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「メンヘラ」「毒親」…新しい言葉たちに思うこと

ネット由来の新しい言葉。
まだ、言葉の意味合い、言葉が人ならアイデンティティがまだ確立されていないような、言葉の赤ちゃんたち。
「メンヘラ」「毒親」「社蓄」「親ガチャ」「子ガチャ」とか…。
流行することで本来の意味から違っていく言葉もある。
最近だと「蛙化現象」という言葉が大流行して、ネットを中心に物議を醸している。

私も1つ前の投稿で「メンヘラ」という言葉を使ったけれど、流行していく言葉はやっぱりキャッチ―で、使いやすい。
流行するものって、良くも悪くも「注目されやすく」、「覚えやすい」から特に流行に敏感な若い子はこぞって取り入れたくなるんだよね。
そして、その本能的とも言って良い衝動は大人たちも同じこと。

だからこそ、【意味が違う】【本来の意図を捉えていない】まま流行して、意図しない所で誰かを傷つけたり、攻撃的・暴力的に使われるようになる言葉がとても多い。

まさに、言葉の赤ちゃんなんだと思う。

何も知らないまま生まれ、
充分な教育も躾も受けずに育ってしまえば、
身体だけが成長して、知らず知らずのうちに人を傷つけて、攻撃的に、暴力的な大人に育ってしまう。

本質的には、その赤ちゃんには何の罪もない。
教育もせず、世の中の真理を教えてあげることも出来なかった大人たちが本当の責任を負うべきだから。

言葉に置き換えれば、生み出された言葉たちには罪はないのと同じこと。
ただのキャッチ―な言葉として世の中で流行していく。ただそれだけ。
でも流行しすぎて当然のように普段使いされるようになっていくと、やっぱりそれはそれで弊害が出てしまう。
「メンヘラ」だって「毒親」だって、最初はそういうキャッチーな言葉で自分の気持ちを包み隠したい当事者たちの心を救ったんだろうけれど。
今は当たり前に流行しすぎて知らぬ間に誰かを傷つけるようにはなっている気がする。

「門限破ったら親に1週間遊びに行くの禁止された。まじ毒親なんだけどうち」「勉強しろってうるさい、親ガチャ外れた」「昨日嫌な事あってまじでメンヘラだった」「あいつ教室で泣いたらしいよマジでメンヘラじゃない?」

なんてさ。
当事者たちが聞けば(いやいや…笑)って多分笑えるような愚痴。
キャッチ―という理由だけでやっぱり流行してしまうけれど、本当の意味や、言語の意図を理解していこうという気持ちだけは持ち続けなければならないなと、心底思う。

難しいのは、こういうキャッチ―な言葉が「本当のSOS」の場合もあるということ。
さっき例にあげた愚痴。
だから、私は流行する言葉を否定したいわけじゃない。
そのままの意味でとらえるのならば、「いやいや良い親じゃん」「その位メンヘラなんて言わなくていいのよ」なんて言いたくなる。
もう一般社会に出て10年近くたつ大人だからなのかもね。

ただ、もしも。
その子達が本当に親との関係に苦しんで、本当に自分のことを傷つけるほど思い悩んでいるのなら。
それを誰にも言えなくてキャッチ―な言葉を使っているのなら、安易に「言葉の意味を考えずに使うな」なんて言うのもまた無責任な話。

でも、ただひとつ思うのは、
意味も分からず、当事者でもない人が簡単に使うべき言葉じゃない

流行しているから使ってる。
本当の意味も分かってない。
ちなみに当事者でもないし、当事者に寄り添う気もない。
なのに、その言葉を誰か他人に放つのはやっぱり違う。
メンヘラ、とか、毒親、とか。
そういう言葉が流行しすぎてしまう世の中で一番心配なのは、本当にそれで悩んでいる人たちが何も言えなくなること。
本当に、メンヘラな人。
本当に、毒親育ちの人。
そういう人達が、流行しているキャッチ―な言葉に自分の気持ちや悩みを隠されてしまっているのなら、やっぱり簡単に使う言葉じゃない。
当人たちがオブラート代わりに使うのなら、良いと思うけど。

私は元々本当にメンヘラ(精神疾患を持っていた)で、その理由は両親との関係が主な所だったからメンヘラOGを自称するし、そういうことに興味もある。
だから「キャッチーだから」って言う理由と合わせて、本当の意味でこういう言葉を使っていきたいとは思ってる。前回の投稿もそう。
ただ落ち込んでいる人に向けて、という意味ではなく、
本当に苦しくて、本当に辛い状況にいる人に向けての言葉。
他人にそんな言葉簡単に使わないし、親との関係が理由で精神を病んだことは事実でも、うちや毒親で、親ガチャに外れた…なんて言わない。

結局こういう言葉を流行させているのは、当事者じゃない事の方が多い。
発信源は当事者でも、いつの間にかその言葉の使い手たちは外側の人間になってしまうもの。

だからこそ、改めて、私たちがそれぞれ自分を見直さなきゃいけない。

流行している言葉の意味を。
本当に悩んでいる人の心の声を掻き消してしまわないように。

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