」

後半が始まり選手の並びを確認すると、二列目の並びが変更されていた。
久保が右で中央が南野、左に伊東純也が配置される並びになった。
これは、マッチアップする相手を変えて、イラクDFに前半に慣れた選手とは別の選手をぶつけ、DFが慣れる前に効果的な攻撃をする為と、単純に左で目立たなかった南野を、中央に置いて機能させる目的があったと考えられます。
そして、伊東純也と久保が両サイドに張り付き、中央に固まっているイラクのディフェンスを横に広げて、中央にスペースやパスコースを作る狙いがあったと思います。
久保は右で問題ないとして、伊東純也は右のスペシャリストだと思うので、左だと恐らく右のときよりも、パフォーマンスが落ちることが考えられます。
その辺を考慮しつつも流れを変えるために、森保監督は並びを変えたのでしょう。
その他にも、日本のビルドアップの時は守田がポジションを少し上げて、4−1−4−1か4−3−3に見える位置にポジションを取る動きが見られました。
これについては、先程書いた日本の両サイドがライン際に位置を取り、相手のディフェンスを広げ中央にスペースを空ける目的の後に、守田と南野をスペースに配置させ、最終ラインから中央にパスを入れやすくし、前半の単純なサイド攻撃から、サイドと中央を組み合わせた攻撃でイラクのブロックを崩し、イラクのCBを中央から少しでも引き出す目的があると思われます。
その為、守田を攻撃のとき前に行かせたのでしょう。
イラクの方は、ハーフタイムで選手交代がありましたが、基本的には前半と同じで、特に変化が見られませんでした。
リードしているイラクは、むやみに今の状態をイジる必要はないし、イジって状況が悪化しても困ります。
日本が変化、交代をしてきたときに対処すればいい状況なので、イラクに変化が無いのは普通のことでしょう。
試合は両チームとも始まって数分間互いに攻撃をしましたが、どちらも中途半端な形で終わってしまい、決定的な場面を作り出せませんでした。
そんな中、日本のコーナーキックが失敗して相手のゴールキックから再開すると、後半8分イラクは最終ラインからボールをつなぐ意思を見せました。
負けている日本が前からボールを取りに行くと、日本から見て敵陣深いペナルティエリアの左側から、繋げなくなった相手の右CBがロングボールを蹴りました。
それをハーフラインの左側にいた伊藤洋輝がヘディングで跳ね返すと、セカンドボールをイラクMFが回収して、ハーフライン中央付近の味方にパス、フリーでパスを受けたイラク選手は、日本の自陣中域右側で、広いスペースに菅原と一対一になっていた左MFの、裏を取る動きに合わせ、中央を切り裂くようなスルーパスを蹴りました。
一対一で裏を取れなかった左MFは、内側から走り菅原を抜く意思を見せて、先にボールを触ろうとしながら菅原と並走しました。
中央右寄りから競り合って並走した左MFは、ペナルティエリアに侵入してすぐのところで、スルーパスのボールに触ろうとしましたが、上手く処理できず菅原とともに、滑り込んだのか倒れ込んだのかわからない状況になり、その後飛び出していた彩艶と接触、菅原と彩艶が先にボールに触れてなかったので、一瞬PKの判定もあるかと思う場面でしたが、主審はファウルの笛を吹かず、VARの介入もありませんでした。
この場面、イラクは後ろから繋ぐ意思を見せて、日本を食いつかせました。
日本は、中盤の選手まではプレスに行けていたのですが、最終ラインはこの日安定していなかった為か、ラインを上げきれずに中盤と最終ラインの間に、スペースが生まれていました。
そんな中、イラクが後ろからロングボールを蹴ると、恐らくセカンドボールを回収するために、前線に配置した4人の選手から、右MFと中のMFが伊藤洋輝の傍に行き、競る事はできませんでしたが、セカンドボールを回収する為の動きを見せました。
プレスに行った日本は、完全に裏を取られた形になり、中盤のマークも完全に外れてしまいました。
ボールを回収したイラク選手は、フリーのボランチにボールを預け、ロングボールの対応で左SB寄りだった、日本の最終ラインの中で、唯一菅原だけが左MFに寄っていて、食いつき気味だったところを見逃さずに、すかさず中央にスルーパスをいれました。
失点はしませんでしたが、イラクの恐らく狙ったプレーと菅原の不安な対応で、危険な場面を作られてしまいました。
ですが、菅原だけの問題ではなく、日本の前線、中盤、最終ラインの距離感がコンパクトでない為に、前線からのプレスが機能しきれず、危険な展開になったのだと思います。
このとき接触でこぼれた球を、すぐに別のイラク選手が回収して、ペナルティエリア右側に流れながら、狭いシュートコースにシュートしましたが、それを菅原が足に当て右エンドラインを割りました。
その後、倒れたイラク選手の治療を行い試合が再開するときに、何故かゴールキックで再開していました。
本来なら菅原が最後に触ったのでコーナーキックか、彩艶がチャージを受けたという判定で、ファウルがあったところから再開するものですが、何故かゴールキック判定でした。
この時は恐らくPKもあり得る状況だったので、主審や両チームともに混乱していたのでしょう。

