『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』偏差値低め俺的感想(ネタバレ注意


涙で3Dメガネがヤベェよ!!!!!

ギリギリに席取ったせいでかなり前の座席になってしまい無事に首が死亡。そんなことも忘れて号泣してしまい、隣のカップルにドン引きされている感覚。
放心状態でエンドロールを見つめ、いろんなことを考える時間。

「すごい映画だったなぁ….」

熱量と真面目さ。俺はこういうのに弱い。前作以上にライアン・クーグラーの『クリード』を感じた。
生真面目な男だよあんたはヨォ…。

喪失という悲しみをうやむやにせず、地に足ついた経験と感情で打開していく。乗り越えていく。そしてヒーローになる。
少なくともフェーズ4で一番ヒーロー映画やってたと思うよ俺は。映画的にはヒーロー映画じゃないけど。なんかここら辺は感情論で自分でもよくわかってない。

※ここからネタバレありで語らせてくれ!!!!!


シュリの”親戚の子”感

もう俺はシュリのこと親戚の子だと思って見てたからね。はにかみながら中指立てるおてんば娘よ。憎たらしいほど良い笑顔するからね。
そんな子の悲しい顔連発で始まる冒頭。キツいよ。
みんな踊りとかそういうので送り出してるのに1人だけ顔隠して兄に謝って。
まだ死を受け入れてないのが見てとれる。悲しすぎる。
シュリはあの伝統を重んじる国家でテクノロジーとかそういうのしか信じて無さそうなキャラ。宗教観も感じられない。だからこそ「死」というものを自分の力で乗り越えないといけないんだけど、それがシュリの攻撃的な一面に転じてしまうのが悲しかった。
その攻撃的な一面に乗っかってくるのが今回のヴィラン、ネイモア。(意外と洗脳とか得意そうだよな)
ラモンダまで亡くしてしまった時はもう闇落ちを覚悟したよ俺は。ドクストMOMのワンダの描き方(許してない)もあるしなんかそういう感じなのフェーズ4!?と思った。とはいえ『クリード』が好きな俺はライアン・クーグラーの真面目さ信じました。

ここで出て来んのかよ!?

復讐心に囚われたシュリが合成ハーブを飲んで出てきたのがまさかのキルモンガー/エリック。いやお前かい!!と思いました。闇堕ちしそうなシュリにラモンダが助言するんでしょそうでしょ!?と身構えてたら、いやお前かい!!
でも俺は前から「次のブラックパンサーはキルモンガーが良いなぁ」派を見ては何も分かってねぇよ…と思っていた派閥なので、この登場は熱いし腑に落ちます。
エリックとシュリの思想は少し似ています。正確に言えば似てないのだけれど、ハーブを飲む理由としては近しいものがあります。だからここでエリックなのです。
エリックは前作『ブラックパンサー』のラストでおとぎ話を口にします。それはそれは悲しい、綺麗な結末でした。だからこそこの立ち位置として登場し、ある意味でシュリのことを鼓舞したエリック/キルモンガーが最高だった。

エムバクの親戚のおっちゃん感

少し話戻るけど、エムバクとシュリのシーンもよかったよね。エムバクの親戚のおっちゃん感よ。あんまり干渉はしないけど少し助言する感じ。それでも復讐をやめないシュリに対してのあの表情…。悲しい…。
戦闘シーンも前作から変わらずの武骨感で最高。

この映画で一番良かった戦闘シーン

どう考えてもオコエVSアットゥマ戦じゃない??序盤だけど!
マジで最高すぎた、槍が震えながら後退するところとか。急に海からいっぱい出てきて「これオコエだけでいけんのか?無理じゃね??」と思ったけど1人で何としようとするのがオコエなんだよな。
本当にかっこいい人だよ。
結局ラモンダに怒られて一般人になっちゃうけど、忠信のためなら夫に刃を向けられるオコエだもんな。シュリのためなら命からがらになっちゃうだろうしあの判断は結果的に良かったと思う。あの時の悲しみと責任感を感じた表情、なんとも言えん….。
とはいえ無事で良かったよオコエは。今後も活躍してくれ。

気高さ

シュリとネイモアの結末。最後に首を切ろうとした所で”今まで”が巻き戻り、思い出すのはワカンダとタロカンの民のこと。そこで出てくるラモンダの「あなたが何者か示しなさい」

ここまで「うわ〜それやっちゃったら戦争じゃない??」「戦争だ〜つら〜」「報復からの報復だ〜涙」と負の連鎖が続き、戦争の虚無、復讐の虚無を描いた上でシュリは最後にそれを踏みとどまる。
この瞬間、本当の意味でブラックパンサーになったんだよな。ヒーローになったんだよな。そんな彼女を見てネイモアはかつての記憶を思い出す。

気高さとは、自分の行動で負の連鎖を断ち切り、相手の感情、選択肢を変えることだと思った。

あの時陛下がジモを殺さなかったこと。エリック/キルモンガーとの死闘の最後で、酷く辛そうな顔をしていたこと。
陛下の気高さをシュリは継承した瞬間だった。

死を受け入れるということ

冒頭から終盤まで兄の死が受け入れられなかったシュリは、最後葬式の時に着ていた服を燃やす。そして兄のことを思い出し、泣き、笑う。
それでいいんだよな、と思った。

ここの至るまで2時間以上、喪失から生まれる「どうしたらいい」が右往左往しながら虚無とも言える戦争や復讐劇が発生させてしまう。映画としてのエンタメ性やフィクションとしての完成度で言ったら歪だと思う。
それでもキャラクターたちが、感情を燃やし、時には酷くぶつかり合い、間違いを犯し、そうやって自分の中の正解を探していく。

人間らしくて良いよな。

みんな多分正解を探しながら生活しているはず。その中で間違いとかもしちゃうし、それでももがきながら自分の足で歩く。
全然共感できない登場人物だらけなのに、何故かそういう部分に感銘を受けてしまい、泣いた。
MCUでこんなことあるんだ。こんな感情味わえるんだと思った。

ワカンダ・フォーエバー

もっと書きたいこといっぱいあるけどまとまらないので終わり。本当に素晴らしい映画だった。
この映画の凄いところは、最終的にチャドウィック・ボーズマン/ティ・チャラは偉大だったと思わせてくれる所。
熱量と敬意。

製作陣俳優人全てに感謝。

MCU色々あるけどまだついていけそうです。







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