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オーガニック野菜との出会い、あの日感じた忘れぬ想い

いつもボーッとしている天然キャラの私ですが、今日は少しだけ真面目に考えたことをシェアします。

ちょっとだけお付き合いくださいね
(※たぶん3分くらいで読めますよ^^)

きっかけはメニュー作成の悩みだった

今から5年前。

17歳から続けていた料理人を引退して農業の世界に飛び込みました。

未経験でのチャレンジです。

今にして思えば、かなり無茶なことしたなぁと自分でも驚いています。

44歳という年齢で、それまでの安定していたキャリアを捨てて、全く知らない世界へ転職したわけですから。

なぜ、そんな思い切ったことができたのか?

その理由をお話しさせてくださいね。

それはある時「自然栽培」の野菜を食べたのがきっかけになります。

当時、飲食店で料理長というポジションについていた私。

その業務の中で、いつも悩んでいたのが「旬のおすすめメニュー」を考えることでした。

旬の食材を本で調べ、いろいろな調理法を試したりしていましたが、納得できるメニューが作れない。

悩み疲れていたある休日のこと。
気晴らしにドライブしようと思い立って、あてもなく車を走らせる。

都会の街並みを背中にして、山を越え、海を通り過ぎ、湖が見えるところにたどり着いた。

車を停めて湖畔をボーッと眺めていたら、いつの間にか目を閉じて眠ってしまった。

ハッと気がついて目が覚めたのは、夢の中で「ガッシャーン!!」というお皿が割れた音が響き渡った時だった。

厨房で働くシーンが夢にまで登場するとは(涙)

そんな悪夢(?)のおかげで、新メニューのことを思い出す。しかし同時にお腹のムシも鳴り始める。

「まずは腹ごしらえだな」

そう思い現在地を確認。
しかしカーナビに映し出されたのは、緑と茶色に染まったシンプルな画像。
地図にはお店もコンビニも載っていなかった。

寝起きで少しダルいけど、食欲に逆らうわけにはいかない。という使命感らしきものに従い、再びクルマを走らせた。

30分は走っただろうか。
グーグー鳴るお腹の音を聞きながら、やっと見つけた『道の駅まで2km』という青看板。

道の駅 ニセコビュープラザ

ニセコといえば、今や『雪』を求めて世界中から集まる日本屈指の別荘地帯。

ただ、食いしん坊の私にとっては「じゃがいもの産地」というイメージのほうが思い浮かびます。

そんな地域の道の駅に何があるのだろう。

平日にもかかわらず、駐車場はそこそこ混み合っていたので意外でした。

なぜだろう?

クルマを降りて建物の方へ歩いていくと、その理由がわかったのです。そこにあったのは、

『採れたて野菜の直売所』

人だかりの理由はコレだった。
ものすごく広い面積を使った野菜売り場。全国発送いたしますのフラッグ。

そこには、地元農家さんがその日に収穫した新鮮な野菜たちが、イキイキと並んでいた。

その元気いっぱいの野菜たちを眺めている時、
私の頭にスーッとアイデアが湧いてきたのです。

「野菜を主役にしてみたい」

今まで、メニューを作る時には肉か魚介をメインにするのが当たり前だと決めつけていた。

野菜はそれらを引き立たせる「脇役」として考えていたのです。

しかし、この野菜たちの主張するエネルギーのようなものを感じて、私の考えは一変しました。

「主役になってくれ」

そんなふうに心の中で野菜と会話しながら、買い物カゴに野菜を詰め込んでいきました。

そして家に帰ってから、その野菜たちを食べてみて、その思いがさらに加速してしまいました。

「この主役になれる野菜たちを、自分で育てたい!」

そのエネルギー溢れる野菜たちを、それぞれ生で味見していく。

ピーマン、きゅうり、トマト、レタス、スィートコーン……..
夏野菜の王道たち。

見た目は決して良いとは言えない彼等ですが、今まで食べていた野菜たちとは全く違った雰囲気で、色も形も個性的。
言うてしまえば不揃いな果菜たち。

でも、そのどれもが今まで食べてきた野菜の味とは別物だった。

「味が濃い」
「後味がすっきりしている」
「いい香りがする」

それぞれが、しっかりと自己主張している。にもかかわらず、嫌味がない。

私はこの不思議な野菜の味わいに、すっかりハマってしまいました。

そして、決断。

その日から、就職活動を始めることにしたのです。

勤務先が決まるのに約1年くらいかかりましたが、現在働いているオーガニック農家さんに5年前からお世話になることができました。

これが農業へ転身した私の経緯になります。

野菜と向き合う楽しさと、移り変わる自然の豊かさを感じながらの農作業。

野菜作りというよりは、野菜に育てられているという感覚だと思う、今日このごろです。



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料理への想い。食材への感謝の気持ち。 楽しく緩く、真剣に食べ物と向き合いたい。 そんな思いで執筆しています。 「いただきます」から明るい未来を創造する。その活動を模索して行きます。