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アジア紀行~ミャンマー・インレー湖⑥~
本日の予定はサイクリング
インレー湖北東の町ニャウンシュエに3日目の朝がやって来た。予定ではここで3泊することになっているが、1日目は夕方に到着し、明日4日目は朝の出発だから、フルで使えるのは昨日と今日の2日間だけだ。
昨日は湖の旅を堪能したので、今日は湖周辺を散策しようと思う。徒歩では行動範囲が限られるので、自転車を借りて出かけよう。
しかし、まずは腹ごしらえが肝心だ。朝7時半にレストランに行く。この日はオープンテラスでの朝食となる。メニューも選択ではなく、ビュッフェ形式。種類はそう多くはないが、満足できる内容だ。
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明日は飛行機でヤンゴンに向かうのだが、空港はニャウンシュエの町から1時間くらい離れたところにある。移動手段はタクシーしかなさそうなので、朝食の後、ホテルのフロントで料金をたずねると、30ドルという返事。
ちょっと高すぎないか?
そういえば、インレー湖のボートツアーも、ホテルで料金を尋ねると30ドルと言われたが、ボート乗り場で直接申し込むと、18,000チャットだった。約半額だ。今回も他を当たってみることにする。
ニャウンシュエの町中には、ツーリストの看板を出している小さな店がたくさんある。ホテルにいちばん近いところにある、古本屋とレンタサイクルを兼ねるツーリストで聞いてみると、空港まで18,000チャットだという。これはボートツアーの時と同じ割合だから、たぶんこんなものだろう。
即決。
明日の朝8時15分にホテルまで迎えに来てくれることになった。移動の足も確保できたし、これで安心。さて今日はどんな出会いが待ち受けているのだろうか。
詳しい地図がない!
空港までのタクシーを予約した小さなツーリストで、自転車を借りる。一日1,500チャットだから、かなり安い。しかし安定感が悪くて重い! とりあえず、これが今日一日の相棒だ。
店の人に頼んで地図をもらう。一枚はこの近辺の地図で、これはかなり詳しい。しかしこれから行こうと思っているインレー湖北部の地図は、かなりアバウトだ。まあ、これしかないなら仕方がない。
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ホテルから西に向かって重い自転車を漕ぎ進む。間もなく運河と橋のあるところまでやって来た。昨日ボートツアーに出かけた船着き場の近くだ。
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橋の上から運河を見下ろす。奥の方に船着き場が見える。この運河のずっと先がインレー湖につながる。
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郊外の風景
橋を渡ると、もうニャウンシュエの町の外に出る。振り返ると、黄金の仏塔が見える。
郊外に向かう道の両側は街路樹が続き、その外側には水路がある。さらにその外側は一面の田園風景だ。ところどころに家屋がかたまって建っているが、ほとんどが高床式の住居だ。
最初の目的地は、インレー湖の北岸を東から西にぐるっと回ったところにあるInle Spa。温泉である。入れるものかどうかは分からないが、1時間くらいの距離だというので、ちょうどよさそうだ。
道路はアスファルトで舗装されているが、両端は土の部分が残っている。その境目にタイヤが入るとハンドルをとられて危ない。
自動車やバイクがけっこう通り、警笛がしょっちゅう聞こえる。自転車は遠慮して、いや危険を避けて端を通らざるをえない。
途中に写真を撮りたくなるのどかな風景が続き、何度も自転車を道の脇にとめることになる。
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水路の面に青い空や白い雲が映る。釣りをしている人の姿もある。時折、船体の長いボートがゆく。インレー湖に出る船かもしれない。
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子供たちが水遊びをしている。濁った川の水も彼らには関係なし。飛び込んでは、岸に戻ってまた飛び込む。何度も同じことを繰り返す。
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道が突然急な上り坂になり、ついに自転車を押すはめになる。やっと上りきったところがT字路になっていて、そこに道標が立っていた。
左方向「TO HOT SPRING」。
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ふむふむ。もらった地図通りやって来たらしい。ここから先は点線の矢印になっている。この先にどんな温泉があるのだろうか。
ますます起伏の激しくなる道を、汗をかきながら自転車を前に進める。このあたりになると、車の往来が少ないことがありがたい。
途中で、とても長い木の枝の束を道路脇に置いて休憩している2人の女性を見かける。
「これ、頭に乗せて歩くの?」
「そうよ」
そんな会話を、言葉抜きの身振り手振りで交わす。
「写真を撮らせて」と、これも言葉抜きの身振り手振りで伝えると、笑顔が返ってきた。
