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「この世界の、未完成は美しい。」とは ~乃木坂46新メンバーオーディションに対する考察~

少し出遅れてしまいました。

ついにきましたね、乃木坂46の新メンバーオーディションが。どんなメンバーが加入するのか僕は今からワクワクしています。

卒業ラッシュが続くなか、高山一実さんの卒業が先日発表されました。これにより、28thシングルの活動末期には乃木坂46の総人数は36人となります。乃木坂46の最大人数が46人だとすれば、それに対して10人分の枠が生じることになります。

しかし、これまでの新期生加入状況から考えるとオーディションの合格上限数が10人というのは少し考えにくいです。12〜13人が妥当であるとするならば、そのためにはさらに空き枠が必要です。であれば高山一実さん以降にも同時期に卒業するメンバーや少し遅れて卒業を発表するメンバーが現れるかもしれませんね。

さて、以前の記事で5期生加入に対していくつかの予想をしており、当たったものもあれば外れたもの、まだ結論が出ていないものがあります。ちなみに当たった予想のなかに「乃木坂46単体のオーディションが開催される」というものがあります。

どのような経緯でこの方針が決定したのかは分かりませんが、偶然ではなく明確な理由がありそうです。また、今回のオーディションはこれまでとは違い、選考方法に新たな試みが導入されており注目せざるを得ません。

今回は、乃木坂46単体のオーディションが開催されること、そして選定方法に新たな試みが導入されている理由について考察していきます。


なぜこのタイミングで乃木坂46単体のオーディションが開催されるのか

4期生のオーディションにおいては、いわゆる「坂道合同オーディション」が開催され、合格後にどの坂道グループに配属されるか決定していました。

しかし、今回は乃木坂46単体のオーディションが開催されます。

合同ではなく単体でオーディションが開催される理由については以前の記事で考察しました。ただし、考察はつまるところ予想・推測でしかありません。それが正しいかどうかは公式運営に訊いてみるしかありませんが、答えてくれるはずはないでしょう。となると公式運営から開示されている情報から答えを見出す他ありませんが、今のところ正誤判断を可能とする情報は開示されていないため、判断しようがないのが現状です。

僕の以前の予想を否定できる情報がないため、今回はそれに付け加える形で、乃木坂46単体のオーディションが開催される理由を改めて考察してみます。

9th Birthday LIVEを終え、乃木坂46は結成から10年目に突入しました。「10年目」という言葉にはどうにも「一つの節目」という感が強くあります。恐らく乃木坂46の運営陣が最もその感を強く抱いていることでしょう。

結成から10年目という節目で、それまでにメンバーの入れ替わりを何度も経験し、そして卒業ラッシュの只中にいるなか、乃木坂46の運営陣が最も知りたいのは「大半が3・4期生になっている今の乃木坂46にどれだけの求心力があるのか」ということでないでしょうか。ここで言う「求心力」とは、乃木坂46の活動に対して世間の話題や注目を生み出す影響力を指しています。

であれば「坂道合同オーディション」のように他グループへの応募も可能な形式にしてしまうと、その応募数は乃木坂46だけで集めたものではなくなってしまいます。であれば、単独でオーディションを開催することで「どれだけの求心力があるのか」という定性的疑問に一つの定量的な回答を生み出すことが出来ると思います。

また、この時期にオーディションが開催されるという事実もまた注目すべき点です。乃木坂46の運営陣が知りたいのは単純な乃木坂46の求心力ではなく「大半が3・4期生になっている乃木坂46の求心力」だとすれば、このタイミングでオーディションを開催する理由は多くの空き枠が生じたこと以外にもありそうです。

卒業ラッシュは乃木坂46の中でも主に1・2期生に生じています。彼女達は乃木坂46黎明期から乃木坂46を形作り支えている功労者達です。そんな彼女達が次々と乃木坂46を卒業している今、乃木坂46はオリジナルでなくなりつつあります。

1・2期生は高山一実さんが卒業すると合計で11人となります。1期生が6人、2期生が5人です。このように改めて数字で見ると、乃木坂46の構成員のほとんどが今となっては3・4期生になっていることが分かりますね。

組織構成においてオリジナルのメンバーには高い存在感がつくものです。たとえ少数といえども、ファンにとっても後輩のメンバーにとってもその存在感は非常に大きいように思います。そしてこの存在感は乃木坂46の人気と強い関係があります。「ロス」というものは存在感の喪失に起因するファンの憔悴であり、そのメンバーがいるからこそ得られ保たれている人気というものは確かにあります。

