果物がたくさん実る方法とは?江戸時代の古文書『廣益秘事大全』解読⑫
嘉永四年(1851)の古文書『廣益秘事大全』から、奇巧妙術類(生活の豆知識編)の第12回目です。
今回は、農作物にまつわるお話がメインになります。
1.虫が湧かないように種を保存する方法
12月(原文で「臘月」)の雪水を壺に入れ、
日陰に埋めて保存しておく。
そして五穀の種を浸して植えれば
日照りにもよく耐え、虫もわかず実りがよい。
2.果物の木に実を多くつかせる方法
果樹の皮に穴を開け、鍾乳(炭酸カルシウム)の
粉を少し入れると実がたくさんなり、
味もまたおいしくなる。
年数の経った樹木も、鍾乳を塗ると
再び生い茂る。ただし、
根の上に泥を塗っておくこと。
<炭酸カルシウムってこういうもの!>
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3.白紙で文通する方法
白い紙に酒で文字を書き、乾かしてから
火で炙れば、文字が焦げて現れる。
水に入れてもよい。
また、鉄漿※で書いて水に入れてもよい。
白く現れる。
ただし、これらの方法は先方の方と
事前に示し合わせてすること。
※鉄漿=お歯黒の原料
4.寒さの厳しい時に川を渡って凍えない方法
寒いときに川を渡るには、手足に古酒を塗り、
コショウを飲んで渡ると凍えることはない。
ただし、すべて水を使うときに用いること。
5.小さいミカンを大きくする方法
ミカンが実りはじめたとき、半分ほど取って
残り半分を木に残しておけば、残ったミカンは
大きくなる。色は紅になり、味も極めてよい。
6.竹の根が伸びきるのを防ぐ方法
皂角刺(原文は「皀莢刺」)※を集めて
土中に埋めると、よく竹の根を遮り、
伸びるのを止めてくれる。
また、胡麻殻を埋めるのもよい。
※皂角刺=マメ科サイカチのトゲ
7.足の疲れを軽くする方法
旅で足が疲れたときは、塩を口で嚙み、
足の裏に塗って火で炙る。
また、細い物で両腿を固く結ぶと足が軽くなる。
ただし、足を洗った後も塩を塗って炙ること。
そうすると足が疲れない。
【たまむしのあとがき】
小さいミカンを大きくする方法は、間引きでした。
間引きは今でも広く知られていますね。
一方、木にたくさん実がなる方法には、炭酸カルシウムが必要だということでした。農業に携わっている方ならご存知なのかもしれません。
今の生活を見直して、昔のやり方や昔のあり方に戻せるところはやっていく必要がある、と私は常々思っているわけですけれども、その中でも農業に関することは最優先事項といってもいいように感じます。
それは世界情勢的に見ても然りです。
個人的には、先ほどの炭酸カルシウムからの延長線上にある、食品添加物や農薬による健康被害は重大な問題だと思っていますし、農業人口を増やすことも本気の喫緊課題だと思います。
ですが、まず一番急いだほうが良いのではないかと密かに思っているのが、出荷規格という規制の見直しです。
もうすでに、輸入もののフルーツの販売量が減っていて、さらに価格も高騰しているように感じますので、そうすると国産の需要が高まって来るわけですが、出荷規格が決まっていると供給量も限定され、モノ不足は解消されません。何より、規格外の農作物の多くは廃棄されていますしね。
(今年はサクランボを見かける期間が短かったような気がするのですが、気のせいでしょうか?そして、アメリカンチェリーが凄く高くなりましたし、バナナは値段据え置きの代わりに確実に小型化しました!)
自然災害もなんだか増えてきているような感じもしますので、水害や猛暑による作物の不作も今後は特別なことではなくなりそうですから、野菜不足の心配もしていかなくてはならなくなります。
出荷規格という制限を見直して、食品ロスを減らすというよりも、もはや食べられるものは全部売るくらいに考えていかないと、これは本当に近い未来大変なことになるのではないか、という気がしてならないのです。
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