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どこを支点にして頭に載せるのかがポイント。経験からその場所がわかるのだろう。
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重そう~! でも、すごいバランス感覚! 思わず拍手を送る。
もう一人の女性は一人で頭の上に載せて、そのまま立ち上がる。
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こちらもすばらしい。どれぐらいの重さなんだろうか。自分もやらせてもらおうかと思ったが、やっぱりやめた・・・。迷惑だろうし、多分ムリ。
さらに20分ほど走ると、右手に階段があった。山の上の寺院に通じているようだ。「View point mountain Pagoda」という表示がある。
正式なお寺の名前だとは思えないが、山上からの眺めはよさそうだ。
くたびれた足を山上まで持ち上げるのには抵抗があるが、そのまま通り過ぎるのもどうだろうと思ってしまう。結局好奇心のほうに軍配が上がる。
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階段の途中で、見たことのない黒と黄色のきれいな色の虫を見つけた。カミキリムシのようだ。触覚の途中に黒いヒゲがあるのがおもしろい。
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これは東南アジアに生息するフサヒゲカミキリ属の「キンモンフサヒゲカミキリ」という名前で、触覚に房状の毛の束を持つことが特徴。
上りに要した時間は約10分。思ったほど長くはなかった。
山上から、昨日ボートツアーを楽しんだインレー湖が見下ろせる。思わず笑顔、うれしくなる。汗をかいた顔にあたる風が気持ちいい。
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温泉に到着したけれど・・・
再び階段を下りて自転車に乗る。走り出してすぐに、左手にきれいな建物があらわれる。
「Khaung Daing Natural Hot Spring Inle」
温泉に到着だ!
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フロントに行って、中を見せてもらえるかと尋ねると、快く案内してくれた。右手の入口は「SUPERIOR」で、男女いっしょに使用できる。もちろん水着着用だ。料金は10ドル。
左手の入口は「NORMAL」。一般用で男女別になっている。
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利用している人は少ない。スタッフも暇そうにしている。
お湯の温度はわからないが、熱くはなさそうだ。まるで温水プールのような雰囲気だ。期待していただけに、ちょっとがっかり。
結局、見学と休憩のみで終わってしまった。
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今朝ホテルを出たときは、とりあえずこの温泉を目指したので、さて、これからどうしようか。壁に掛けてあった地図を見ながら、次に向かう場所を考えるが、これ以上先に進むと帰りがたいへんだ。まだ昼前だが、もと来た道を引き返して、どこかで休憩することにしよう。
外に出ると、陽射しがきつい。すぐそばにお寺の入口と思われる門がある。たぶんさっき登って来たパゴダに続く別の階段だ。こちらが正面だろう。
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再び起伏の激しい道を行く。急がずゆっくりと景色を楽しみながら進む。「腕白坊主」という感じの男の子たちが、何か拾って遊んでいる。カメラを向けると、最初は顔がこわばっていたが、カバンに入っていたキャンディーをあげると、一気に顔がほころぶ。
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子どもたちと別れてさらに進むと、右手に小学校が見える。男の子がひとり、トウモロコシをかじりながら校庭で自転車に乗っている。
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暗い教室の中からは、女の先生の声に唱和する子供たちの声が聞こえてくる。勉強の邪魔になるといけないので、あまりそばには近寄れない。子供たちの声はとても元気がある。いいなあ。
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小学校を後にし、もと来た道をたどる。下りよりも上り坂が多いように思ってしまうが、気のせいだろうか。太陽が真上にあり、かなりくたびれてきた。
右手に簡素な二階建てのレストランが見える。
休憩~。冷たいライムジュースがおいしい。
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時刻はちょうど12時。しばらくここでのんびりする。
続きは次回にします。次もご覧くださいね。
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