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今にも落ちてきそうな空の下で

「結果」が大事だというのは分かっていても
「結果」だけを追い求めるような生き方はしたくない。


前回のnoteでも少し触れたけれど、わたしは前職で「結果」ばかりを求められた。正確に言えば、そこに至るまでの「過程」を評価されなかった。

先輩がいたからこそ決めていた目標は、先輩が転職してしまった後は引き継ぎの仕事で手一杯でどうしても達成出来そうになかった。
何かあれば相談してほしいなんて言っていたのにいざ相談すると「でもやるしかないよね」「出来るところまでとりあえずやってみて」としか言われず、結局昇給については半年前に定めた自身の目標の達成度で判断され、昇給なんてしなかった。
1人になってしまった部署をまわすことがやっとの毎日だったのに、その部分の仕事については何も評価がされなかった。

10年以上働いていた先輩2人が担当していた部署を、入社7ヶ月の新入社員が1人で担当していたというのに。
夜遅くまで残ることもあれば、平日だと仕事が間に合わなくて休日出勤したこともあった。

「1人じゃ回せないです」と助けを求めた時に返された言葉は「でもさ、仕事が無いよりも忙しい方が良いよね」だった。

悲しくて悔しかった。
SOSを誰が拾ってくれるのか分からなかった。


仕事というのは目に見える形で分かりやすく「結果」を出さないと評価されないものなのか、とこの時の経験でわたしは学んだ。

イレギュラーな事態に対応したとしても、それが目標に書かれていない判断基準の外の話であるなら何も評価はされない。立てた目標に対して何が出来なかったのか、達成したとしたら何%の達成率なのか、会社はそれしか求めていなかった。



だけどわたしは「結果」だけを追い求める生き方はしたくない。

幸いにも転職先ではSOSを投げられる上司がいる。
「大麦さんは居てもらわなきゃ困るから」「すっかり戦力だからね、頼りにしてるよ」と言ってもらえる。
「これ、納得いかないです」と呟くことだって出来る。

困ったことがあった時に相談できる人がいる、という安心感は非常に大きい。心が救われる。
決めた目標に対してではなく、普段の自分を見てくれている。目標ではなく(もちろん目標も見ているけれど)自分を見て評価をしてくれている。


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『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』に出てくるレオーネ・アバッキオは、高校を卒業すると警官になった。

正義感が強く、人々を守りたいと思っていたアバッキオだったが、仕事をするうちにある矛盾に気が付く。

人々を命をかけて守るのが警官の仕事。しかし命をかけて守っている人々が警官の目をごまかして盗みをしたり、パトカーの窓を石で割ったりする。「警官は何をやってる!」と無責任な批判もされる。命がけで捕まえた悪党は、お金を積めば保釈されてしまう。

オレがこいつを逮捕したとしても
こいつらは保釈金を払って出てくるだけだ…
カネを払うのが「オレ」か
「裁判所と弁護士」かの違いだけだ…!

アバッキオは売春をしていた男から賄賂を受け取り見逃してしまう。


ある夜、強盗を捕まえようと現場に駆けつけたアバッキオは、強盗犯と賄賂を受け取った売春男が同一人物だと気が付く。
逮捕しようとするアバッキオだったが「なあ…よく考えなよ…オレを逮捕したらあんたがオレから…ワイロを受け取ってる事もバレちまうんだぜ…」と言う言葉に油断し、犯人の銃はアバッキオの相棒の警官を貫く。

アバッキオは汚職警官として罰を受け、そしてブチャラティに誘われギャングの道へと進むことになる。


アニメの最新話『今にも落ちてきそうな空の下で』では、そんな外すことの出来ない十字架を背負い続けてきたアバッキオを、殉職した相棒が救った。

ビン捨場の大量のビンの中から犯人の指紋を探そうとする相棒に、アバッキオは「もし見つからなかったらどうするんだい?」と問う。
「見つけたとして犯人がずる賢い弁護士とかつけて無罪になったとしたらあんたはどう思って…そんな苦労をしょいこんでいるんだ?」と。

そうだな…わたしは「結果」だけを求めてはいない

「結果」だけを求めていると
人は近道をしたがるものだ…
近道した時 真実を見失うかもしれない

やる気もしだいに失せていく

大切なのは
『真実に向かおうとする意志』だと思っている

向かおうとする意志さえあれば
たとえ今回は犯人が逃げたとしても
いつかはたどり着くだろう?
向かっているわけだからな …違うかい?


詳細は割愛するものの、ジョジョ5部のボスは「結果だけだ!この世には結果だけが残る!」と言っている。そしてその言葉を表すスタンド能力の持ち主だ。

そしてボスの正体を追うアバッキオは「結果」ではなく「真実を大切にする意志」を貫くのだ。アバッキオの生き様とスタンド能力もそれにぴったりのものだ。

…なんて素晴らしい展開なんだ、荒木先生!



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仕事で報われなかった時には「結果」だけを追い求めたほうが良いのではないか、と思ったこともあった。その方が楽なのではないかと。

けれど「近道した時 真実を見失うかもしれない」という言葉にハッとさせられた。わたしはそんな風になりたいわけじゃない。自分の正義を曲げるなんて駄目だ。


仕事でもプライベートでも「結果」ばかりを気にしているなと思った時にはこのジョジョのエピソードを思い出すことにする。

大切なのは『真実に向かおうとする意志』だ。

向かっていけばいつかはたどり着ける。

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