ニンニク臭くならない方法など。江戸時代の古文書『廣益秘事大全』解読⑦
引き続き、嘉永四年(1851)の古文書『廣益秘事大全』から、奇巧妙術類(生活の豆知識編)の7回目です。
今回はいたって真面目なネタと、ふざけてるようにみえる真面目なネタが混在する回となります。
1.油にネズミがつかないようにする方法
ひまし油※を少し加えるとネズミは寄り付かない。
※ひまし油=トウゴマの種子から採取する油で
機械油などに使用
2.旅で火を絶えず持ち歩く方法
杉原紙※を黒焼きにし、フノリ※で練り固め、
火をつけて板ではさみむと、
持って歩くときに火は消えず長くもつ。
※杉原紙=兵庫県の杉原谷産の手すき和紙
※フノリ=織物の糊付けや、漆喰の材料に使用
<伝統を守るこんな工房見つけました>
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3.渋の焼けない方法
渋(柿渋・茶渋)※は夏に焦げ枯れて
貯えるのが難しいもの。そこでナスを
切って入れておけば焼けない。
※渋=防腐・防虫・防水などの高価があり、
塗料や染料などに用いる。
4.ニンニクやネギを食べて口が臭くならない方法
紙を噛むと臭いはやがて消える。
また、砂糖を舐めるのもよいし、
酢を沸かして口の中を洗っても臭いは消える。
5.死にそうな鯉を活かす方法
生きた鯉を遠方へ贈るとき
もし死にそうだったら、
ニンニクのしぼり汁を口に注ぐと
たちまち元気になる。
また、鯉が揚がったときに挽茶(抹茶)を
かけておけば損じることはない。
6.練珊瑚珠の作り方
・象牙の粉を羽二重※の絹篩でふるいに
かけたもの三匁(11.25g)
・天草砥の粉※一匁(3.75g)
・光明朱※三匁(11.25g)
・辰砂※三匁(11.25g)
※羽二重=織物の一種で、通常の平織りが
緯糸(よこいと)と同じ太さの経糸
(たていと)1本で織るのに対し、
羽二重は経糸を細い2本にして織る。
※砥の粉=板や柱などの着色・目止めや
漆器などの塗り下地
※光明朱=上等な品質の朱
※辰砂=顔料として古代から広く
用いられている鉱物
いずれもよく混ぜ合わせ、極上の晶膠※を
薄く焚き、フノリの炊いたものと同量合わせ、
上のふるいでこし、その汁で粉を練り合わせて
緒〆(緒締)※に合う大きさに丸める。
※晶膠=中国産の精製した透明の膠
※緒〆(緒締)=袋や巾着など緒を通して
口を締めるもの
柳の木を細く紐通しの太さに丸く削って
クルミの油をつけ、
この練り玉を突き刺して50日ほど乾かす。
その後湿らせた木賊※で磨き、
その上を椋の葉で磨いて、
てのひらで丸めるようにして磨けば
透き通るようにツヤがよく出る。
※木賊=多年生のシダ
※椋=ムクノキ
阿媽港薄色本珊瑚※と間違うほどの
一番の秘伝である。
※阿媽港薄色本珊瑚=マカオ産の上質な大珊瑚
【たまむしのあとがき】
ニンニクの臭い消しの方法は意外に簡単で、しかもこれは今でもすぐにできるものでした。
紙ってどんな紙?と疑問に思いますが、それはこの古文書には書かれていません。
ですので、関心のある方は、手っ取り早く清潔なトイレットペーパーでチャレンジしてみてはいかかでしょうか。
ところで、個人的に練珊瑚の作り方に興味津々です。
珊瑚珠はそのまま珊瑚を加工するものだと思っていましたが、作ることもできるというのは新鮮な驚きです。
これを実験する機会は生きている間に訪れそうもありませんが・・・。
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