ワイワイサタデー

私が小学生の時はまだ今ほど子供向けテレビ番組が充実していなかった。

その当時大阪に住んでいた小学生の私には、特に吉本新喜劇が終わってしまった後の土曜日の昼間の中途半端な時間なんて最悪だった。

テレビのチャンネルをいくら変えても、本当に面白そうな番組なんて何ひとつなかったのだ。

　そんな観るものが何もない番組の中で何となく観ていた番組があった。それが「ワイワイサタデー」と言う番組だ。
　ワイワイサタデーは今で言う素人参加番組で毎回素人的な美人が出てきて自分の特技などを審査員に披露し優勝を競う番組だったと思う。

　最後に審査員に自分をよく見てもらう為に昔の奥様がするようなエプロンの形にそっくりの「エプロンステージ」と言う、まさにそのまんまなネーミングが付いたちょっと張り出したステージの上をその素人的美人が順番に練り歩く。

優勝者は王様みたいな王冠をつけて、その時のミスコンのテーマが書かれたタスキみたいなものを最後に肩からかけていたと思う。多分だが。

　大体こんな番組だったと思う。正直さほど真剣に見ていなかったので詳細は覚えていない。
　決して小学生向きの番組ではなく、他の番組に比べたらまだ観れるという気持ちだけで、当時小学生だった私はワイワイサタデーをぼんやりと見ていた。

　しかし当時から30年以上経った今でもワイワイサタデーのオープンニング曲や「エプロンステージ」というワイワイサタデー独特のステージ名、そしてその内容を私はしっかり覚えている。

　その当時友達と会話した内容なんてほぼ忘れてしまっているのにワイワイサタデーという絶対的に重要ではないテレビ番組を鮮明に覚えているんだから人間の脳みそって不思議で面白いなとつくづく思う。もっと他に覚えておくべき楽しかった記憶もあるとは思うのだけれど…。
　
　今私は自分の子供たちにAmazonプライムでアニメを見せることが多々ある。
きっと子供たちも歳をとっても、あの時見たAmazonプライムを思い出すのだろう…と思うと少し感慨深い。
本当はもうちょっと教養のあるものを見せたいがきっと大人になったら私と同じように忘れていることだろう。

　しかし、私のようにそれを大人になって思い出して不意にクスッと笑う人生もまぁ面白いかと思うので、子供たちにはこのまま育ってもらおうと思う。