マリンジェットがすべての始まり?
夫と出会ったのは10年前。知人の紹介で知り合い、何回か一緒に食事をして、「一緒にジェット(水上バイク)行こうよ!」と言われ、
「この人付き合っても大丈夫な人かな?
ちゃんとした人かな?
でも、それより何より
ジェット楽しそうだからついてっちゃお!」
と思ったのがすべての始まりだった。
10年前と言っても30歳越えていたから、1週間後のその日に向けて、ほどほどに体型隠れて大人可愛い水着を慎重にネットで選んだ。
彼(現在の夫)の車でマリーナに着くと、ちょっとガラの悪い仲間が集まっていた。派手なシャツにサングラス、髭面のおじさん(失礼、お兄さん)達が、美人な彼女を連れてきていた。
年上のお兄さん、お姉さま方にちょっとビビる。彼は、「久しぶりに女連れてきて!」とみんなに冷やかされていた。「それにしても、前の女は····」と言いかけて友人はニヤニヤ、口をつぐむ。
私はマリーナにとめてあるボートや水上バイクがもの珍しく、カッコよくて、ワクワクしながら眺めていた。
女達は船に乗り、男達はそれぞれの水上バイクで追いかけっこをしながら、海にくり出す。船でかかっている曲は、クレイジーケンバンドだった。
無人の砂浜に着いたら、その前の海で、ジェットを回転させて水しぶきを立てたり、ダッシュしたりして遊ぶ。私も水上バイクにのる彼の背中にぎゅっとつかまる。
「行くよ。今からスピード出すからね。」
「うん。」
きゃー、こわーい、とカマトトぶろうと思ったのも束の間、想像よりスピード出て、
「うぎゃあーーー!」
1回叫んだら気持ちよくて、もっと大声で叫んじゃえ!どうせエンジン音にかき消されるし。
「ギャアーー! ギャアーー!」
声が枯れた。
「ごめん、肩によだれ、
たくさん付いちゃった。」
「ふふふ、全然いいよ。」
来年も一緒に行こう、と言ったけど、次の年に結婚して子供が出来て、その年以来、ジェットに行けていない。最後の青春だったのかも、なんちゃって。
それにしても、あの時ジェットについて行ってなければ、今の夫と結婚してなかったかもしれない。マリンジェットがすべての始まり?