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食いしん坊の私が転職した理由

私は食べることが大好きです。食いしん坊が功をなしてか17歳から料理人になりました。そして料理を仕事にしていくなかで、自然栽培という農法があることを知ります。その農家さんが育てた野菜を食べて、あまりのおいしさに衝撃を受けます。そしてその農業へ興味を持ち転職しました。

あれから7年が経ち、あらためて感じるオーガニック野菜の3つの良さを記録してみようと思います。

1つ目:雑味のない自然な味わい

初めて食べた自然栽培の野菜は本当に美味しかったのですが、自分で育てたオーガニックの野菜を食べて、確信しました。

なぜ美味しいのか説明するには、まだ知識不足ではっきり断言はできませんが、育った環境が大きな原因であることは間違いないと言えます。

普通の野菜(慣行農業など)の比べてすっきりとした味わいを感じる。クセのなさがとても際立っている印象があります。

なので最初のインパクトは少なめですが、しっかりと野菜本来の味がする。素材の主張がしっかりしているので、スッキリしているのに奥深い味を楽しめるのがポイントだと思います。

その味わいのせいか、食べた後も心地よさが残る。抽象的にいえば、身体に自然と吸収されていく感じです。

そして保存期間にも大きな違いがあるという事にも気づきました。たまにスーパーなどで野菜を買って食べていますが、自然栽培の野菜に比べると野菜を購入してから悪くなる(腐敗)するまでのスピードにもかなりの差がある。

これはおそらく肥料が関係していると推測できます。化成肥料などを使用して育った野菜には、早く大きく育つといった特徴がある。

それは野菜が栄養素を豊富に吸収するから起きる現象ですが、その代償として生命力が弱い印象があります。

これは感覚的なものですが、動物に例えるとわかりやすいかもしれません。運動しないで栄養分だけ摂っている動物と、自らの力で生きるのに必要な栄養をとりにいく動物とでは、体力に差が出ますよね。

無肥料で育てている野菜を見ていると、自分の力で生きていこうという雰囲気が伝わってくる。その生命力が腐敗のスピードに大きな差が出る理由ではないか。そんなふうに思えるんです。

私たちが”生野菜”と呼んでいるものは、書いて字のごとく「生きている」野菜ということ。冷蔵庫にいる野菜も、成長を止めただけでちゃんと呼吸していますから。


2つ目:畑の環境が心地よい

先ほど「野菜の味に違いがある」でも触れましたが、野菜にとって育つ環境はとても重要だと感じています。

育つ土壌環境によって、野菜の生育に差があることはよく言われていますが、自然栽培の土はとてもいい匂いで清々しい。

とても心地が良い落ち着く匂いです。この環境があってこそ、野菜も健康に育つ。だからそれが美味しさに繋がっていると思います。

野菜が元気に健康で育つ環境は、わたし(ヒト)にとっても良い影響を与えてくれる。この自然環境との調和がとても好きです。


3つ目:化成肥料や農薬の心配がない

最近は化成肥料や残留農薬に関してあまり騒がれなくなってきましたが、油断は禁物です。

一昔前に比べると、しっかり対策されるようになりましたが、まだまだ心配は残ります。

健康に害がない基準値をもとにして「安全」を定義してあるけれど、農薬を使用している以上は本当に安全なのかわからない。

そして、これらの農薬を使用した野菜が自然環境にも大きな影響を与えていると感じています。

そういう意味でも、自然栽培で化成肥料も農薬も使用していない畑や土壌は安心感がある。

畑の土壌には本当に多くの生き物が住んでいます。目にみえる雑草や虫たちは勿論ですが、人間の目には見えない”微生物”の存在はとても重要。

これは私が感じているだけでなく、最近は多くの生物学者さんなどが言っています。

更にいうと、日本も2050年までに達成すべき目標として法律まで作りました。それが「緑の食料システム法」です。

この法律は、環境と調和のとれた食料システムの確立に関する基本理念等を定めるとともに、農林漁業に由来する環境への負荷の低減を図るために行う事業活動等に関する計画の認定制度を設けることにより、農林漁業及び食品産業の持続的な発展、環境への負荷の少ない健全な経済の発展等を図るものです。

農林水産省ホームページより

最近は世界でも気候変動に対する意識が高まっている。その流れもあるとは思いますが、対策の方向性は良いのではないかと考えています。

自分が畑で作業している時に感じる心地よさ。これは、自然界に生きている生き物たちのバランスによってできているんじゃないかなって実感しています。

この体験を多くの人が実感できれば、いいのになぁと思います。





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料理への想い。食材への感謝の気持ち。 楽しく緩く、真剣に食べ物と向き合いたい。 そんな思いで執筆しています。 「いただきます」から明るい未来を創造する。その活動を模索して行きます。