9.「日本のPK判定からの取り消し」

試合再開後、すぐに日本の攻撃が機能しだします。
ゴールキックからボールを繋ぎ、最終ラインがハーフラインまで運ぶと、イラクは4−4−2の形でブロックを敷きました。
日本は何度かSBやボランチに縦パスを入れると、後半10分にハーフラインから、少し敵陣に入った中央左寄りの位置で、冨安が伊藤洋輝に横パスをしたとき、相手の右MFがチェックに来たところで、相手中盤と最終ラインの中間で、中央左寄りに位置していた守田が、左サイドに流れフリーでボールを受けると前を向き、前方にいた伊東純也がサイドを加速し、駆け上がるタイミングに合わせ、強めの縦パスを蹴ると、伊東純也はボールの勢いを利用して、ワンタッチでボールを前に運び右SBを振り切りました。
そして、左サイドからペナルティエリアに侵入してすぐ、中央左寄りに走り込んでいた浅野に低いクロスを出すと、ゴール前で後ろから来ていた相手CBに、シュート直前に浅野が足をかけられ倒れました。
主審はすぐに笛を吹き、PKの判断を下して準備すると、テレビでは浅野が倒された場面のリプレイを、スローで流し始めました。
リプレイを見ると、浅野と相手CBが接触した場面が流れた瞬間に、私とテレビの中で解説する内田さんが、同時に「あぁ〜」と声を出しました。
何故かと言うと接触はしていたのですが、先にボールに触っているのは相手CBだったからです。
その後、PKの準備は出来たのですがVARの確認が入りました。
VARから主審に連絡が入り、主審自ら映像の確認をすることになりました。
主審がモニターで映像の確認をすると、大して時間もかからずに主審がピッチに戻り、VARのチェックをしたジェスチャーと、PKの取り消しを判断したジェスチャーをしました。
そして、浅野に判定の説明をしてから、テレビでは確認できませんでしたが、浅野がファウルした判定でイラクのフリーキックか、またはゴールキックのどちらかで再開されました。
相手CBが先に触って、エンドラインにボールが出たので、コーナーキックはあってもゴールキックは無いはずなので、恐らく浅野がファウルした判定で、イラクのゴール前からのフリーキックになったのでしょう。
PKに関しては、サッカーを理解してよく見ている方なら、あれがPKではないことは分かっているはずですね。
あの場面で、相手よりも先に触れなかったのが、何よりも証拠になります。
そしてスロー再生で見ても、浅野が明らかなシュート体制に、入っているようには見えなかったので、PKが取り消されても全く不可解なことでは無いでしょう。
東京オリンピックの準決勝スペイン戦で、吉田がPKを献上した場面がありましたが、吉田が先にボールに触れていたので、VARの確認後に主審がモニターチェックして、PKが取り消された事がありました。
今回はその時と同じケースだったと思います。
再度試合が再開され、イラクの攻撃が不発に終わると、また日本は低い位置からボールを繋ぎ、相手のファウルやビルドアップで、ハーフラインまで最終ラインが押し上げる状況になり、イラクもブロックを敷く展開になりました。
すると、後半13分に浅野が相手右CBを前後に揺さぶり、引き剥がすと、中盤の位置まで降りてきたところで、冨安から縦パスが入り、それを浅野がワンタッチで中央から左側に流すと、守田がフリーでボールを受け取り、敵陣中域の中央左寄りから、バイタルエリアの左側に向かいドリブルすると、相手の右SBが引きつけられたところで、フリーになった左サイド際の伊東純也にパスをしました。
そして、前の攻撃のように伊東純也がサイドから切り込みクロスを上げると、今度は相手右CBにヘディングでクリアされ、コーナーキックを獲得しました。
左側からのコーナーキックは、アウトスイングで相手GKから逃げるボールを蹴り、高いところから急激に落ちるボールを、ピンポイントで日本選手に合わせたが、威力のあるヘディングにはならず、相手GKがキャッチしました。
その後も、日本最終ラインから浅野めがけて、相手最終ラインの裏を突くような、ロングボールを入れたりしましたが、不発に終わりました。