しかし、卒業する可能性が高いのもまた1・2期生であり、彼女達の存在感は失われやすいものです。この状況から考えると、乃木坂46を商品として提供している乃木坂46の運営陣は、仮に1・2期生が全員卒業しても乃木坂46の人気を持続・成長させるための施策を考えずにはいられません。より細かい表現をすれば、どうしたら1・2期生がもつ存在感を3・4期生、そしてこれから加入する5期生にもたせられるのかということを考え、効果的であろう施策を実行するということです。

3・4期生をセンターに据えた楽曲を連続して発表したり、3・4期生の9th birthday LIVEが4日程の後半に開催されたり、4期生だけで音楽番組やバラエティ番組に出演したりするのはファンに3・4期生の印象をより強く与える効果があり、この施策の一部であると捉えることが出来ます。

その施策が功を奏したようです。乃木坂46の運営陣が、1・2期生の卒業ラッシュが続くなかで主に3・4期生に活躍の機会を与え続けてきた結果、今の乃木坂46の中で最も注目されるのは想定通り3・4期生になりました。

1・2期生ではなく、3・4期生が最も注目されているこのタイミングで、5期生のオーディションが開催されるのです。

これにより、オーディションに応募する女の子の大半に3・4期生の誰かへの憧れや印象を抱かせることが出来ます。その結果で得られるオーディションの応募総数は、3・4期生が中心となるこれからの乃木坂46の求心力を表す重要な指標になりうるものです。

大抵の人が乃木坂46の存在を知っているこの時代において、乃木坂46にどんなメンバーが所属しているのか全く知らないままオーディションを受ける人はかなり少ないでしょう。

僕は応募資格である「満12歳~満20歳までの女の子」だったことがないので当事者の気持ちをあくまで予想することしか出来ませんが、そのような女の子であれば、現メンバーの誰かしらの存在を知り、憧れを抱き、若さゆえの勢いにまかせてオーディションに応募してくるのが大半だと思います。

オーディションのホームページがこれまた賢く出来上がっているのです。実際に応募フォームを見ると、1次審査が如何に気軽に応募出来るのかが分かります。写真を添付していくつかの質問に回答すれば応募が完了するのです。このような応募までのUIが設計されていれば、応募者は若さゆえの勢いを失わせることなく応募ができます。

最終的に得られたオーディションへの応募総数は、10年目という節目で次世代に生まれ変わりつつある乃木坂46が若い世代にどれだけの求心力を及ぼしているのかを示す指標のひとつであり、それは今後の活動方針やその内容の検討材料になるはずです。

例えばオーディションに応募してくる女の子を「オーディションに応募してくるほど熱烈な乃木坂46のファン」と仮定しましょう。それはこれからの乃木坂46を担う3・4・5期生と同世代・同性の顧客です。

3・4・5期生と同世代・同性のファンとは、乃木坂46のメンバーと一緒に歳を重ねていく女性ファンであるということです。一緒に歳を重ねていくことで親和性が高くなるとするならば、このような人達はきっと根強いファンであり、LTVが高くなることが期待出来ます。

短絡的ですが、このような仮定を行うだけでもオーディションの応募総数は乃木坂46の現メンバーと同世代・同性の顧客に対して、乃木坂46がどれだけの求心力をもっているのかを知る手がかりとして活用できるのです。


「みんなで応募」という試み

今回のオーディションで注目されている新たな試みとして「みんなで応募」という、最大3人のグループで1次審査に応募するというものがあります。

これまでのオーディションは応募者が一人で応募する、いわゆる「通常応募」のみが行われていましたが、今回は「通常応募」と「みんなで応募」が同時に行われています。これを聞くだけでもなかなかに興味深い試みですね。

1次審査が写真を送っていくつかの質問に回答する方式であることから考えれば、1次審査で最も重要視されているのは「通常応募」と「みんなで応募」に関わらず、応募者の容姿であると見て間違いないでしょう。

応募フォームに設置されている質問は下記のものですが、当たり障りのないものや、容姿を具体化するもの、恐らくは過去の恋愛歴を把握してスキャンダルを防止するためのSNSアカウントを回答するもの等、アイドルのオーディションであればおよそ一般的であると考えられるものでした。であればよほど意味不明な回答をしない限り、これら一般的な設問に対する回答が理由で落選することはなさそうです。

・お名前 (本名)
・写真
・生年月日
・学校名
・身長
・体重
・SNSのアカウント名やID
・チャームポイント
・今まで頑張ってきた習い事や資格
・影響を受けた本、映画、ドラマなどと その理由
・プロダクション・劇団等に所属した事があれば、所属先名と期間
・乃木坂46の中で好きなメンバー
・最近一番気になっている、身の回りのニュース
※「みんなで応募」で応募しようと思った理由 ← 「みんなで応募」のみ

