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南フランスに送られた十字軍 中世に起きたこと

南フランス、ラングドック地方の小都市カルカソンヌ(Carcassonne)。
オード川を見下ろす高台にある城塞は、その美しさからフランスでは「カルカソンヌを見ずして死ぬなかれ」と言われるほど… 1997年には歴史的城塞都市カルカソンヌとして世界遺産に登録されています。

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シテと呼ばれる城塞は、コンタル城、サン・ナゼール・バジリカ聖堂を擁し、三重の城壁に囲まれています。そのため、進撃の巨人のモデル舞台とも言われているようですが、全長3kmに及ぶ城壁に囲まれ53の塔を持つ城域はどちらかというと細長い形で、壁と壁の間隔も比較的狭いことなどから気持ち的には真ん丸都市のネルトリンゲンに軍配を上げたいと思います。

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但し、今まで見てきた城塞の中で、壁内に教会や居住区だけでなく、街の機能を持つ市街地がある城塞都市はここが初めてです。壁内の通りには名前もついていて、なんと信号まであります。

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この城塞が数多くのファンタジー小説やゲームのモデルとなったことに疑いはありません。
一方、異端とされ討伐されたカタリ派の歴史は、後世の小説やミステリーに様々なインスピレーションを与えています。

アルビジョア十字軍
12-13世紀に南フランスを中心に盛んであったカタリ派を異端と見なし、1209年にローマ教皇インノケンティウス3世が、領地拡大をもくろむ北部のフランス諸侯と結託して派遣した十字軍。
カタリ派は、世界には光と真理を現す善神と、闇と虚偽を現す悪神の2種類の神がいるとする、グノーシス主義的な要素を持つキリスト教の一派として、当時の堕落した聖職者とは対極にある、極めて禁欲的な生活を送っていた。また、三位一体の教義、教会と教皇の権威などを否定し、神とは個人が直接対話をするとされた。
十字軍による制圧の際は「屍のうち、誰が真のキリスト教徒かは、神が見分けたもう」と言われるほどの徹底した虐殺が行われ、経済的にも文化的にも豊かであったこの地は復興が不可能なほど荒廃する。

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カルカソンヌを追放されたカタリ派の人々は、ペイルペルテューズ城やケリビュス城といった険しい山頂に建つ城塞へと逃げ延びていきますが、モンセギュール城を最後の砦として終焉を迎えます。
今は廃墟となった城塞を巡るには車が必要です。

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ロマンティックでファンタジー世界のモデルとなる中世ヨーロッパですが、暗黒の時代と呼ばれた歴史の一端がここに残されています。

(滞在: 2009年11月)

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