アジア紀行~ミャンマー・バガン⑪~
コブラの寺
川の水があふれた道路をなんとか e-bike で乗り切る。
この川はすぐ北側にある大河、エーヤワディー川に流れ込んでいるのだが、昨夜の雨で水量が増していたのだろう。
ぼくにとってはちょっとした事件だが、ここで暮らす人たちにとっては、さほどのものではないのかもしれない。
何もなかったように熱く乾いた道路をバイクは走る。右手の標識が目に入る。ここにも寺院があるようだ。
■Tha Kya Pone Temple
小さな仏塔の前で男たちが集まって何やら騒いでいる。
コブラだ!
野生のコブラを初めて見た。鎌首をもたげて近づいてくる。男が棒でつつくと、襟の部分を広げて威嚇して、あの「コブラ顔」になる。
別の男がどこからか竹の籠を持ってきて、コブラにかぶせて生け捕りにした。この後、コブラをどうするのだろうか。この一匹だけなのか。
コブラを横目に、裸足になって仏塔の中に入ったが、さすがに足元が不安だった。
暗い堂内には、白いお顔の目尻がつり上がった仏様が座っておられた。
狭い階段を二層目までのぼる。テラスに出ると、昨日のシュエサンドー・パゴダほどではないが、眺望がひらける。
暗い階段を降りて仏塔の外に出ると、日の光がまぶしい。
馬車の手前の女性が振り返る視線の先に、先ほどの竹籠がある。コブラはまだこの中にいるのだろうか?
仏様のお腹からこんにちは
■Tha kya Taung Temple
先ほどの寺院のすぐ近くに、よく似た雰囲気の寺院がある。Google map で見ると「Tha kya Taung Temple」とある。
パゴダ(Pagoda、Paya)と寺院(Temple)との違いは、パゴダ(仏塔)は人が住まないのに対して、寺院は基本的に僧が住み、修行する場所であるという点にある。
この遺跡は「Temple」と書かれているので、かつては僧が常住していたのだろうか。
内部は修復中だったが、珍しい仏様がいらっしゃった。
びっくり!
お腹の部分にもう一人仏様の顔がある!
京都府の宇治市に萬福寺という黄檗宗の寺院があるが、ここに所蔵されている羅漢像「羅怙羅尊者像」を思い出した。
ヤモリとリスの寺
■Shwe Leik too Temple
もとの道に戻ってオールド・バガン方面にバイクを走らせようとするが、すぐ左手にまた寺院がある。なかなか前に進まない。
今回の寺院は周囲が塀で囲まれているが、寺院の様式は、さっき訪れた寺院とよく似ている。
堂内の中央には、四方に向いて仏像が安置されている。建物の壁画は古いものだと思われるが、仏像は修復されたものか、新しく造られたものか。
別の仏様。きれいなお顔に「ヤモリ」がはりついている。
何か動くものがいる。リスだ!
仏像の頭の上や膝の上をチョロチョロしている。
砂絵売りのおじさんがお堂の中に入ってきて、手のひらに米粒をのせて差し出すと、リスがそれを食べにくる。よく馴れているようだ。
参拝者や観光客が大勢やって来る大きな寺院や仏塔がある一方で、訪れる人も少ないこのような寺院もある。
いろんな動物と共存しているこんな小さな寺院が、ある意味ミャンマーらしい気がした。
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