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「好きな本を紹介するプレゼン」の講義資料#5

前回までの講義で学生のプレゼン資料が揃ったら,次は教員側が文献紹介会の準備をする番です。具体的には「評価表」の準備です。

この講義の目的の一つに「人の発表を聞いて具体的に評価することで自分なりの発表に対する価値観を磨く」ことがあります。これを達成するために使うのが評価表です。実物はこんな感じです。

第1回の評価表,1枚目。 実際はA3で2から2.5枚になる。

評価表には,◎,○,△,×の4段階評価をする項目と自由記入欄があります。評価項目はほどよく具体的で数を増やしすぎないことを考慮し,

  • スライドがよくわかる

  • 声がよく聞こえる

  • 紹介された本を読んでみたいと思う

の3項目としました。これなら発表を聞きながら,発表と発表の間のわずかな時間の間に迷わず記入ができます。自由記入欄に何を書くかは「感想とか,質問とかあったらなんでも書いてよい。できるだけ書いて欲しい。発表者に伝わる。」とだけ指示しました。右下のRankの欄には良かったものに順位をつけて,1,2,3位だけ記入するように指示します。この評価表は当日の発表順を知らせるプログラムを兼ねます。この評価表を準備しておくことと,1台のPCに全員分のスライドを入れておくことさえしておけば,大体時間内に発表を終わらせることができます。

この手間ひまかかっているように見える評価表ですが,一度形式を決めてしまえばあっという間に作ることができます。

ということでここからは,LaTeXを使ってこの評価表を作るときの細かいノウハウについて述べます。LaTeXを使われない方にとっては使えない情報なので読み飛ばしてください。

こちらが上の評価表を生成するソースコードです。

肝は,一人分の評価表を作る部分をマクロとして定義することです。

newcommand{\ratingsheet}[5]{%
\vspace*{0.5cm}
\noindent
\renewcommand{\arraystretch}{2.1}
\begin{tabular*}{15.9cm}{@{\extracolsep{\fill}}l|l|l}
\hline
\multicolumn{1}{l|}{No.#1:\textbf{#2}} &\multicolumn{2}{l}{題名:#3 }  \\
\hline
\hline
スライドがよく分かる&\hspace*{1cm}&{\footnotesize(一言 / 質問したいこと)}         \\
\cline{1-2}
声が良く聞こえる& \\
\cline{1-2}
紹介された本を読んでみたいと思う& &\multicolumn{1}{r}{\fbox{\parbox[0.8cm]{1.8cm}{Rank:  }}} \\
\hline
\end{tabular*}
\vspace{0.4cm} 
\hrule

%
}

tabular環境の小さい表になっています。引数は5つあり,番号,学生の名前,本のタイトル,作者名,出版社名となっています。作者名と出版社名は評価表には使わないのですが,あとで一覧を作る時に使いまわせるよう,引数を5つ取るマクロとして定義しています。引数で渡したものはそれぞれ#1,#2,…の場所に代入されます。大きさはA4タテにちょうど4人分収まるようにチューンしてあります。
使う時は

\ratingsheet{\red{1}}{学生の名前}{イナズマイレブン}{レベルファイブ/やぶのてんや}{小学館}
\ratingsheet{\red{2}}{学生の名前}{僕らのご飯は明日で待ってる}{瀬尾まいこ}{幻冬舎文庫}
\ratingsheet{3}{学生の名前}{灼熱カバディ}{武蔵野創}{小学館}

のように書いていきます。マクロさえあれば,この1行で一人分の評価表を作れるので,毎年の作業量は多くありません。番号はカウンタを使って自動生成しても良いのですが,ボーナス点の人に色をつけたりしたかったので手動で入れています。

  • 発表会を実施する教室の確保

  • 発表原稿を入れるPCの確保

  • 評価表の作成と印刷

ができたら教員側の準備も終了です。次回は発表会の実施とその後,この活動をどのように評価にしたかについて書こうと思います。

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