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万華鏡みたいな物語を読んだ

色彩豊かで、バカバカしくて、おしゃれで、荒唐無稽で、人間味が溢れていて、不気味で、レトロで、かわいくて、きっとこんな万華鏡みたいな物語は他にない、という小説について書こうかな。

「大正ロマン」って言葉、食べちゃいたいくらい好き

「大正ロマン」という言葉のなんとロマンティックなこと。

レトロな空気感というのは、懐古趣味を持つわたしにグッと刺さる。
ああ、レトロは昭和か。大正ロマン。昭和レトロ。

例えば、京都は古き良き時代の空気を色濃く残している。
いずれ祇園祭に行ってみたいとも思うけれど、きっと人がすごいんだろうな…

『宵山万華鏡』森見登美彦著

この本を読んだきっかけ

あれ、最近壮大な映画を観た気がするんだけど何だったっけな…
と、この本を読了した次の日に思った。
よくよく考えてみたら、椎名林檎の『茎(STEM)~大名遊ビ編~』を聴きながらこの本を読んだのが「壮大な映画を観た気」だったようだ。

恥ずかしながら、わたしは「宵山」という言葉を初めて聞いた。
そもそも祇園祭というものがどういうものなのかもあまりわかってない。
きっと楽しいんだろう。

この小説を読んだきっかけは、わたしが森見登美彦が好きだから。
そして、まだ読んだことがなかったから。
そして、ちょうど好きな人を好きじゃなくなるように毎日泣きながら夜を越えているほど病んでいたので、ミステリーよりファンタジーを読みたいよおうえええんってなっていたから。

万華鏡みたいな物語

この作品、宵山を中心に据えて、様々な人たちの幻想(と一言でまとめるのはあまりにも乱暴すぎる気がする…)が点と点で繋がって、時には違う点に結ばれて、思わぬ繋がりや思わぬ展開が繰り広げられており、終始予想外の出来事が起こる。

幼女たちが見たへんてこなガラクタの山。(臆病な妹ちゃんが好奇心に負けて「ちょっと見る」って言うのがかわいすぎて尊かった)

「祇園祭司令部」という組織に連れていかれるチョロい人。

金と時間に糸目をつけない「祇園祭司令部」の裏側。

万華鏡のように繰りかえす宵山の毎日。

妹ちゃんと離れたお姉ちゃんの宵山大冒険。

この物語は森見さんにしか書けない、と悔しい気持ちを持ちながら一気に読んでしまった。

先にも書いたように、椎名林檎さんの『茎(STEM)~大名遊ビ編』を聴きながら読んだ。万華鏡とは別名「百色眼鏡」とい記述が『宵山万華鏡』本文にあったことから、『短篇キネマ 「百色眼鏡」』を思い出し、件の曲が聴きたくなったわけだが、いや、これがまさに世界観が本の内容とぴったりなわけさ。
耳から大正ロマンな楽曲、目から大正ロマンな文章、頭の中で見事ミックスされて、さも壮大な映画を観たかのような気持ちになったのである。

ちょっと失恋した気持ちが和らいだ。

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