大塚真祐子

元書店員。 毎日新聞文芸書評欄、出版社「港の人」HPにて「まばたきする余白ー卓上の詩と…

大塚真祐子

元書店員。 毎日新聞文芸書評欄、出版社「港の人」HPにて「まばたきする余白ー卓上の詩とわたし」、朝日出版社WEBマガジン「あさひてらす」にて「何を読んでも何かを思い出す」を連載中。 執筆のご依頼はこちら→komayukobooks@gmail.com

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書評&文章の仕事

【連載など】 ・毎日新聞文芸時評欄「私のおすすめ」欄担当。 現在の最新記事。 ・港の人HPにて、エッセイ「まばたきする余白 ー卓上の詩とわたし」連載中。※2023年12月から毎月連載予定。 現在の最新記事。 ・朝日出版社WEBマガジン〈あさひてらす〉にて、エッセイ「何を読んでも何かを思い出す」連載中。※2023年12月から毎月連載予定。 現在の最新記事。 ・『本の雑誌』の「新刊めったくたガイド」にて、日本文学の紹介を2年半担当。2018年5月号~2020年12月号ま

    • 生きる演技、死なれちゃったあとで、ひとが詩人になるとき

      4/24(水)の毎日新聞夕刊文芸時評欄にて、3冊書評が掲載されております。 次の3冊をあげました。 ①町屋良平『生きる演技』(河出書房新社) ②前田隆弘『死なれちゃったあとで』(中央公論新社) ③平川克美『ひとが詩人になるとき』(ミツイパブリッシング) こんな小説を書いていたら、常人なら狂う。 かつて、大江健三郎『万延元年のフットボール』を読んだときにそう思ったのですが、それ以来でした。 この熱量で文章を、小説を書いていたら狂ってしまう、①を読みながら、強くそう思いました

      • 方舟を燃やす、散歩者の言葉、あなたの迷宮のなかへ

        3/27(水)の毎日新聞夕刊文芸時評欄にて、3冊書評が掲載されております。 次の3冊をあげました。 ①角田光代『方舟を燃やす』(新潮社) ②新居格著・荻原魚雷編『新居格随筆集 散歩者の言葉』(虹霓社) (3)マリ=フィリップ・ジョンシュレー/村松潔訳『あなたの迷宮のなかへ カフカへの失われた愛の手紙』(新潮社) ①を読んで、橋本治『草薙の剣』を読んだときのことを思い出しました。 時代も登場人物も物語の構造も異なりますが、年表に記されるような大文字の「歴史」の向こうには、

        • 『文學界』4月号に書評が掲載されています

          告知が遅くなりましたが、現在発売している『文學界』4月号に書評が掲載されています。 先月の毎日新聞文芸時評欄でも書いた、沼田真佑さんの『幻日/木山の話』(講談社)の書評です。 文芸時評欄の文字数では書き足りなかった、というのは事実ですし、そのように記しもしましたが、まさか『文學界』からご依頼をいただけるとは…! 『文學界』への掲載ははじめてです。 デビュー作であり、芥川賞受賞作でもある『影裏』で、初めての文庫解説を書かせていただいた沼田作品の書評ですので、本当に本当に

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        書評&文章の仕事

          『みどりいせき』、『ともしい日の記念』、『白い箱』

          告知が遅くなりましたが、2/28(水)の毎日新聞夕刊文芸時評欄にて、3冊書評が掲載されました。 次の3冊をあげました。 ①大田ステファニー歓人『みどりいせき』(集英社) ②片山廣子/早川茉莉編『片山廣子随筆集 ともしい日の記念』(筑摩書房) ③正岡豊『白い箱』(現代短歌社) ①は初出の『すばる』で目にしたとき、読めるかなあ、と、はじめは正直思いました。 読んでみたら、とくに季節や風景の描写がとても静謐で、饒舌な口語との対比に驚きました。 そして、とても切実に「いま」を伝え

          『みどりいせき』、『ともしい日の記念』、『白い箱』

          永瀬清子「彗星的な愛人」

          港の人連載「まばたきする余白 卓上の詩とわたし」の最新回が公開されています。 12回目にしてはじめて、「荒地」以外の詩人、永瀬清子の「彗星的な愛人」をとりあげております。 永瀬清子の詩には個人的な思い出がいろいろあって、以前に「何を読んでも何かを思い出す」にも書きました。 生活者であることと芸術を志すこととは、相反しないものだとわたしは思っています。 日常や暮らしときれいにむきあうかたちで、「苛烈な情愛」や「絶対的な孤独」も存在すると思っています。 僭越ながら、永瀬

          永瀬清子「彗星的な愛人」

          カーブする駅のホームと銀色の車

          朝日出版社WEBマガジン「あさひてらす」で連載中の、「何を読んでも何かを思い出す」、第19回目が更新されました。 タイトルは「カーブする駅のホームと銀色の車」です。 高校生のころを思い出したのは、間違いなく柴崎友香『続きと始まり』がきっかけでした。 ※3/22追記 柴崎友香さんがX(旧twitter)で、紹介してくださっていました。 https://twitter.com/ShibasakiTomoka/status/1770767074991751364?t=5Wvr