【「みんなで応募」で応募しようと思った理由】が設問されていることから考えれば、乃木坂46の運営陣にとって「みんなで応募」はまさに試みそのものであり、このような方式のオーディションがどのような効果をもたらすのかを把握したい意図がありそうです。これは、もしかしたら本当に気まぐれに採用された方式なのかもしれませんね。もしくは自分達の思惑通りの応募がどれだけ得られているかを把握するための設問なのかもしれません。

さて、単純ですが、僕は「みんなで応募」方式には応募者の属性を可能な限り2極化させる効果があると考えています。ここで言う2極とはいわゆる「宝石」と「原石」のことです。「宝石」とは自分に自信をもって強い自己顕示欲を抱くギラついている人材、「原石」とは自分の魅力や可能性に気づいないどちらかというと消極的な人材を比喩しています。

「宝石」の人は、その意欲故になんとしてでもオーディションに合格しようと考えるでしょう。その手段として「みんなで応募」を利用してくると思います。そして「みんなで応募」で自分の周りを固めさせるのは、自分よりも容姿が劣っていると判断した人だと思います。つまり審査員に対して自分との比較対象を明示し、自分の容姿が如何に優れているかをアピールしようとするではないでしょうか。

なお、このような内容を書くと人間の心の闇に触れるような雰囲気が出てしまい、まるで「宝石」の人が悪い人だというような論調に見えるかもしれません。しかし僕はそのような印象を与える意図もなければ、「宝石」の人が悪い人だと述べるつもりもありません。オーディションとは元来競争であり、如何にして競争相手より優れていることをアピールして勝利するかを考えるべき行事です。そのような性質をもつ行事に自ら参加するのですから、少しでも勝ち進んでいけるように戦略を練るのは当然です。そういう意味で「宝石」の人はオーディションという催しにおいては正当な存在です。

そして「原石」の人は、「宝石」の人の周りを固めるか、単純に仲の良い友人と一緒という形で応募してくるでしょう。興味はあるけど一歩踏み出す勇気がないという人であれば、尚更友人と一緒に応募してくるかもしれません。もしくは最大限に積極的になって「通常応募」をしてくるでしょう。自分がオーディションに合格することよりも、オーディションを受けること自体に意味を見出し、友人への貢献や協力を重んじる傾向がありそうです。

このように「宝石」の人は競争意識が強く、それに対して「原石」の人は調和意識が強いと分析できると思います。

ここで考えたいのは、乃木坂46という組織には「宝石」の人と「原石」の人、どちらが適合するかということです。

これまでの乃木坂46を見ると、適合するのは「原石」の人だと思います。

乃木坂46初代キャプテンの桜井玲香さんもドキュメンタリー映画内で仲の良さや「始めは牙を剝いていた子達がいつの間にか牙が無くなっていたイメージ」と述べています。このコメントから推測すれば、結成当初はAKB48のような競争の恒例行事が行われると思っていたが実際はそうではなかったため、競争の意識が段々と薄れ、それに反比例して仲の良さが増大していったのではないかということが読み取れます。

それから時間が経過して競争の意識がさらに薄まっているであろう今の乃木坂46であれば、競争よりも調和を重んじる風土がより強く確立していることは間違いありません。実際に彼女達の仲睦まじさは様々なメディアで見て取れ、もはや競争の意識は皆無になっているのかもしれませんね。

また、乃木坂46の歴史を振り返ってみると、乃木坂46の運営陣も「宝石」よりも「原石」を求めていることが分かると思います。

大園桃子さんや与田祐希さんや遠藤さくらさん等、これまで表題曲のセンターを務めてきた3・4期生を見ていると、その属性は「原石」の傾向が強いと思います。選抜発表の際、彼女達がセンターを務めること明らかになった時には決まって「なんで私が!?」というような驚きと混乱が入り混じったような表情を見せていることから考えると、やはり彼女達は「宝石」ではなく「原石」だったと考えられます。

もし彼女達が「宝石」の属性が強い人材だったら、センターに抜擢された時に嬉しそうな表情をしたりガッツポーズの一つでも見せたりしたのではないでしょうか。

特に遠藤さくらさんは24thシングル「夜明けまで強がらなくてもいい」の選抜発表インタビューや、27thシングル「ごめんねFingers crossed」のセンター発表後のブログで不安や自信の無さを吐露しています。これはやはり彼女が「宝石」ではなく「原石」の属性を強くもっているが故の言葉でしょう。

