マガジンのカバー画像

【全三十話】私にヨガの先生はできません!【完結済み】

30
【創作大賞2024】お仕事小説部門に参加中!全30話。
運営しているクリエイター

#お仕事小説部門

私にヨガの先生はできません!【第一話】無理です!

【あらすじ】  前屈をする。  わかっていたけどやっぱり痛い!  太ももの裏側はびりびりす…

私にヨガの先生はできません!【第二話】ペンタスガーデン

 私が勤務しているホットヨガスタジオ・Vegaは、三年前にリニューアルオープンしたビル『ペン…

私にヨガの先生はできません!【第三話】もしも、インストラクターだったなら

「あ、入会に興味ある方、いらっしゃいました。私、まだ手続きできなくて……。お願いできます…

私にヨガの先生はできません!【第四話】あの日のこと

 市民会館のステージ袖で、私は小さく深呼吸をした。  ステージの真ん中にはマイクの置かれ…

私にヨガの先生はできません!【第五話】ヨガ研修の受講生

 ヨガのインストラクター研修は、約半年間の研修プログラムだ。 すべての店舗が共通で設定し…

私にヨガの先生はできません!【第六話】レンタルスタジオと片井虎太郎

 駅前のメインストリートが早くもバレンタインムードに包まれつつある一月のある日。  レン…

私にヨガの先生はできません!【第七話】清掃と恋バナ

 本当なら、水曜日はヨガのインストラクター研修がある曜日なのだけど、二月のこの日は、先生の都合が悪くお休み。 「うう、手が冷たいです」  ドーナツ型のドライヤーのフィルターを水洗いしながら、私は肩を震わせた。スポンジみたいな素材でできた薄いそれは、放っておくとどんどん埃にまみれてしまうから、たまにこうやってお手入れしないといけない。 「冬はこれ、辛いわよねえ。でも、あと少しよ」  隣で同じ作業をしているえりかさんの手元に視線をやると、私とおんなじように、指先の皮膚が赤くなって

私にヨガの先生はできません!【第八話】カレンのこと

 休館日の清掃業務が終わったのは、五時半だった。  なんとなく窓の方を見ると、日の入り前…

私にヨガの先生はできません!【第九話】ひとりぼっちのポスティング

 どんなに気持ちが下がっていても、ちゃんと仕事はしなくちゃいけない。  あの後、カレンか…

私にヨガの先生はできません!【第十話】トラブルと信頼

 次の日は、ネットで見た天気予報の通り朝から雨が降っていた。  私は部屋の遮光カーテンを…

私にヨガの先生はできません!【第十一話】ぬぐえない不安

 翌日、更衣室で私服から制服に着替えてスタッフルームの扉を開けると、すぐにフロントからの…

私にヨガの先生はできません!【第十二話】過去と今のココア

 この日、仕事終わりに私はカフェ・くじら座の扉を開けた。  カウンター席のところに、カレ…

私にヨガの先生はできません!【第十三話】新しい扉の向こう側

 なにかに夢中になっていると、月日はあっという間に流れる、と思う。午後の風が暖かくなり、…

私にヨガの先生はできません!【第十四話】集客に苦戦して

 六月がやってきた。  じめじめとした生ぬるい空気が肌に纏わりついて、体力も気力も削っていく。  そして、私を悩ますのは、そんな蒸し暑さだけじゃなかった。  インストラクターとしてデビューできたはいいものの、二ヶ月目にして、もう目の前には巨大な壁。こちらをあざ笑うかのように、ででんと立ちふさがっている。 「十八人か……」  ぽつりと呟いたのは、レッスン後のことだった  三十五人定員のスタジオで、参加者はたったの十八人。  スタジオ内に点々と人が散っている光景は、ところどころに