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ヒヨコの猫またぎ 著・群ようこ 読書感想文

写真の色が悪いなあ。それはさておき、こちら人気エッセイスト群ようこさんの本。

本屋さんを歩いていて群ようこさんの新刊が出ていたら必ずと言っていいほどチェックする私。ものすごく面白いというわけでもないけど、何だか買っちゃう。

今まで買った群さんの作品を全部覚えているわけではないが、だいたい常にどんなことで悩んでいるとか、何が好きというようなことは記憶に残っている。

例えば、お母さんの浪費癖に悩んでいたり、弟さんと折り合いが悪かったり、年を取ってきてちょっと怒りっぽくなっていたり、猫が好きだったり…。

その刷り込みのもと読み始めたら何だか様子が違う。まず、お母さんとそこそこ仲がいい。お母さんが浪費家であることは変わりないのだが、わかっていて二人で京都へ着物を買いに行っているし、弟さんともそんなに仲が悪そうでもない。

人の生臭い恋バナにも珍しく首を突っ込んでいるし、やたら人の容姿のことを書いていてご時世柄大丈夫なのかと読んでいるこちらがヒヤヒヤすることも。

いつもと違うなあと読み進めていると、群さんがご自身の年齢が45歳であると書いているではないか。

群さんが45歳、そんなわけがない。45歳は私の年齢である。

あとがきを読んだところ、この作品集は今から20年前のものらしく、最近になって新装出版されたとのこと。

群さんが45~47歳の間に書き上げたようだ。

その頃の群さんは、世の中とのズレを感じ始めたり、体力低下を意識しだしたり、それでいて女性としてギラギラしたところがまだあったりして、衰えながらも精神的にはまだ前のめりであることが感じられた。

特に群さんの作品のなかで男女のことが語られるのはあまり見なかったので意外だった。

私自身、前はそういうことを書くのは恥ずかしいと思っていたのに年々平気でつらつらーっと書く。そういうお年頃なのだろうか。
最近、同世代またはそれ以上くらいのフォロワーさんの作品にも大胆なものが増えているのでみんな粗方同じような精神状態なのだろうと思う、知らんけど。

あとがきによると、現在の群さんは67歳で、浪費癖のひどかったお母様は鬼籍に入り、弟さんとは不仲だとか。うっかりミスをすることもあるようだが、至ってお元気な様子。

読み終えたあと、私もあっという間に67歳とかになっちゃうんだろうなあと目を背けるようにして本を閉じてしまったのだった。

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