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お金のカタチから見る資産運用 -続き-

1.前回のあらまし

前回の記事で金融資産にはいくつかの種類があり、

・現預金のままだとずっと金額が変わらない
・他の株や保険、その他の資産へカタチを変えることで増減を検討できる
・iDeCoなども目的によって将来への備えか、財産を増やすキャピタルゲインか色が変わる

といった内容を展開しました。

前回の記事

前回の終盤に不動産などの話に続くという内容を書きましたので、
今回はそこに触れていこうと思います。

【注意】本記事は不動産投資を推奨するものではありませんが、実際に見た内容・経験した内容を基に記述しております。
プロの不動産投資家に比べ内容が稚拙な部分がありますが、それはご了承ください。

それではまいりましょう。


2.不動産を事例にしたカタチの理解

前回は現預金・金融資産というシンプルな形で例示しましたが、今回はここに自宅を買ったという設定を追加しようと思います。

パターンが2つ考えられます。

・現金はたいて買いました
・ローン組んで買いました
(頭金等の設定などでこの中間に属するパターンもあるかと思います。)

図にしましょう。

住宅ローンは資産と負債が両建て


今回はCに"資産"と"負債"というフレーズが出てきました。
簿記っぽくなってきましたね。
Bはそのままかと思います。現金が土地建物に化けたという感じです。

ローン、いわゆる融資を受けるということは、
現金と負債が両建ての状態になります。すぐに返せば相殺してゼロです。

その現金を基に不動産を購入するという流れになります。

借金=悪 みたいな事を私は親からよく言われてましたが、決してそうではなかったと今の税務の仕事をやってて思うところです。
あくまでも用途やその運用の形が大事なのです。

この不動産、自分で住んでも期間の経過と共に価値がすり減っていきます。
(これを”減価”といいます。土地は消耗しないので減価しません)
同時にローンを返済し、残高も減っていきます。

住宅は使うごと(期間の経過と共)に減価します


世間ではこの住宅ローンの支払いが賃貸住まいの家賃と比べ高いか低いかとかで持ち家が良い、賃貸が良いみたいな話をしている様子もありますが、
近年の話として、住宅(特にマンション)の価格が契約時よりも上がっている(契約時6,000万→引き渡し時転売価格7,000万)という事例も出ています。

こんなイメージです。

買ったそばから含み益

持ち家派の話として、このような形の資産運用があるので、
自宅は買っておけという話もあります。
近年、土地の値上がりと共に、直近は各種原価の向上などもあり、
特にマンションではベースの価格が上がることでこの結果が出るようです。

ただ、2年くらい前からこの状況になるのは読めない。。

ただ、転売前提で購入していた様子も見え隠れしますね。別角度で見ればこれも資産形成の一つのカタチかと思います。
※当然ですが、この逆のパターンもありうるので要注意です。


3.時間の経過を加味してみる

先程の2では、

・時間の経過と共に不動産(建物)の価値が下がる(減価)
・物価等の上昇により当初の価格より上振れる可能性がある

というパターンを示しましたが、
次のこの応用を検討してみようと思います。

その理由ですが、

・日銀が来年にかけた物価の見通しを変更している
・賃金上昇を伴う年2%の物価上昇が現在の日銀の目標とされている
・長く続いた物価停滞・デフレの傾向からコストプッシュの形で売価や賃金
の見直しが各所で迫られている

という所です。
一番最後は仕事上でも見る個人的な感覚も含みます。
また、出典も併せて。

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2310b.pdf

※日銀 経済・物価情勢の展望(展望レポート)

つまりは年2%の継続的な物価上昇が、(達成できるかどうかは別として)
乗せたいと思う道なので、一度これに乗せた場合の動きを考えると
面白いかなと思っています。

他でよく見るものが、株式などの金融資産に変えておくことが、
インフレも加味した将来の資産運用につながるという話があります。
ETF(上場投資信託)や各種積立に近い投資による効果の一例ですね。

複利で運用を続けることによる効果は次のようなグラフで示されることが多いです。

100を基準として年単位で運用した場合の結果

複利運用の場合、例えば5年経過での計算式は、

100×1.02×1.02×1.02×1.02×1.02=110.408…

という感じですね。1.02の5乗です。

20年であれば1.02の20乗→148.6です。
期間の経過にかなりの破壊力があるのがこれから分かるかと思います。
ここまで理想的にいくかどうかという話もありますが。。


4.減価と物価上昇を合わせてみる

先程の不動産の話、買った時点で市場価値が上がったことにより売価が既に上がっているとの話をしました。
しかし、建物は使用・期間の経過により減価(価値が減少)します。
この相反する2つの減少を同時に折り込んでみたいと思います。

(1)条件設定

ここのパラメータの設定により金額の動きが大きく左右されますので、
ある程度筋の通る設定を考えたいと思います。

・設定する不動産は流動性があるマンションを前提
・RC(鉄筋コンクリート)造の税務上の法定耐用年数が47年であるため、キリよく50年を減価の終着点(年2%の減価)として設定
・物価上昇(価値上昇)率の設定をえいやーで年1%増と置いてみる
 (年2%が維持できるかに少し疑問を感じるため)

※物価上昇率を年2%で設定すると建物の価値がほとんど変わらない謎設定になる(2%増→2%減→2%増→…)ので、そこを避ける意味もあります。

・不動産の初期投資額は大都市圏ファミリーの一般的な内容を加味してスタート8,000万で設定
・土地、建物それぞれの算定も考えられるが、マンションは土地が共有持ち分で単体処分に難があるため、8,000万全体が減価すると仮定

よって、計算式は、
8,000万×(1.01×0.98)×(1.01×0.98)×…
という形になります。


(2)計算結果

早速グラフにしました。

あれ?結構残るぞ?

むむ、思ったより減ってない気がする。。

少なくとも50年経過時点で0近くペラペラになっていないと違和感があります。
減価の設定が甘いのか?
試しに減価を年4%にしてみます。

8,000万×(1.01×0.96)×(1.01×0.96)×…

なんかそれっぽくなっているような、なっていないような。。

減り方がそれらしくなってきましたが、
個人的に気になる点があります。

減価のカーブ、曲線の形は逆じゃないか?

途中までは住む価値自体は薄れにくいので高めを維持し、
終盤は残り住める期間に限りがあるため一気に価値が減少するようなイメージが。。

ここに更に住宅ローンの残額(今回は元金均等で計算)を組み合わせてみます。

住宅ローンは遅くても35年で終了

途中から開きが出てきます。
これは、不動産を売った時にローンを完済して手元にある程度残ることを意味します。
(厳密には仲介手数料や譲渡所得などの税金も加味するので実質手残りは少ないと思われます)

少し変わった形かもしれませんが、
これも投資の一つの考え方かと思います。

※何度も言うようですが、こういう理想的な動きをするとは限りません
というか、間違っていると自分自身思います。


5.最後に

ここまで計算をやってみると、結果に課題は残るものの考え方で見えてくるものもいくつかありました。
グラフを見て思いましたが、これではまだ答えには遠いと自分で思わされる所もあり、もっとプロの方から見てご意見いただけるようであればありがたいです。
(修繕のサイクル、積立金の考慮、内装の陳腐化、色々あると思います)

ただ、この試行錯誤の過程も必要だと思い、そのまま記事としてリリースさせていただくことにしました。

また、この考え方を含めると不動産以外の別のものも見えてくると、この記事を書きながら思いました。
その続きは次回。

今回は長めの記事となりましたが、
お付き合いいただき、ありがとうございました。

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