【連載など】 ・毎日新聞文芸時評欄「私のおすすめ」欄担当。 現在の最新記事。 ・港の人HPにて、エッセイ「まばたきする余白 ー卓上の詩とわたし」連載中。※2023年12月から毎月連載予定。 現在の最新記事。 ・朝日出版社WEBマガジン〈あさひてらす〉にて、エッセイ「何を読んでも何かを思い出す」連載中。※2023年12月から毎月連載予定。 現在の最新記事。 ・『本の雑誌』の「新刊めったくたガイド」にて、日本文学の紹介を2年半担当。2018年5月号~2020年12月号ま
お知らせが遅くなりましたが、9/25(水)の毎日新聞夕刊文芸時評欄に、3冊書評が掲載されました。次の3冊をあげました。 ①井上先斗『イッツ・ダ・ボム』文藝春秋 ②永井玲衣『世界の適切な保存』講談社 ③丸田麻保子『カフカを読みながら』思潮社 第31回松本清張賞を受賞した①は、ジャンルでいうと、普段自分が好んで読むタイプのものとは異なるな、と自覚したうえで読み始めたのですが、ページを繰るごとにどんどん夢中になって読みました。 詳しくないのであまり公言していませんが、ラップや
港の人連載「まばたきする余白ー卓上の詩とわたし」の最新回が更新されました。 第13回では石垣りんの「声」という詩をとりあげています。 気がついたら前回のエッセイから、半年以上経ってしまっていました…何があったわけでもないのですが、目の前のことで右往左往しているうちにこんなことに。 石垣りんの詩はまったく好きではなかったです。 なんなら今でも好きなほうではないと思います。 はじめて興味がわいたのは、 梯久美子さんの『この父ありて 娘たちの歳月』(文藝春秋)と、エッセイ集『朝
長嶋有さんの『トゥデイズ』、 井戸川射子さんの『共に明るい』につづき、 群像Webにて3つ目の書評が公開されております。 先月の毎日新聞書評でも一冊目にとりあげた、 東辻賢治郎さん『地図とその分身たち』の書評を書きました。 新聞書評でも、この本の魅力を伝えるのには苦心したので、わたしよりもっと人文系の書き手の方に書いてもらったほうがいいのでは…とも思いましたが、せっかくのご依頼なので書いてみることにしました。 予想した以上に大変で、いつもより時間もかかりましたが、『地
【近刊告知】 発売までは少しだけ先ですが、前もって告知しておきたいので、書くことにしました。 長くて申し訳ありませんが、こちらに関してはかいつまんででもいいので、読んでいただけるとうれしいです。 9/18取次搬入の、月曜社の不定期刊行誌『多様体』6号に原稿を書きました。 タイトルは「書店員の仕事はシット・ジョブなのか?」です。 店舗の形態も会社もさまざまですが、書店の仕事を、アルバイトも含めて30年近く続けました。 その間、書店員の仕事は楽になるどころか、どんどん厳しく
8/28(水)の毎日新聞夕刊文芸時評欄にて、3冊書評が掲載されました。 次の3冊をあげました。 ①東辻賢治郎『地図とその分身たち』講談社 ②松永K三蔵『バリ山行』講談社 ③高橋順子『この世の道づれ』新書館 東辻さんのお名前を知ったのは、レベッカ・ソルニットがきっかけだったと思います。 ①を読むのには、とても時間がかかりました。書かれている内容がとても広汎で、自分のもっている知識では、すぐには追いつかなかったこと、かつ文章の濃密さに、読み飛ばすという行為が一切できなかった
お知らせが遅くなりましたが、 7/31(水)の毎日新聞夕刊文芸時評欄にて、3冊書評が掲載されております。 次の3冊をあげました。 ①ジュリー・オオツカ『スイマーズ』(新潮社クレストブックス) ②イ・ジュへ『その猫の名前は長い』(早川書房) ③大木志門・徳田秋聲随筆集編輯部編『月日のおとなひ 徳田秋聲随筆集』(手のひらの金魚) 日系移民を描いた前作『屋根裏の仏さま』も話題となった著者の新作である①は、さまざまな人々が集まり思いおもいに泳ぐ市民プールを舞台にはじまり、やがて「
気づいたら半年ぶりでした。 朝日出版社WEBマガジン、あさひてらすの連載「何を読んでも何かを思い出す」が更新されています。 第20回は「ミツバチと幻」です。 是枝裕和監督の初長編作品『幻の光』は、わたしにとって長らく意味深い映画で、今回のエッセイではまずそのことを書いています。 「何を読んでも…」のタイトルに反して、今回は映画作品が中心で、読んだものについてはほとんど…『幻の光』の原作くらいしか出てきません。 が、まあ「読む」という行為はすべてにともなうものなので、別にい
