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茶の湯人口の減少…

茶道指導者や、学校の部活動での活動を除いた茶道を趣味にされている方は、昭和51年から5年毎に実施されている「社会生活基本調査」によると平成28年で176万人、住宅における和室の減少などもあり、残念ながら衰退していると言える。男女での大きな開きもあり、男性で茶道を趣味とされるかたが増えてほしいと思います。

また、年齢別で見ると70歳以上の方は増えているが他の年代では減少しておりこのままでは衰退していきます…

減少の原因は様々でしょうが、私は機会損失が大きいのではと思う。うちの娘も月に一度だがお稽古に通っている。通い始めたきっかけは私のお稽古についてきて興味を持ったことだが、多くの子どもたちは茶道に触れる体験そのものをすることが非常に難しいと感じる。昨年の夏に子ども茶道教室をお手伝いさせていただいたが、先入観もなく子どもたちはすんなりと茶の湯の世界を楽しんでくれていた。抹茶を美味しい、甘いと飲んでくれるし、お点前や畳の歩き方、礼儀作法を楽しみながらしてくれていた。

茶の湯に触れる機会さえあればそこに楽しみや、やりがいを感じてくれ、茶道をする子どもは増えると思う。

昔、茶の湯は武士が戦場に赴く前に心を癒す時間として茶を楽しんだ。明日は死ぬかもしれないという状況で心の平穏を求めたのかと思うが平和な今の世、どんな気持ちだったのか想像できない。明治に入り礼儀作法、花嫁修行として学校で茶道が取り入れられ、茶道は女性が主にするものといったイメージが出来上がった。戦後洋風化の生活様式に変わり、畳の減少もあり茶の湯は日常生活から遠い場所になってしまった気がする。

私が茶道を習って感じたのは、日本人らしさ、四季の移ろいにアンテナを立ててその移り変わりを楽しみ、客をもてなす心、そして客も亭主の心遣いを感じれる教養も必要だと思う。質素さも必要。日本人が大切にしてきたものが全て詰まった総合芸術であり、日常生活に寄り添った姿だと思う。

古民家を日本の伝統住宅とし、未来の子ども達へ継承しようと活動してきましたが、茶の湯はそんな日本の伝統住宅に命を吹き込むようなイメージです。建物はそれが主役ではなく、そこで暮らす人が主役日本人らしく楽しく暮らすためのエッセンスのひとつが茶の湯だと思います。

これから茶の湯文化の継承に設計者の立場から貢献していきたい…そんな風に感じています。

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