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第10章⑦【江戸時代タイムトラベラー】男尊女卑のパラレルワールド5/15/2019

江戸時代タイムトラベラー助兵さん[2019(令和元)年5月15日(水)] 

リアルでも、同じ変な現象体験をしている人はいないのか。

最近は、会った人、会った人に、何気なくパラレルワールドについてどう思うか尋ねている。
ほとんどの人は、何を不思議なこと言っているのという反応なので、不審な顔をされたら、
「いや、映画で見て興味持って」
と誤魔化し話題を変える。

そんな、リアルでのパラレルワールド体験者を密かに探す中、嘘か真か、詐欺フランチャイズの社長である助兵さんが、パラレルワールドの話に乗ってきた。
本当に、助兵さんの会社は健全な会社なのか、カフェで問い詰めていた時、例え話でパラレルワールドの話をしたのがキッカケだった。

オーストラリアの位置が変わったという話である。
助兵衛さんは、子供のように身を乗り出して、地図を見ながら
「本当だ、すごいね、違う世界だ」
と喜んでいた。

今までブログに書いてきた不思議な話を助兵さんにしてあげた。
助兵さんの反応は、小学生か幼児のようだった。
このおっさんは、全ての不思議現象をとても素直に聞き入れ、素直に疑問点を聞いてくる。
しかし、その素直さは、大の大人の反応としてはどこか違和感があった。
大人として常識的に知っていて当然のことを全く知らない。
現代人として、幼児でも知っていることを全く知らない。

としか思えない反応の変なおっさんである。

もしかしたら、脳に何か障がいがあるのだろうかとも考えたが、仕事面では普通に支障なく行っていて、意思疎通も今まで普通に行っているのを見ていたから、健常者であることは確かである。

助兵さんは、ボクの話を聴きながら、
「この世界は変だ」
「変だ、変だ」
と騒ぐ。
そのうちに、なぜか知らないが、助兵さん自身の悩みを打ち明け始めた。
「家族も、周りも、変わってしまった。誰に言っても、信じてもらえない。でも、こまゾロちゃんの話を聞いて、これだと思った。私は、他の世界から来たに違いない。」
と涙目で訴える。

変わり者なのか、人の話を鵜呑みにするのか、はたまた、詐欺の新しい手口なのか。
「へーえ、助兵さんも違う世界から来たんだあ」
と白々しく驚いてみせる。
詐欺師の手に乗るものか、同感して、同じだと同調すれば相手が油断するとでも思っているのだろう。
そんな手口は通用しないぞ、と思いながら、
「じゃあ、どこから来たの?」
と聞いてみた。

助兵さんは、
「わからないけど、この世界は違う」
と、バクバク唐揚げを頬張りながら、首を傾げたり、上見たり下見たり、かなり怪しい言動である。
平気で詐欺行為に及んでいる助兵さんの言うことだからと、適当な作り話をしているんだなと、適当に相槌して聞いていた。

しかし、その助兵さんの悲しい話は、お腹を抱えて笑うほど、お腹が痛くなるほど面白くて、馬鹿馬鹿しい話で、ボクは、カシスソーダ飲みながら、吹き出していた。
このおっさん、大分酔っ払ってるよと思いながら、
「よしよし、んじゃあ、話してみなよ。馬鹿馬鹿しそうだけど、聞いてあげるよ」
と、1時間くらい、奇想天外で面白い助兵さんの悩みを聞いてあげた。
助兵さんの話は、吉本新喜劇の時代劇版みたいだった。

それが本当なら、助兵さんは、タイムトラベルで現代に来たことになる。なんてことあるわけない。

ボクは、詐欺師の正体剥がさねばと、失踪したという会長の話を切り出した。会長は助兵さん以上に、セクハラ、モラハラのとんでもない人物だったが、金亡者の会長が事情がなくて失踪するわけがない。

ボクが、
「セクハラ訴訟起こさなかっただけ、ありがたいと思んだね」
と助兵さんに言うと、助兵さんは、

「セクハラ、モラハラという言葉は、こまゾロちゃんから言われて、初めて知った」と、いきなり土下座して謝り出した。

なぜ土下座、切腹でもするのか、というくらいの勢いで、助兵さんはセクハラの言い訳を話始めた。

以下は、助兵さんの話である。
「ずっと、こまゾロちゃんが、どうして怒っているのか分からなかった。
セクハラ、モラハラって言う言葉、初めて聞いて、違う国の言葉かと思っていた。
ずっと経ってから、セクハラ・モラハラが日本語で悪いことだと知って、驚いたんだ。
私の生まれ育ったところには、そういう習慣がないから、そういう言葉もない。
女は男の言うことを聞いて、従うから、そんなことで怒られたこともない。
女は、体のこととか言うと喜ぶし、男が威張ると喜ぶから、威張るのは得意じゃないけど、一生懸命威張って、女に汚い言葉使って喜んでもらっていたんだ。
女・子供は、男が守らなければならないから、男が偉いんだよ。
そうだったんだよ。

