翻訳の寄り道 ~オノマトペ翻訳のこと~

    先日、下のようなポストをしました。意外と反応が多くて、みなさんエロいなと思いました。今日は、翻訳をはじめた当初のオノマトペ翻訳について少しだけ書いてみたいと思います。

    今年になって読んだ『寝ころんで読むマンガ〈擬声語&擬態語〉小事典 (すがやみつるブックス)』では、著者のすがやみつる先生がストーリーマンガの描き方を留学生に指導されたときのエピソードが冒頭に書かれています。

留学生が日本スタイルのマンガを描こうとするとき、大きな障壁となるのが「役割語」と「オノマトペ」だったそうです。この部分を読んだとき、「やっぱりそうなのか!」と思い、一度頭を整理するために活字から目を離したことを覚えています。


    韓国ウェブトゥーンの翻訳をはじめた当初(2020.7)、せっかく案件をいただいたのに「とにかく訳せない」日々が続き、必死に試行錯誤しながらようやくたどり着いたのが、まずは「役割語」と「オノマトペ」の翻訳をクリアすることだったでした。

昔から漫画を読んでいたのに、あまりにも日常で深く考えたことがなかったため、どう訳していいのか分からず、というより、そもそも語彙がありませんでした。

※台詞そのものの訳し方、ローカライズ、改行箇所、ジャンル知識などはその後、ゆっくりと模索…

 「役割語」に関しては、まずは金水敏先生の著書を一通り読みながら、「オノマトペ」に関しては、日本の漫画からサンプルを集めて、韓国で翻訳出版されているコミックを取りよせてから日本語オリジナル版と読み比べたりと、地味な作業を続けました。


    そうすると、だんだん「吹き出しのセリフ」の翻訳に頭が使えるようになり、作品自体の理解が増したようで、訳出にかかる時間も少しずつ短くなっていきました。その結果、推敲や調べ物に使える時間が増えるという流れに。

    今でも、未経験ジャンルの新作に取り掛かる前や、インプットが枯渇しているな(同じオトをずっと使い回しているな)と感じたら、同じジャンルの漫画を引っ張りだしてきて、あるいは買ってきて、一気にExcelにまとめて都度、語彙をアップデートしています。

    そもそも原文のオノマトペが読み取れないケースも多いという、根本的に読解が難しいのも特徴なのですが、そこはやはり「絵」と「状況」からしっかり読み取っていく必要があると思います。そのあたりは以前の「翻訳の寄り道」記事に考察として書いてみました。


    では今日の寄り道はこのあたりで。
お読みくださりありがとうございました!


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