乃木坂46の運営陣は、このような自分に自信をもっていない華奢な女の子が様々な経験を通して成長していく過程、つまり一人の少女の成長譚にこそアイドルとしての商品価値を見出しているのではないでしょうか。

最初は頼りなかった一人の女の子が徐々に成長していく姿にこそファンは愛情を抱き、アイドルを消費するのだとしたら、採用されるべきは成長しきっていない伸びしろを多く持つ人材、つまり「原石」です。

以上のことから「宝石」の人よりも「原石」の人のほうが、属性としても人材としても乃木坂46に適合すると思います。

適合する人材の性質が明確になることで、オーディションの選別基準・方法も明確になります。つまり「宝石」の属性が強いと感じ取れる応募があればメインの応募者の周りを固める人に注目し、「原石」の属性が強いと感じ取れる応募があればより容姿が優れている人に注目すれば、より乃木坂46に適合する人材を見つけ出せる可能性が高まるはずです。


「宝石」は不要なのか

乃木坂46に適合する人材について述べてきましたが、ここで「宝石」の人材について考えてみたいと思います。

企業の採用面接でも「マッチング」という言葉をよく聞くように、組織というのは可能な限り適合する人材を採用するのが自然です。乃木坂46においてもそれは同様であり、基本的に企業や組織が合わない人材を採用することは無いでしょう。

しかし、もし組織の責任者に「新しい刺激がほしい」とか「組織を変えていかなければならない」とかいう意識があった場合、それまで採用してきた人材とは異なる人材を採用することはあり得ることでしょう。

となると、もし乃木坂46の運営陣に「競争意識の一石を投じる人材を採用して乃木坂46に変化を生じさせたい」という意識があれば、「宝石」の人もある意味で適合する人材になります。

そのような意識があるのかどうか分かりませんが、オーディションが終わって乃木坂46に正式加入する5期生を一覧で見た時、もしかしたらほんの数人の「宝石」がいるかもしれませんね。そうなれば彼女達が乃木坂46にどんな影響を与えるのか非常に興味深いです。


まとめ

今回のオーディションのキャッチフレーズに「この世界の、未完成は美しい。」というものがあります。自分に自信をもてない女の子の背中を押す響きをもった秀逸なキャッチフレーズだと思います。

この言葉こそ、乃木坂46が「原石」の人を求めていることを象徴しているのではないでしょうか。今輝いていなくても良いのです。乃木坂46に加入してから輝いてくれればそれで良いのです。故に「原石」の女の子たちには自分の可能性を試すためにこそ応募をしてみてほしいと思います。

なお、応募こそ気軽に出来るようになっていますが、オーディション全体の流れを見てみると、実はこれまでの乃木坂46のオーディションよりも覚悟が問われるようなフローになっていることが分かります。

オーディションの最終段階に研修期間を設けており、その研修の内容次第で最終合否が判定されるようになっています。研修生になることはオーディションに合格することではないのです。

また応募資格には「遠方にお住まいの方で、研修生に選ばれた場合、速やかに上京・在住できる方」というものがあります。つまり、合格できるかどうか分からない研修生の段階で上京を要望してきていることになります。東京都に住んでいる女の子であれば問題ではないでしょうが、地方出身の女の子であれば応募するには相当な覚悟と気合が必要です。

オーディションの公式ホームページを読む限り、4期生と新4期生のように、研修生になる人と研修なしで正式加入が決定する人が生じるのかどうかいまいち判然としません。ただ、今回のオーディションでは最終選考者全員が研修生になるというように認識するのが正しそうです。このように選考フローを見てしまうと応募を躊躇したくなるかもしれません。

しかし僕は応募を躊躇している人ほど応募してみてほしいと思います。

恐らく「宝石」の人達はこのような応募資格を問題にすら思わず、なんのためらいもなく応募してくるでしょう。それに対して躊躇するということは「原石」の人であることの証であり、乃木坂46に適合できる可能性が高いと思います。

オーディションを受けるなかで、一次選考で落選する人や途中まで選考が進んだ上で落選してしまう人は出てきます。しかし、合否に関わらず、一歩踏み出せたことを誇りに思ってほしい。

雪崩のように過ぎていく10代の時期に自分の人生を一変させるような出来事に遭遇し、その機会を逃そうとしなかったその勇気を忘れないでほしいと思います。

以上、【「この世界の、未完成は美しい。」とは ~乃木坂46の5期生オーディションに対する考察~】でした!!

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