私の暮らしていたところは、外見は、こことそんなに変わらないのに、ここの女の人は威張っていて、男に命令していて、子供も威張っている。
それで、男が弱くて守られている。
おかしいよ。
変だよ。

女の人は、家で家族や子供の世話をするのが仕事で、外に出てはいけない。
なのに、平気で、一人で喫茶店やレストランにいる。
居酒屋でも、レストランでも女同士でワイワイ騒いでいる。
女の人が男の前を平気で歩いている。
男の人が、育児をしている。
男なのに赤ん坊をおんぶしている女みたいな男がたくさんいる。
男は、女のいうことなんか聞かないで、女と子供を守るのがオキテなのに、ここの人たちはオキテを守っていない。なんで、こんな変な世界に来てしまったのか、教えて欲しい。」
とまるで男尊女卑な話を泣きながら延々話していた。

身近な家族も変わってしまったそうだ。
助兵さんの話は、ちょっと幼稚で延々続くので簡潔に概略を書くとこんな感じである。
「私は、若い頃に結婚してずっと幸せに暮らしていたのに、突然奥さんが凶暴になって、主人の私を見下すようになって、怖くなった。
奥さんがこの世のものと思えないほど、人間とは思えないほど、男のようになって、私を支配しようとし始めて、怖くなって、数ヶ月くらい前から部屋に引きこもっていて、奥さんの顔を見るのも怖い。目が合うと襲ってくる気がする。
女が鬼になったのだろうか。
男を支配し始めている。

コマゾロさんも女なのに社長になろうとしたり、男と普通に呑んでいて、奥さんと同じに、最初は怖かった。女は、男と対等に話すなんて、人間ではないと思った。

そうしたら、会社に行っても、外に行っても、女の人が男みたいにガニ股で歩いていて、男みたいに大声で笑っていて、集団で男を襲っている。
怖くて、怖くて、仕方ない」

最初は、お腹抱えて笑える話だったけど、こいつは、セクハラ行為を正当化するために、変な作り話をしているのかって、猜疑心の塊で、助兵さんの様子を観ていた。

しかし、変な作り話をするおっさんというだけではなかった。
話より以上に変なのが行動だった。
物凄い挙動不審である。

カフェで話をしていても、キョロキョロ落ち着かない。
「見てみて、女の人が一人でコーヒー飲んでいる」
「女の店員さんが多い。なぜ、家から出ているのか」
道を歩いていても落ち着かない。
「ほえー、女の荷物を男が持ってる、見て見て」
「うわああ、おまわりさんの女の人がいるよ。男を事情聴取している。どういうことだああああ」

もう、3歩くらい歩く度に、ぎゃあぎゃあ、うるさい助兵さん。

大衆の前で、ここまで馬鹿丸出しにする行為は、演技とは思えなかった。

呆れながら、
「他の何処かから、来たんだろうね、そりゃあ大変だったねえ」
と言ってあげたら、
「コマゾロさん、私はどうすればいいのでしょう」
と涙ぐんでいた。

と言ってる矢先から、
上を見たり、下を見たり、建物の中を覗き込んだり、電柱に隠れたり。
看板を見て、
「女の人が広告になっている、なんで女なのに」
「赤ちゃんをお父さんが抱っこしている、女の人が手ぶらで前を歩いている」
「見てみて、なんで、女の人が車運転して、殿方が隣に乗っている」
目をキョロキョロさせて、本当に落ち着かない。

ボクが呆れ顔で、
「女が家にいるって、江戸時代みたいだね」というと、
「江戸時代って、女が家にいるのか?」と聞くので、
「まあ、そうじゃない?」というと、助兵さんの目が輝いた。
「それだよ、江戸時代だよ。江戸時代から来たんだよ」
笑った。

そうか、江戸時代の人は、自分たちの生きてきた時代が「江戸時代」と呼ばれていることを知らないのだ。

なんだか、本当っぽく思えた。

ボクと助兵さんはお腹抱えて、笑った。
「江戸時代タイムトラベラー」が一番納得できる助兵さんだった。

なるほどね、パラレルワールドとかマンデラエフェクトなんて変な現象が現実に起きているんだから、江戸時代タイムトラベラーが現実にいてもおかしくない。
「そうか、どこから来たか解って良かったじゃん」
って笑いながら言ってあげた。

もう、笑うしかなかった。


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