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木の使い方…

古民家の屋根裏を見てみると大きな梁が入っていることに度々驚く、そしてその梁の多くは曲がった梁が使われています。

アーチ上に湾曲した梁は重い屋根の荷重を支えるのに向いている。トンネルの頂部がアーチになっているのと同じ考え方です。

そして、もうひとつ木材の使い方のセオリーからもアーチの反りのある方が上にくるのも自然な使い方なのでもある。

木材の使い方は生えていたように使う…というのがセオリーになる。たとえば柱につかう場合、元口(樹木の根元側のこと)を地面に近い側、先側は末口を上に建てます。木は生きている時には地面の水を枝先に吸い上げて成長している。水の流れる方向を建物でも守って建てられます。木が上に向かって育つように、そこに住む人も大きく成長(繁盛)していくようにと言われてますが、多分自然な形で無理のないように使う方が耐久性も高くなる気がします。柱を逆に建てると逆木といい、不吉なことが起こるかもしれないと大工さんはその柱をやりかえます。柱の方向も太陽の光を一杯受けた南側、年輪の幅の広い方を建物でも南側に使います。

梁としてつかうときは、太陽の光を一杯受けた南側を背といい、背を太陽が当たる上に向けます。木は斜面に生えていたりするの背を上に使うと自然とアーチの反っている方が上になります。梁で木材を途中で継ぐ際には元口と末口を繋いでいきます。

木は柱などに加工されて使われます。伐採された時点で生きてはいないのですが木は生きているとよく言われます。それは湿気を吸っては吐いてと呼吸をしているからです。調整作用と言います。杉の柱1本は、最大でビール大瓶(633m)1本分の水分を吸収する能力があるといわれています。すごいですよね。

お風呂や台所には谷間の湿地で育った木が腐りにくいと言いますし、リビングには日当りのよい山の尾根の木が適しているともいわれます。そして一番いいのは地元で育った木を使うことです。

材木屋さんでは木の種類で杉やヒノキ…として売られてますが、このヒノキは尾根のてっぺんに生えていた木だよ…とは売られてません。大工さんは手刻み加工で年輪や節などを見ながらこの柱はどこに使おうか…と考えながら加工しています。見えない部分に手間をかけるほど家はいい家になると思います。


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