すっかり投稿を忘れていました… 6/26(水)の毎日新聞夕刊文芸時評欄にて、3冊書評が掲載されております。 次の3冊をあげました。 ①ハン・ガン『別れを告げない』(白水社) ②アニー・エルノー『若い男/もうひとりの娘』(早川書房) ③百瀬文『なめらかな人』(講談社) あまりに知らなさすぎたので、「四・三事件」についても、参考文献をいくつか読みましたが、仮に出来事に詳しくなかったとしても、斎藤真理子さんの訳文には、おそらく原文からにじみ出る「静寂」や「沈黙」のようなものが含
5/29(水)の毎日新聞夕刊文芸時評欄にて、3冊書評が掲載されております。 次の3冊をあげました。 ①西加奈子他『私の身体を生きる』(文藝春秋) ②島田潤一郎『長い読書』(みすず書房) ③岸本佐知子『わからない』(白水社) 小説や詩歌でとりあげたいと思うものが3冊そろわず、今回はあえてエッセイで3冊あげてみました。 17名の「私」が自らの身体と向き合うリレーエッセーとうたわれた①について、一見してジェンダーやフェミニズムの気配を感じつつ、最近多く刊行されるようになった「
白水社「エクス・リブリス」15周年を記念した小冊子に寄稿しました。 パク・ソルメさんのインタビュー、 翻訳家である木下眞穂さん、 木原善彦さんの寄稿とともに、 大塚の文章が掲載されているという… なんと、なんと、畏れ多い… 実物が届き手にとって見て、あらためて青ざめた次第です… 「エクス・リブリス」には、特別な思い入れがあり、 アレハンドロ・サンブラ『盆栽/木々の私生活』に関する記憶が、 その「思い入れ」につながっています。 小冊子では「「わからない」という扉」という
発売中の『本の雑誌』6月号に、 「物語と一体化した目」と題して、柴崎友香さんの作品を10冊紹介しています。 年明けに読んだ『続きと始まり』がとんでもなく素晴らしくて、柴崎友香の10冊なんて書いてみたいなあ、と軽くつぶやいたところ、ありがたいことにご依頼をいただきました。 選んだ10冊はスタンダードだと思います。 個人的な好みから言えば、あれもこれも入れたかったのですが、柴崎作品への入口となるべく、代表作、受賞作を中心に選んでいます。 自分なりの、かなり踏みこんだ読解もして
4/24(水)の毎日新聞夕刊文芸時評欄にて、3冊書評が掲載されております。 次の3冊をあげました。 ①町屋良平『生きる演技』(河出書房新社) ②前田隆弘『死なれちゃったあとで』(中央公論新社) ③平川克美『ひとが詩人になるとき』(ミツイパブリッシング) こんな小説を書いていたら、常人なら狂う。 かつて、大江健三郎『万延元年のフットボール』を読んだときにそう思ったのですが、それ以来でした。 この熱量で文章を、小説を書いていたら狂ってしまう、①を読みながら、強くそう思いました
3/27(水)の毎日新聞夕刊文芸時評欄にて、3冊書評が掲載されております。 次の3冊をあげました。 ①角田光代『方舟を燃やす』(新潮社) ②新居格著・荻原魚雷編『新居格随筆集 散歩者の言葉』(虹霓社) (3)マリ=フィリップ・ジョンシュレー/村松潔訳『あなたの迷宮のなかへ カフカへの失われた愛の手紙』(新潮社) ①を読んで、橋本治『草薙の剣』を読んだときのことを思い出しました。 時代も登場人物も物語の構造も異なりますが、年表に記されるような大文字の「歴史」の向こうには、
告知が遅くなりましたが、現在発売している『文學界』4月号に書評が掲載されています。 先月の毎日新聞文芸時評欄でも書いた、沼田真佑さんの『幻日/木山の話』(講談社)の書評です。 文芸時評欄の文字数では書き足りなかった、というのは事実ですし、そのように記しもしましたが、まさか『文學界』からご依頼をいただけるとは…! 『文學界』への掲載ははじめてです。 デビュー作であり、芥川賞受賞作でもある『影裏』で、初めての文庫解説を書かせていただいた沼田作品の書評ですので、本当に本当に
告知が遅くなりましたが、2/28(水)の毎日新聞夕刊文芸時評欄にて、3冊書評が掲載されました。 次の3冊をあげました。 ①大田ステファニー歓人『みどりいせき』(集英社) ②片山廣子/早川茉莉編『片山廣子随筆集 ともしい日の記念』(筑摩書房) ③正岡豊『白い箱』(現代短歌社) ①は初出の『すばる』で目にしたとき、読めるかなあ、と、はじめは正直思いました。 読んでみたら、とくに季節や風景の描写がとても静謐で、饒舌な口語との対比に驚きました。 そして、とても切実に「いま」を伝え