江戸時代版瓜の奈良漬の方法!古文書『女中嗜日用宝』を訳してみた
さまざまな食材の保存方法に関する記述から、今回は「瓜の奈良漬」「万年酢」「柚餅子」の三品目について訳してみようと思います。今では少しなじみの薄い感じがしますが、新たな知識を得るつもりで、ぜひご覧ください。
・瓜の奈良漬は、良い瓜を二つに割り、
中子※をよく取って、水で洗い水気を取る。
※中子=瓜の中心の種子を含んだ柔らかな部分
片方の瓜は、桶に重ね並べ入れ、
塩を八分目ほどに入れて重石を強めに置く。
二晩ほどつけて取り出し、その塩汁で洗い、
塩汁が乾くまで日に干す。
糟一締めにつき、塩五合(900ml)
の分量で練り合わせる。
糟を瓜にたっぷりと塗り、
桶の場合でも壺の場合でも
瓜と瓜とがくっつかないようにして
下向きに並べてその上に糟をならす。
さらに瓜を並べ、塩で白くなるほど
振りかけ、糟をならし、瓜を並べ、
何重にも重ねて漬けて蓋をし、
目張りをする。
100日ほど経ったら取り出して食べる。
瓜・茄子ともに糟が多いほど味わい良く
鮮度が落ちないようにすること。
・万年酢の作り方は、六月の土用のうちに
上酢と上酒を等分に合わせ壺に入れ、
口を堅く封じ、土用中に壺ごと炎天に
干し晒し貯えて、70日ほど経ったら
使うことができる。
そこから取った酢の分量だけ、酒と水を
等分に合わせて使い、再び口を封じておく。
そうすればいつまでも保つため、
万年酢という。
これに菖蒲の葉を刻んで少し入れておけば
香りがたいへん良くなる。
・柚餅子の作り方は、寒中に柚子のヘタを細く
くりぬいて、中子を取り去り、
蓋も底もよく洗い、水気を切って、
味噌に白砂糖をすりまぜる。
もち米の干飯※を粉末にし、
ゴマやクルミ、榧などを刻んで入れる。
※干飯=干して乾燥させた携帯用・保存用の米
さらに味噌を三分(1.125g)ほど
入れてよくすり混ぜて、
その味噌を柚子の中に八分目に入れ、
せいろでよく蒸し、日に干して少し乾いた
ときに軽い重石をして、その後に再び日に
干して固め、保存しておく。
・金柑餅子は大きいキンカンを
醤油と酒を合わせて煮しめた汁に付けて
3・4日干し、壺に入れて口を封じて
保存する。これも寒中に仕込むこと。
・九年母餅子は、寒中に醤油と酒を合わせて
煮しめ、種を取り去り、実も皮もよく細かく
叩き、壺に入れて口を封じて保存する。
【たまむしのあとがき】
柚餅子ってなに?
まずそこから学習でした。
柚餅子・金柑餅子・九年母餅子はすべて柑橘類の保存用餅菓子なんですね。
今回は、万年酢も柚餅子も名前をうっすら聞いたことがある程度で、それが何なのかとても説明などできないほど、遠い存在なのでした。
ところで、瓜の奈良漬の文中最後に「風ひかぬやうにすべし」とあります。
風邪ひかぬようにすべし?奈良漬が?
奈良漬が風邪をひくってなんだろう・・・・
調べてみると、「風邪をひく」には、「鮮度が落ちる」という意味もあるんですよ。
本当にいまだ知らない日本語がこうやってチョイチョイ出てくるので、衝撃です。
そのたびに、なんて自分はおバカなんだろうとショックを受けますが、その衝撃があまりに大きすぎて笑ってしまうのです。
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