          カーブする駅のホームと銀色の車

          1/31(水)毎日新聞夕刊に書評が掲載されています

          1/31(水)の毎日新聞夕刊文芸時評欄にて、2ヶ月ぶりの3冊書評が掲載されております。 次の3冊をあげました。 ①柴崎友香『続きと始まり』(集英社) ②沼田真佑『幻日/木山の話』(講談社) ③城水めぐみ『甘藍の芽 城水めぐみ川柳句集』(港の人) ①柴崎友香さんという作家は不思議だな、といつも思います。 ベテランの域なのに、どの作品にも新人のような新鮮さがあり、 『きょうのできごと』から、印象はそれほど変わらないのに、変わらない印象のまま、どんどん厚みが増している気がします

          1/31(水)毎日新聞夕刊に書評が掲載されています

          ブレイディみかこさん『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』の書評を書きました

          「週刊読書人」1月19日号に、ブレイディみかこさん『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』(KADOKAWA)の書評を書きました。 ブレイディさんの「小説」です。 6つの作品が収録されています。 推測できると思いますが、タイトルは「私小説」と「労働小説」をかけ合わせた、ブレイディさんの造語になっています。 「お仕事小説」というどこか軽い表現に対するアンチテーゼの意味が含まれていることも、すでにブレイディさんがインタビューで明らかにされています。 「初の自伝的小説」との謳い文句で

          ブレイディみかこさん『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』の書評を書きました

          乗代雄介さん『旅する練習』帯コメント

          【告知】 乗代雄介さん『旅する練習』(講談社文庫)の帯に、コメントが使用されております。 単行本刊行時にも使用されたコメントの、改訂バージョンとなります。 「泣いた」ということを、書籍の宣伝に利用することはある種の思考停止であると、別の場で申しあげたことがあります。 何言ってんだよ、これ、もろ「泣いた」コメントじゃねーか!と思う方は、たぶんたくさんいらっしゃるのではないかと思います。 そもそも単行本刊行時に使われたコメントは、公的にお送りしたものではなく、編集ご担当の方に

          乗代雄介さん『旅する練習』帯コメント

          2023年末の仕事

          2023年末の書き仕事について、告知しそびれてしまったので、下記にまとめます。 【告知①】 朝日出版社WEBマガジン「あさひてらす」で連載中の、「何を読んでも何かを思い出す」、第18回目が更新されております。 タイトルは「水準器とベランダ」です。 第17回を書いた直後(4月中旬)から、書店員を辞めることを真剣に考えはじめました。 それまで、家のことと、書くことと、書店の店頭に立つことのすべてを、平均以上でやろうと思っていました。 極端なことを言うと、そうでないと書くことは

          2023年末の仕事

          井戸川射子さん『共に明るい』(講談社)の書評が、群像WEBにて公開されました

          井戸川射子さん『共に明るい』(講談社)の書評が、群像WEBにて公開されました。 https://gendai.media/articles/-/120049 群像WEBには、先日の長嶋有さん『トゥデイズ』に続けて、2回目の掲載となります。 芥川賞受賞作『この世の喜びよ』を初出時に読んで、あまりのすばらしさに、編集ご担当者さまに個人的な感想メールをお送りしました。 受賞が決まり、本当にうれしかった。 『この世の喜びよ』は毎日新聞文芸時評欄にて、1冊目で紹介しましたが、井

          井戸川射子さん『共に明るい』(講談社)の書評が、群像WEBにて公開されました

          長嶋有さん『トゥデイズ』の書評を書きました

          長嶋有さん『トゥデイズ』(講談社)の書評を書きました。 今年の春から開始した「群像WEB」への、はじめての掲載です。 長嶋作品については数えきれないほど書いているうえに、WEB書評の勝手がわからず一回書き直すなど、かなり苦心しましたが、 『トゥデイズ』本書とともに、書評も読んでいただけたらうれしいです。 また、ちょうど同時期に電子書籍化された長嶋有さん『愛のようだ』(中公文庫)の解説も書いています。お持ちでない、未読であるという方は、電子書籍でもぜひ。

          長嶋有さん『トゥデイズ』の書評を書きました

          『本の雑誌』12月号「出版と文房具」特集に寄稿しました

          発売中の『本の雑誌』12月号、 特集「出版と文房具」に寄稿しました。 タイトルは「書評とココフセン」です。 絲山秋子さん『夢も見ずに眠った。』の文庫解説を書くときに、単行本に貼った付箋の写真が、白黒ですが出てきます。 これまでのココフセン最多枚数です。 あわせてご覧くださいませ。

          『本の雑誌』12月号「出版と文房具」特集に寄稿しました

          『神保町 本の雑誌』に寄稿しました

          先月末の神保町ブックフェスティバルで先行販売され、発売前重版!もされたという、 別冊本の雑誌22『神保町 本の雑誌』に寄稿しています! タイトルは「大人による大人のための領分」、「思い出・神保町」の章の166ページです。 こちらに、祖母の本屋と、祖母がかよっていた神保町の問屋「松島書店」について書きました。 もちろん自分のページのみならず、 変わりゆく神保町の景色をたびたび特集し、 見守りつづけている『本の雑誌』ならではの、 新旧さまざまな記事をこれでもか!と織り交ぜ

          『神保町 本の雑誌』に寄稿しました

          ごあいさつ

          2023年10月に、勤務先の三省堂書店を退職しました。 会社員として働くこと、 書店員として働くことが、嫌になったわけではまったくなく、 むしろ極端にいえば、100歳まで働きたいと思っています。 ただ、いまの働き方ではそれはできないだろう、と思いました。 それには、さまざまな理由があります。 たとえば、身体が動くならわたしは、100歳まで書店員として働きたい。 そう宣言したら、大半の方が「それは無理だ」と答えると思います。 わたしも、無理だろうな、と思いました。

          ごあいさつ