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茶室「一休庵」のある新築工事が完成。その二

私の今回の立ち位置は総合プロデュース。設計を依頼したのは昔からお付き合いのあった大阪のアーキスタジオ哲の木村さん。木村さんのお兄様は表千家の宗匠で佐藤先生も以前お父様に師事されていたこともあると言う巡り合わせ。

施工はいつも新築やリフォームでお願いしている松山の四季ハウスの石崎棟梁と小間の茶室部分は大洲の菅野建設さん。二宮棟梁を中心に進めました。

右が設計の木村さん、左が石崎棟梁
左が菅野建設、菅野さん

左官は私の自宅の横に住まれている梶田さんのお父様、道後温泉の修復にも携わっている梶田建設さん。

梶田建設 梶田社長の陣頭指揮で土壁や三和土の左官工事をお願いしました。

瓦は菊間の菊貞さんに瓦から焼いてもらい施工もしていただきました。

松山から車で1時間…菊間瓦は愛媛の特産です(大阪城にも昔使われてました。他の産地より少し小降りですが、菊間には鬼師もいらっしゃるので別注で鬼瓦なんかも制作してくれます)

作庭は仙波農園 仙波太郎さん

庭づくりだけでなく、竹樋や三和土の塵穴などもしていただきました。
杉苔の植え付け
完成した露地をドローンで撮影
メインの大工、後藤さん(よし君)数寄屋の鬼というあだ名がつきました。
居宅部分を担当していただいた大工の吉岡さん。古民家再生などいつも応援に来てもらっています。
70を超えてプチ引退の森本さんとは20年以上のお付き合い。今回は主に土場で化粧材の加工をしていただきました。
建具屋の元家さん(もっちゃん)結構神経をすり減らしながら最後まで頑張ってくれました。シンプルな数寄屋、お茶室だけに建具の出来が見栄えを左右します。

その他様々な職人さんにお願いして今回の住宅は完成しました。京都から職人さんを呼ぶという案もありましたが、私は地元の材料をできる限り使い、地元の職人さんが工事する事にこだわらせて頂きました。

母屋のメインの大工 後藤さんもここまで本格的な数寄屋は初めての経験、ミニチュアの木組みで納まりを確認しながら難しい施工を見事に仕上げてくれました。

土場で何やら真剣に考えて加工をしています。

小間を担当した大工さん達もここまで本格的な茶室は南楽園の茶室依頼とのことで、もう何十年も前だそうですし、南楽園より小さな三畳台目の小間は初めての経験で難しいそうです。

大洲の菅野さんの土場で小間は仮組みし、現場に運び込みました。
毎日大洲から松山まで通いで来てくれました。

茶室は壁厚が薄く、小舞も丸竹では納まらず割竹で組んで伊予市の土を使いました。三和土もセメントを使わずに敲いたので完成まで梶田さんも相当苦労していました。

割竹での小舞い掻き
荒壁を塗り乾燥させてから中塗りで仕上げます。
土壁の荒壁と中塗りの仕上げ見本母屋の吹き付けと色味の確認です。
下地窓などの仕上げ部分は梶田社長が自ら施工
三和土の施工、どうするのか教えてほしいというお問合せも何件かの工務店さんからいただきました。

上棟後は1ヶ月に一度ぐらいのペースで木村さんにも来ていただき打ち合わせを重ねながら施工を進めました。

小間の柱の確認、できるだけ末口と元口の寸法差のないもの、真っ直ぐなものを選んでどこに使うか菅野建設の二宮棟梁と相談して決めていきます。
現場の打ち合わせは、大工、建具、設備、庭と毎回時間を決めて質疑をまとめてもらって打ち合わせ
図面では指示しきれないようなものは施工の日程を調整し現物で相談しながらの施工

露地の作庭の仙波さんも踏石や庭木、杉苔、建仁寺垣など苦労の連続で何度かやりかえもして頂きましたが、終わって皆さんここまでやったのは初めて、いい学びになったと言って頂きました。無論私自身大きな自信になった現場となりましたし、ここでこれからお稽古出来ると考えるとこれ以上の幸せはありません。

建仁寺垣の施工中…青竹で造りますが直ぐに色が変わってしまいました。

令和3年  3月12日 居宅部分引越し 約8ヶ月かけて居宅部分が完成。先に居宅部分をお引き渡しさせて頂き引っ越しをして頂きました。お茶室周りは引越し後も引き続き工事、また小間部分も大洲での仮組みが終わったので現場に運びこび本格的な工事がスタートしました。

材料選び、小屋組完成、仮組み完成と何度も大州へ行き都度確認
出来てしまうと見えなくなる部分もよくわかります。
仮組みが完成した小間、ここまでで3ヶ月ほどかかっています。

令和3年6月22日 建築完了検査 小間部分も無事出来上がったので建築完了検査を受けました。畳は早く引きすぎると色が変わるので畳無しで検査を受けました。お茶の世界では風炉から炉に変わる11月は茶壷に入れた抹茶の風も開けることから炉開きとしてお正月のようなもの。11月に露地も含めて全てが整うようにスケジュールを組んでいきます。

広間はお稽古にも使うので畳は入れましたが、小間の畳は8月末まで入れるのを遅らせました。

令和3年10月30日 外構・露地工事完了 最終お引き渡し 外待合の加工に思ったより時間がかかったものの職人さん皆さんの努力でなんとか形になりました。最後の一ヶ月は塗装屋さんの横で左官屋さんがいて、庭師さんがいて、そこに建具屋さんや板金屋さん、それに大工さんも入り乱れての状態になりましたが、皆さんいい仕事にしたいと手を抜くこともなく協力しながら納めて頂きました。

これはブロック壁の上に建てる木塀の加工…笠木とブロックを緊結するために柱は芯を抜きボルトを貫通させました。
外腰掛けは基礎工事を先行…最終的には一面のベタ基礎になりますが、塵穴や柱部分を逃げて特殊な形状でコンクリートを打っています。
土場で仮組みが終わった外待合…小間と同じく解体して現場に持ち込みます。
外待合と数寄屋門の棟瓦は母屋より小さなものを焼いて製作。
柱と束石を緊結し、基礎にベースプレートを付けて高さ調整してコンクリートを流し込んで固定します。建物が小さいので台風で飛ばないようにしています。
これは屋根です。
数寄屋門もよし君の作品です。

完成した写真や各仕事の詳細などもアップしていきますね。

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