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キテレツ大百科 全331話を観て気づいたこと②物語のつくりかた考察編
こんにちは。小麦さんです。
以前、キテレツ大百科のアニメ全331話の注目ポイントについて紹介しました。
キテレツのアニメ版331話は、ほぼ1人の脚本家が話を創作しており、何かしらの手法があったのではと考えました。
今回は、原作が少ない中で331話もアニメをつくることができた理由、創作の方法の一部を”勝手に”推測してみます。
事前情報(メンバー紹介)
キテレツ大百科の主要メンバーは主に以下の通りです。
キテレツ(木手英一、主人公)
江戸時代の発明家「キテレツ斎」の子孫で、ふしぎな道具をたくさん発明します。
ブタゴリラ(熊田薫)
キテレツの同級生。八百屋の「八百八」の一人息子。なぜか彼女がいる。
トンガリ(尖浩二)
キテレツの同級生。お金持ちの家の一人息子。
みよちゃん(野々花みよ子)
キテレツの同級生。冒険好きなヒロイン。北海道に年が離れた兄がいる。
コロ助
キテレツが作った少年型ロボット。見た目と趣味嗜好が幼稚園児。
勉三(苅野勉三)
キテレツのお隣さん。六浪して大学に入学する苦学生。なぜか彼女がいる。
これらのキャラクターが動くことで物語が創られます。次の項目で詳しく見ていきましょう。
動機をもつキャラクターが物語を動かす
キテレツ大百科のキャラクターの中には、強い動機を持つキャラが何人もいます。そのキャラの「ペイン」と「ゲイン」が原動力となって物語が生まれます。
ペイン、ゲインとはビジネスのフレームワーク「バリュープロポジションキャンバス」に出てくる用語で、それぞれ「取り除きたい苦しみ」、「得たい喜び」を意味します。
ブタゴリラのペイン・ゲイン
それでは全331話のなかで最も物語を動かしているブタゴリラのペイン・ゲインについて見てみましょう。
ペイン
・とにかく勉強したくない(158話など)
・成績が悪いのを両親にばれたくない(248話、302話など)
・家業の八百屋の評判を落としたくない(134話、282話など)
・遠距離恋愛の彼女(!)が心配(166話、272話、310話など)
・仲間はずれにされたくない(313話など)
ゲイン
・運動会で勝ちたい(195話、232話など)
・両親にいいところを見せたい(277話、324話など)
・野菜を広めたい(50話、251話など)
・年上の女性と仲良くなりたい(43話、122話など)
基本的に両親と八百屋を誇りに思っていて、誇りを守るためにしょっちゅう暴走します。たとえば282話では、八百屋で変なかぼちゃを売ったことで信用問題になってしまう、と悩むところから物語が動きます。
少年向けアニメには珍しく彼女持ちのため、遠距離の彼女(妙子)を心配しています。272話では妙子が空港の荷物の取り違えから事件に巻き込まれ、それを助けようとします。310話では妙子を見送りにキテレツの発明品(潜地球)で空港まで行き、それが原因でキテレツに命の危機が起こります。
また、運動会で勝つために張り切りすぎたり、運動神経が鈍いキテレツを攻めたりする話もあります。
ブタゴリラはキャラが立っているうえに、ペインとゲインが大きいため、ブタゴリラを起点にして物語を作りやすかったと考えられます。
トンガリのペイン・ゲイン
次に主要キャラのひとり、トンガリについても見てみましょう。
ペイン
・ブタゴリラに乱暴されたくない
・母親(ママ)に心配をかけたくない
ゲイン
・好きな女の子(五月)と仲良くなりたい
トンガリはブタゴリラほど感情が強くないためメインの回が少ないですが、全331話中の後半から出てくる五月ちゃん(旅芸人一座の娘)との絡みで活躍する回が増えてきます。
例えば323話では、大好きな五月ちゃんの写真入りテレホンカードを大事にしすぎて、ママに不良少年扱いされます。それがショックで家出し、キテレツたちが伊豆まで探しに行きます。
勉三さんのペイン・ゲイン
勉三さんのペイン・ゲインについても見ていきましょう。
ペイン
・東北にいる母親に心配をかけたくない(281話など)
・彼女(!)に振られたくない(320話など)
ゲイン
・お金を稼ぎたい(317話など)
勉三さんは地方から上京して六浪した苦学生なので、基本的にお金に困っています。また六浪してしまったため、厳しい母親に叱られたくない、心配をかけたくないという気持ちが強く出ます。これらの感情を起点にいくつかの物語が生まれています。
特に、学園祭で女装した姿を母親に見られてしまう 第281話「勉三さん受難!学園祭はケツバット?」のタイトルは秀逸です。
まとめ
キテレツ大百科の脚本創作を、バリュープロポジションキャンバスというビジネスフレームワークを使って分析してみました。これらは私が勝手に分析した記事ですが、キャラが立っているだけでなくペイン・ゲインがあることで、それを起点に物語を創ることができたのではと考えられます。もちろんキテレツやコロ助、みよちゃんのペイン・ゲインが起点となった物語がいくつもあります。
上記以外にも、時事ネタ(多摩ニュータウンを扱った回や、Faxの流行など)、季節ネタ(ひな人形、運動会、正月)、歴史上の人物に会いに行く回(ファラオ、エジソン、巌窟王の作者)など、脚本家が目にしたり思いついたりしたキーワードと主要キャラクターをかけ合わせて強制発想して物語を作っている事例も考えられます。
なにより、331話も観てしまう面白さは
・人を傷つけない
・主要キャラ同士の仲が良い
・基本平和だけど、時々ハラハラする
・(サザエさんなどと異なり)徐々に設定が変わっていく
→例えば新キャラ登場、勉三さんが大学生になる、彼女ができる、、、
にあると思います。
本当におすすめのアニメなので、今度はぜひ観てほしい回をピックアップして紹介しようと思います。それでは!
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