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アジア紀行~ベトナム・ハノイ②~

ハノイ観光地図

前夜ハノイに到着して、この日は2日目。出かけた場所といえば、まだハノイ駅だけだ。

ハノイの町はまったく未知のまま。雨が止めば、もう少し動きやすくなるんだけれど・・・。

旧市街がおもしろそうだし、ホアンキエム湖周辺も見どころが多そうだ。

ハノイ駅からホテルに戻って来たあとも、雨は降り続いたが、夕暮れ時になってやっと上がる。ホテルを出て、ホアンキエム湖のほうに歩いてみる。食堂や歩道の屋台にも、少しずつ人が集まり始める。

ホアンキエム湖の夜

しばらく歩くと、ホアンキエム湖の北側にやって来た。この湖は、中国雲南省を源とするホン川の氾濫によって形成されたという。
伝説によると、15世紀に、この湖で授かった魔法の剣によって明軍を打ち破ったベトナムの皇帝ロイが、その後、湖の亀にその剣を返したという。
ホアンキエムとは、「還剣」という意味だそうだ。
湖の北寄りに小さな島があり、岸からフク橋という名前の橋が渡されている。夜にはライトアップされて湖面に映り、美しい。

橋を渡ると、島には「玉山祠」というお寺がある。すぐそばまで行ってみたが、当然だが、夜は閉門していた。もう一度昼間に出直しだ。

再び橋を渡って、ホアンキエム湖の北側に戻る。先ほどの小島とはうって変わって、車とバイクの喧噪だ。雨上がりを待っていたように、人々も大勢集まって来る。バイン・ミーとコーラを買って夕食にする。

3日目の朝、またも雨

昨日とほとんどいっしょの朝食をとる。けっこう美味しい。

今日もまた雨。それほど強くは降らないが、雲が切れることがない。
10時半に、ホテルの派手な傘を借りて出る。ホアンキエム湖の北側に広がる旧市街を目指す。旧市街は古くからの商業地域で、現在は「ハノイ36通り」と呼ばれている。ここにはさまざまな業種の店があり、それぞれの業種ごとに組合が作られている。この組合が全部で36あることから「ハノイ36通り」と名付けられた。迷いそうになりながらも、いろんな店をのぞきながら通りを歩くのは楽しい。

ホアンキエム湖の近くに「はんこ屋さん」があった。道端で木製のはんこを作って売っている。図柄と名前を示せば、その通りに彫ってくれる。おみやげに一つ作ってもらう。

同級生との再会!

旧市街の「ハノイ36通り」を1時間余りぶらついた。まだまだ見残したところのほうが多いが、実は12時にホアンキエム湖の北側にある「タンロン水上人形劇場」の前で、2人の若い女性と待ち合わせをしていた。2人は今年大学を卒業したばかりで、なんとこのハノイで日本語教師をしているのだ。

外国人に日本語を教えるためには、420時間の専門の授業を受けなければならない。私はこの年の春まで、大阪YWCA専門学校の「日本語教師養成講座」を2年間受講し、無事修了したばかりだったが、彼女たちも同じクラスで学んでいた。私は定年退職後の再任用で、週3日の勤務。その余裕を久しぶりの学びの時間に回した。一方彼女たちは、大学に通いながらの二重授業。ほんとうによく頑張った。
大学を卒業し、専門学校の講座を修了したあと、彼女たちにベトナムで日本語を教える話があった。決断して、今、2人はハノイにいる。

4ヶ月ぶりに会った2人は、相変わらず元気そうだった。
雨がまたはげしく降り出したので、雨宿りを兼ねて昼ご飯をいっしょに食べることにする。日本語学校の話や、現在のベトナムでの生活の苦労談を聞く。思い通りにいかないことが多くてたいへんそうだが、それ以上に楽しそうだった。若いっていいなあ。

雨が少し弱まったのを見て、店を出る。ホアンキエム湖の西岸を散歩する。バイクや車の喧噪が遠のき、とても静かでのどかだ。いつの間にか雨も止んでいる。

ハノイ大教会

湖の南端近くにハノイ大教会がある。正式名は「聖ヨセフ大聖堂」というローマカトリックの教会で、1886年に建設が始まったというハノイで最も古い教会である。

教会の正面の時計を見ると、2時30分だった。入口の扉が閉まっていて中に入れない。4時からミサがあり、その前に扉が開かれるという。ぜひ中の様子を見たいので、それまで近くを散策する。

ベトナム雑貨の店やカフェで時間を過ごした後、再びハノイ大教会に行く。
扉が開かれ、正面の祭壇やステンドグラスが輝いている。白い壁や天井がまぶしい。

ホアンキエム湖のほとりを歩いて、北側まで戻る。

夕方、また雨が激しくなる。ほんとに一日中雨である。
「Highlands Coffee」で夕食。そのあと、3人でナイトマーケットを歩くが、雨のせいか人出が少なく、店もさびしい。

時間は過ぎていく。もう別れの時間だ。旅が終われば自分は帰国するが、彼女たちはまだ当分は、このベトナムの地に残る。異国の地で日本語を教えるという冒険は始まったばかりだ。2人が乗ったタクシーが雨の中を遠ざかっていくのを見送りながら、幸運を祈る。

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