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女性必見!江戸時代の色黒・色白の人の化粧法。『容顔美艶考』解読⑨

今回は顔色編です。項目ごとの説明が長めのため、色黒と色白の2パターン限定のご紹介となります。

色黒の方の化粧

日に焼けたわけでもないのに、
生まれつき色黒のお方がおしろいをされると、
ところどころまだらになって
むしろ見苦しいものです。

ですから、まずお化粧されるならば
品質の良い水銀粉はらやを化粧水で溶いて
眉刷毛で伸ばし、しっかり乾かしてから
中くらいの濃さのおしろいを塗りましょう。
そのとき、眉刷毛で擦りつけるとよいです。

さらに、おしろいをつけてからもよく乾かし、
紅を手のひらで薄く溶き、鼻筋を残して
残りはすべて眉刷毛で桃色に延ばすと、
乾くに従っておしろいがだんだん浮き出て
ツヤがよくなります。地黒だとバレません。

このお化粧は大秘伝なのです。

また、日に焼けて色が黒くなったお方は、
唐の土を乳で溶き、夜寝床でたっぷりと
お顔に塗りつけてお休みになり、
翌朝よく洗い落とします。

これを4・5日ほど繰り返しなさると
どんなに日焼けしても
スッキリとれて元通りになります。

しかし、伊勢参りや京のぼりなど
20~30日間日焼けしたときは
4・5日のところ7・8日かかります。

ただし、子どものころからのような
何年もかかった日焼けを戻すには、
30日ほど毎晩前述の通りなさってください。

生れたときの顔色になること間違いありません。
(唐の土は薬屋で調達できます)

色白の方の化粧

色白のお方は、おしろいが浮いてよいのですが、
常にそうではかえっておしろいの生地が
奪われてよろしくありません。

また、色白だと自慢して
素顔でいるお方も多くいらっしゃいますが、
これはよろしくありません。

たとえどんなに色白に生れようとも
汗の出る毛穴もありますし、
瘀血や悪い熱の類もありますので
顔色がいつも同じというわけではないのです。

特に骨のあるところはツヤがなく、反対に
骨のないところはツヤがありますので、
お顔の色合いがなにかと
立体感のない感じになります。

美人の素顔より悪女の化粧といいますが、
必ずしも色白に見せるためだけに
おしろいを塗るというわけではないのです。

身支度をされるならば、
その日の身を清めるためと思い、
どんなに色白で美しいお方でも
やはりお化粧をされるほうがよいでしょう。
自慢して素顔のままでいることは
決してよくありません。


【たまむしのあとがき】

今までの中で、この顔色に関してが一番化粧の重要度を訴えているような、気合の入った内容でした。

ですから、いつもの毒舌は見られず、真剣さがよく伝わってきます。


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