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「また」ホームグラウンドを失った日

2020年12月12日,瑞穂陸上競技場は名古屋グランパスのホームグラウンドとしての役目をいったん終えることとなりました.アジア大会のメインスタジアムとしての利用を前提として,6年間の改修に入ります.

僕が応援しているチームがホームグラウンドを失うのは2回目.1回目は中日ドラゴンズの本拠地・ナゴヤ球場でした.

僕くらいの年代だとプロスポーツ=プロ野球だったでしょうか.小学生のころから年に数試合,父に連れて行ってもらうナゴヤ球場の風景がスポーツ観戦すべてに対する僕の原体験になっています.

数日前から気になる天気予報.雨天中止も何度も経験しています.球場についた夕暮れ時から徐々に暗くなっていく空と,それと入れ替わりに輝き始める照明.ラーメンとフランクフルトとビールが混じったにおい.空を突き抜けていくラッパと太鼓の応援歌.雨が降ると混雑するコンコース.そして闇夜に飛び出すホームラン…

そんな風景も,ナゴヤ球場の閉場とともに見納め.屋根があって中止の心配が不要なドーム球場はとても快適です.夏はナゴヤ球場での観戦にそこそこ不快感を感じていた僕は,現代的なナゴヤドームをかなり全面的に歓迎していた覚えがあります.

…が,行ってみると,何かが「違う」のです.ナゴヤドームの建設・運営関係者,およびナゴヤドームを愛しているドラゴンズファンの皆様には大変申し訳ないのですが,やはり原体験であるナゴヤ球場とは何かが違うのです.良いとか悪いとかを超えた何か,です.

ナゴヤドームにも年数回のペースではありますが観戦に出かけています.2004年の負けて優勝決定→日本シリーズで立浪選手が松坂選手からホームラン,を現地で体験したあたりから,徐々に「本拠地だな」という感覚になっていきました.個人ごとに感覚が違うとは思いますが,自分の場合は「父との思い出」が付加されたナゴヤ球場での原体験から,「大人になってからの自己の選択としての体験」に切り替わるタイミングでもあり,このあたりの折り合いがつくために数年の時間と優勝→日本シリーズという大き目なイベントの体験が必要だったのかな,と思います.

そして,瑞穂は6年の休憩に入ります.サッカーだけではなく,中高生の各種大会という「日常使い」のスタジアムがいったんなくなってしまうのは非常にさみしいものがあります.

新スタジアムは全周屋根付き・2階建てで収容人数も3万人程度と報道されれています.立派になった改築後も「日常使い」であって市民みんなの「ホーム」であってほしいですし,そういった使い方をした中高生がグランパスの試合で非日常感を感じてほしいな,とも思います.何より,僕自身が「ホームに戻ってきた!」と,6年後の開場のその瞬間に感じられれば最高です.

まぁ,そうでなくても,自分がなじむまで何年も待つことはできますが.

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#私の好きなスタジアム・アリーナ

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