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ハイキュー!!! 第278話守護神のヒーロー

はじめに

 どうもkomeiです。春高バレーが開催され、非常に盛り上がっている(自分の中で)。ハイレベルな戦いの中に、史上最高のバレー漫画であろうハイキュー!!!に出てくるものに似たプレーがいくつも見られた。そこでハイキュー!!!を読み直していると、もう何回も何十回も読んだのだが、感じ方が変わり泣ける話があったので紹介したい。それがコミックス31巻の最終話である、第278話守護神のヒーローである。本当に感動する名作である。

あらすじ

 主人公日向翔陽のいる烏野高校は、春高2回戦でシード校の稲荷崎高校と対戦する。烏野のスーパーリベロ西谷は、非常に上手いがオーバーが苦手で、稲荷崎のセッター宮侑のジャンフロに苦しむ。

 ジャンフロのレセプションの定石は、オーバーで捕まえることだが、それが苦手な西谷は一歩下がってアンダーでとるという癖がついてしまっていた。そんな西谷に、ジャンフロを打つ西谷の練習相手だった木下久志が、練習したから大丈夫だと声をかけていた。

 そして、次に宮侑のサーブの時、木下が「前!」と叫ぶ。西谷は前に出てオーバーで捕まえ、Aパスを返し得点につなげる。西谷が苦しんでいた様子を見ていたチームメイトは西谷によって来るが、西谷は練習に付き合ってくれた木下を指さし、ガッツポーズを決める。それに呼応するように木下は心底の喜びとともにガッツポーズを返す。最後の見開きが最高。

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(古舘春一『ハイキュー!!!』第278話より、ガッツポーズしているのが木下)

読んで

 文章で説明することの虚しさと伝わらないだろうなという思いを抱えながらあらすじを書いた。言いたいことはただ実際に読んでほしいということなのだが、感想を少し書きたいと思う。

感想とポイント

 本当に素晴らしいとしか言えない。泣ける。何回でも泣ける。以前はいいシーンだなと思ったくらいで泣きはしなかったが、なぜか今すごく響く場面だった。

 ポイントは、木下久志がその前にピンチサーバーとして出るもあっさりAパスを返されたシーンがあったことである。烏野には能力の非常に高い選手もいるが、そんなスーパープレーヤーではない選手もいる。しかし、そんな選手でも努力を積んで自力で結果をだしたり、スーパープレーヤーの代わりに出て自分の仕事をしたりと活躍していた(上写真の右の縦に並んでいる四人)。

 彼らのように、自分も劇的な活躍ができるのだと「勘違いしてたんだなぁ」という思いが木下の頭の中にはあった。そんな木下だが、西谷の活躍によって彼らと同じようにチームに貢献できたことを実感したのだろう。自分が活躍するだけが全てではなく、同じチームの誰かの活躍に貢献することも大事な働きである。

左ききのエレン

 この話が響いた理由を考えてみると、それだけではないと思うが、左ききのエレンという漫画を読んだからというのが一番しっくりきた。これも「照らす側」と「照らされる側」の人間を描いた作品である。「天才になれなかった全ての人へ―」というキャッチコピーからもわかるように、「照らす側」に焦点を当てている。「照らす側」というのは、木下のように、スーパースターを陰で支える人で、「照らされる側」は西谷のように実際に活躍する人である。こちらも非常に面白い作品なのでぜひ読んでみてほしい。

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(かっぴー・nifuni『左ききのエレン』より)

おわりに

 この話はハイキュー!!!の中でも屈指の名シーンの一つだろう。天才だけが照らされる側にいるわけではないが、照らす側にいる人の方が多い。漫画では照らされる側ばかりがフォーカスされてきたと思うが、今回は双方にスポットライトを当てた点が秀逸だった。
 ストーリーの良さは、伝わらないまでも説明することはできるが、絵と合わさった時の感動はどうしても説明できないので、本当に読んでいただきたい。

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