10.「選手交代から後半の中盤戦へ」

後半15分サイドにボールが出たところで、両チーム選手交代がありました。
日本はFWの浅野に変えて上田と、右MFの久保に変えて堂安を入れました。
どちらも、同じポジションによる交代でしょう。
イラクはDF5番と20番の交代がありました。
久保の交代は後半15分まで得に目立つプレーもなく、ドリブルのミスやボールを持ちすぎて、ほぼ必ず相手が二人でチェックしに来ていたこともあり、奪われそうになる場面も目立った為、堂安に変えることで体の強さがあり、キープ力で菅原の攻撃参加を待ったり、簡単には奪われないことで、より敵陣深くに押し込み波状攻撃から、得点しようとする狙いがあると考えられる。
そのため久保は下げられたのでしょう。
浅野は攻撃に絡む場面も見られ悪くなかったと思いますが、上田を入れポストプレーやキープ力を使い、中央の崩しとCBを引き出し、相手最終ラインにギャップを作り、より全体のバランスを崩させて、攻撃する為の交代ではないかと思います。
試合が再開すると、後半16分すぐにセンターサークル付近で、空中戦が連続した為に、セカンドボールの奪い合いが激しくなりました。
そこで相手MFのヘディングしたボールが、日本から見てセンターサークル左側の、敵陣寄りのところにいた、フリーの伊東純也にわたり、良い体制で持った伊東純也はすぐに動かずに、自分に近寄ってくる相手MFと、最終ラインから食いついてきた右SBを、引き寄せると急加速して、二人のイラク選手の間を突破して置き去りにしました。
伊東純也がドリブルで敵陣中央の中域まで持ち運ぶと、中央からカバーに来た相手MFがボールを奪いに来ましが、伊東純也と同じタイミングで走り出していた、伊藤洋輝が伊東純也の左側を並走していたので、フリーの伊藤洋輝にパスをすると、伊藤洋輝はペナルティエリアの左角付近から、中央に低いクロスを入れ、それをイラク選手に阻まれ右サイドラインにクリアされてしまいました。
バイタルエリアくらいの右サイドラインから、菅原がスローインすると堂安、守田、南野の3人で細かくパスを繋ぎ、右サイドからペナルティエリアに侵入すると、エリア中央右寄りで、パスをフリーで受けた堂安がシュートすると、イラクディフェンスの壁に跳ね返され、その後も波状攻撃を試みましたが、ゴールはできませんでした。
攻撃は少しづつリズムを取り戻し、流れが日本に傾いてきた印象の中、日本がボールを持ち主導権を得ながら、プレーする時間が長くなっていきました。
後半19分にイラクはMF7番が6番と交代しました。
恐らく日本の攻撃が機能してきたので、その対応と疲れが見え始める時間になってきたので、フレッシュな選手を入れチームの活性化を図る意味合いがあったと思います。
その後も、基本的には日本が中央の守田、南野を経由して、左右のサイド攻撃を繰り返し、時折波状攻撃を展開しますが、決定的なシーンは生まれず、たまにイラクが攻勢に出ると、危険な場面を作られるということが繰り返される状況でした。
後半28分には日本が選手交代で、伊東純也に変えて前田と、守田に変えて旗手を入れました。
どちらも同じポジションによる交代です。
伊東純也はプレーが悪いわけでは無かったですが、相手も慣れてきたことや疲労を考慮して、スピードがありフレッシュな前田と交代したと思います。
守田は効果的なプレーをしていましたが、攻撃の時は高い位置を取り、守備になると遠藤の位置まで下がり、守らなければいけないので、体力の消耗が激しかったでしょうから、フレッシュな旗手に変えて活性化を図りたかったと思われます。
これで日本は交代枠をすべて使い切ったので、ピッチにいる11人で得点を取りに行くことになります。
この辺からイラクは5−4−1の形を取り、日本が両サイドを広く取って、相手ディフェンスを横に広げようとする作戦に、完全に対策してきました。
すると前田と堂安へのマークが厳しくなり、サイドを使った攻撃がやり難くなりました。
後半31分にイラクはMF17番が24番と交代して、最後の交代枠を使い切り、ピッチにいる11人で守りきって、勝利を掴みに行く状況になりました。

11.「後半の終盤戦」

試合も終盤戦に差し掛かってくると、日本はイラクに攻撃の対策を取られたこともあり、これまでのように効果的な攻撃が出来なくなりました。
そして、パスを出すのに迷ったり、負けている焦りからか、ミスが目立つようになってきました。
私にはチームが大きく迷いだしたように見えました。
一方イラクは、最初から強度の高いプレーを見せていたことや、長い時間守備でリアクションの動きをしていた為に、疲労が見え膝に手を付き、休む姿が見られるようになりました。
両チームそれぞれの事情を抱えながら、日本は攻め続けて、イラクは攻撃を跳ね返し続けました。

12.「後半アディショナルタイムで意地の得点」

後半47分左サイドラインにいた旗手が、低めのクロスを入れると、相手に跳ね返されコーナーキックを獲得、左のコーナーから旗手がインスイングでボールを蹴ると、ニアで待っていたGKの頭上を越えて鋭く落ちるボールを、ファーに走り込んだ遠藤が、ヘディングで合わせてそのままゴールしました。
イラクの選手は疲労からか、動きが止まっていたり、マークも付ききれていなかった為に、遠藤はフリーでヘディングすることができゴールを奪えました。
日本は得点を奪えたことにより勢いづいて、残り時間追加点を取ろうと、疲れている中ギアをあげ攻撃を繰り返しました。
イラクは失点からさらに、疲れが見えるようになりましたが、それでも必死に動いて日本の攻撃を跳ね返し、ボールが外に出てイラクボールの時は、時間を使いながらゴールマウスを死守していました。
そして後半54分に主審が笛を3度吹き試合終了しました。

後半の話はここまでです。

試合終了後の感想に続く。

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