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【国宝探訪】兵庫・太山寺&朝光寺

この探訪記は、2015年6月28日のものです。よく訪れる広島の帰りに寄りました。

朝早くに広島を発ち、途中下車して、兵庫県で国宝探訪をしました。兵庫県の国宝建築も素晴らしいものがあると知っていても、姫路城と鶴林寺以外、交通の便が悪く、これまでなかなか足を運べませんでした。
特に、朝光寺は交通の便が悪く、数年前まで行くのを諦めていました。駅からタクシーと本に書いてあるものの、駅から相当離れているんです。しかし、4kmほど離れたところにバス停があることに気づき、そこからタクシーなら行けるかなと。そのバスも1日に数本なんですけどね…。
朝光寺と一緒に神戸市内にある太山寺にも行くことにしました。

まずは、太山寺。神戸市内と言っても、観光地とは違うエリアらしく、こちらもバスの本数は多くはないです。太山寺は境内もそれなりに広く、国宝に指定されている本堂も大きなものでした。そして、参拝客も多くはないにしろ、途切れることはなかったです。

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本堂は前面は蔀戸ですが、側面の後ろ半分と背面は白い壁でした。
見るには支障はなかったのですが、石段の手すりが邪魔になったり、木の葉が茂っていたりして、写真を撮るのは難しかったです。撮影にてこずっているうちに、カメラの電池マークがチカチカし始めました。マズい…。朝光寺まで頑張れ!電池!!
撮影を減らした分、逆にしっかり見た気もします。


太山寺からバス、地下鉄&北神急行、神戸電鉄を乗り継ぎ、三田(さんだ)へ。そこからバスで1時間。ようやく上久米朝光寺口というバス停に到着。このバスが今回の旅行のクセ者で、無料時刻検索サイトと時刻が違っていたんです。公式サイトで時刻検索すると、正しい時刻の方が行きは早く、帰りは遅いという最悪なパターンでした。たまたま余裕を持って新幹線の切符を買っていたので、大丈夫だったんですけどね。

行きのタクシーはその場で呼んだので、思っていたより時間がかかったものの、事前の情報では朝光寺は近所のお寺の人が管理していて、外からしか見えないから、そんなに時間を使わないだろうと思っていました。
帰りのタクシーも下車した場所に迎えに来ることを確認して、いざ!…って、いきなり脇の林道に矢印があるんですが、この道なの?石段を上っていくはずなのに、道は下がってるし。急がば回れ、タクシーから下りるちょっと前に案内板が出ていたので、それを見に行きました。

そこまでの間に、上を見上げるとこんもりとした木々の間から目指す建築の影が見えるではないですか!でも、どっから上るのよ?案内板を読むと、さっきの林道を下った先に石段があることが判明しました。案内板のある場所にも車が止まっていたのですが、こんなところに誰が置いていったんだろうか…。謎が多すぎる…。

小走りで林道まで戻り、誰も通ってないでしょ…って言いたくなるような蜘蛛の糸を避け、少し進むと滝の手前に石段がありました。あぁ、やっと辿り着いた!と晴れ晴れとした気分で石段を上ると、人の気配が。嘘でしょ、誰もいるわけないじゃん!
なんと、観光ボランティアの皆様が待ち構えていたのでした。
見たいところだけ自由に見たかったのに…。時間もないのに…。でも、満面の笑顔で、「どうですか?」と言われると断れなかったのです…。
しかも、「時間はどのくらいかかりますか?」と伺うと、「いくらでも」と言われ、あぁ…と思いながら、「時間がないので、10分で」と言ったら、「10分!ずいぶん短いねぇ」とガッカリさせてしまいました。
「いやぁ、東京から来て、車を予約しているので、時間がないんです」と言うと、「え、東京!?東京からわざわざ来たの!?それなのにそんなすぐに帰っちゃうの?」とかなり驚かれつつ、さらにガッカリさせてしまいました。

しかし、さすがは慣れていらっしゃるようで、時間を気にしながら、ざっと説明してくださいました。しかも、入れないと思っていた内部に入れたんです。ボランティアさん曰く「いつもタダで入れる国宝なんて、そんなにないよ」と。ボランティアさんは土日祝日に活動しているので、平日はわかりませんが、ボランティアさんの口振りだといつも内部に入れるようです。(※ 行かれるときには、この情報を鵜呑みにせず、必ず加東市観光協会等に確認してください。)

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内部の全体の構造も素晴らしかったですし、特に海老虹梁が素敵でした。見られると思っていなかったので、とても嬉しかったです。外観は和様に禅宗様の桟唐戸や大仏様の双斗が使われていました。これぞ折衷様!という感じでした。

厨子の扉が閉まっていて見えませんでしたが、ご本尊が二体いらっしゃることと、片方の千手観音は三十三間堂から来たと伝わっていることを大事なポイントとして説明してくださいましたので、紹介しておきます。

本当は国宝の建築だけガッツリ見るつもりでしたが、ボランティアさんの話がとてもよかったので、これはこれで満足しました。
写真を撮ろうと思ったら、荷物を持ってくださったり、撮影ポイントを教えてくださったり、とってもあったかい皆さんでした。

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一ヶ所、曲がった木をそのまま柱に使っていると教えていただいて、感心しきりでした。説明をしていただいた方から名刺をいただいたんですが、「加東市観光ボランティアの会 会長」と。どうりで説明がうまいわけだわと思いつつ、会長さんをガッカリさせてしまったのか…と恐縮しました。
すっかり打ち解けて、こちらからも話しかけたりしているうちに、本当にあっという間に時間になってしまい、後ろ髪を引かれる思いで、朝光寺を後にしました。

しかし、時間になってもタクシーがやって来ません。時間に余裕があったので、少し待って来なかったら、電話してみようと思ったら、タクシーがやって来ました。最初見に行った案内板のところに差し掛かると、ボランティアの皆さんが見送りに出てきてくれていたんです!実は、石段じゃなくても、案内板の場所まで裏から簡単に行けると皆さん仰っていたんですよ。手を振る皆さんに手を振り返しながら、「あの人たち、ボランティアさんなんですよ」とタクシーの運転手さんに言うと、「どうりで。あの人たち、ここで待っていたら、「お客さん、あっち!」と口々に教えてくれたんですよ」と。
なんて親切な方たちなんでしょう!
行くのを諦めかけていた場所で、素晴らしい出会いがあるなんて、こんなこともあるんですね。素晴らしい建築に素晴らしい出会い、朝光寺は思い出深いお寺になりました。

行けないと思っていた朝光寺に行くことができて気が抜けたのか、新神戸駅に向かう途中、うっかり寝過ごしてしまいました。ギリギリ新幹線の時間に間に合いましたが、長いこと国宝探訪であちこちを訪れていて、寝過ごしたのはこの時だけです。この探訪は本当にいろいろな思い出があって、国宝探訪の話をするときはまず最初に伝えたいくらいです。

基本情報(2022.1現在)
※ ルートは私が探訪時利用したものを基本としています。

太山寺 兵庫県神戸市西区伊川谷町前開224

伊川谷駅から神姫バス「太山寺」下車 徒歩5分

公式サイト → http://www.do-main.co.jp/taisanji/index.html

朝光寺 兵庫県加東市畑609

三田駅から神姫バス「上久米朝光寺口」下車 タクシー10分(4km)

公式サイト → なし


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