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大阪万博の木造リングは伝統工法なのか…

今日は6434人の方が犠牲になった阪神大震災から29年を迎えた。当時大阪に住んでおり、大きな揺れで飛び起きて、被害状況の確認をと会社から言われてバイクで神戸に向かった…
その後も店舗を中心に復興のために通いました。安全な家をつくりたい…今の家づくりの原点となった震災でした。亡くなった友達もいました。5時46分…毎年一人で黙祷を続けています。

今年はパリでオリンピックが開催され、来年には大阪万博が開催されます。前回の大阪万博は覚えてはいませんが、写真が残っているのでどうも行ったみたいです。今回もできればいきたいですね。

今回の目玉の建築は何と言っても木造のリング。初めて観た時はAppleの本社みたいだな…

シリコンバレーの南にあるクパティーノのApple 社のアップルキャンパス

と思いましたが幅30m、高さ12〜20mで一周2km、屋根の上と下を回遊できる造りだそうでそれを全て木造で建てるそうでさぞや壮観な眺めだろうなと思っています。

大阪万博のWEBサイトより完成イメージ
大阪万博のWEBサイトより完成イメージ

この木造のリング、貫工法で日本の伝統的な工法で設計されたようですが、ボルトやナットを使っているので、伝統工法では無いと問題になっているそう。

ことの起こりは、昨年11月24日、衆院予算委員会で、立憲民主党の森山浩行議員が「日本の伝統工法だと言われてますが、釘は使ってないけど、ボルトやナット使ったりしてますね?」と追及したこと。

これに経産省の審議官が「日本の伝統的な貫工法という方法を使いますが、一部、釘もボルト等も活用はいたします」と返答し、森山議員は「伝統工法を模したもの。鉄を使ったりボルトやナット使ったものは、伝統工法と言いません」と切り捨てたらしい。

12月5日に釘やボルトも使っているかと問われた横山英幸大阪市長は「構造物を逐一チェックをして見に行ったわけではないが、釘やボルトを安全性のために使ったからといって、工法自体は貫工法です。独特な、いろんな日本に昔からある建物で使われている工法でやるわけですから。もしそれで釘やボルトが使われていたとしても、リングの理念が損なわれるものではないと思います」

吉村大阪府知事も「釘を使わないでつないでいく工法が貫工法。実際、それで組み立てています。そのなかで一部、より安全を実現する必要のあるところに一部、金具を使っている。それは釘であろうが接続であろうが一緒だと思うけど、金具を使って強化しているところはある、ということです。それは、釘を使わない貫工法の技術そのものですから。そうでなかったら、ぜんぶ釘でバチバチ打ったらいい。なので、釘を使わない貫工法という伝統的技術を使った組み立てをしている。ただ、その一部、補強をしなくてはいけないところ、安全性を高めるところに金具を使っているところはあります」とボルトなどは安全の為に使っているけど、貫工法だから伝統工法だと説明されました。

大阪万博のWEBサイトより

私はあれだけの大きな建築物ですから金物で補強するのは安全性からみても好ましいとは思うのですが、私が違和感を覚えるのは金物の有無では無く地震時に地震の力を逃す考え方。伝統工法の貫工法は地震時に貫を止めている楔が緩み、緩むことで建物の変形を許容することで倒壊しないという考え方で建てられたものだと思うのです。建物が大きくなればなるほど地震力を力ずくで押さえ込むのでは無くて上手に逃すことが必要だと思います。伝統工法を世界に発信するという万博での目玉の建物でしょうからそういう地震力の逃し方の建築技術というような観点での議論がされればいいなと思っています。


参考 「日本の恥さらし」大阪万博344億円木造リング、伝統的貫工法のはずが「釘もボルトも活用」…吉村知事らの「弁明」に呆れ声 スマートニュースより


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