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イマジン?【読書記録#5】

主人公を応援したくなる、メディアスタッフお仕事小説。
有川ひろさんの「イマジン?」(2020年1月出版)です。

あらすじ

主人公は、良井良助(いい りょうすけ)。27歳。

幼い頃に見た怪獣映画「ゴジラVSスペースゴジラ」に地元の大分県別府市が出ていたのに感動し、映像界への就職を志します。

福岡の映像専門学校を卒業して、東京の映像会社に内定をもらいます。

ところが、入社初日に映像会社を訪れると、もぬけの殻。
夜逃げしたようだ、とのこと。

しかも、同業者にかなり迷惑をかけたやり方で逃げたらしく、その後の良助の就職活動にも、支障をきたしてしまいます。

履歴書にその会社の名前があるだけで煙たい顔をされて、全然雇ってもらえません。

そんなことがあって、バイトで生活費を稼ぐ日々を過ごしていました。

ある時、バイト仲間の佐々健治(さっさ けんじ)に誘われ、撮影現場のスタッフとして働くことになります。

テレビや映画製作の裏側、スタッフのドタバタ

お仕事系のストーリーです。

各話のタイトルは、良助が関わるテレビや映画のタイトルになっています。
次から次へといろんな現場で多岐にわたる仕事をこなしていきます。

テレビ業界や映画業界に興味がある人は特におもしろく読めるのではないでしょうか。

ドラマや映画のエンドロールには、演者やプロデューサーだけでなく、たくさんの名前が出てきますよね。
その人たちがどんな風に関わっているのか、特に制作スタッフとして関わる方たちがどんな仕事をしているのか、雰囲気を感じられる内容です。

主人公は、ひたむきで、空回りすることもあるけれど、その空回りも周りを和ませる豆柴のような男性です。

変則的な現場での瞬発力、不測の事態への臨機応変な対応…。
もし自分がその現場にいたら、絶対混乱して動けなくなっちゃいそう。

今、何をしたらいいのか?何をすれば周りがなごむのか?
喜んでもらえるのか?

「絶対にこれ!」という正解のない気づかいのコミュニケーション。

必要なのは、想像力。
イマジネーションです。
とことん考え抜いて、現場を乗り切っていきます。

有川ひろさんの過去作もちらり

有川ひろさんの小説は、いくつも映像化されています。

たぶんですが、その経験から執筆されるに至ったのかな、と思いました。
(きっと監修として、数々の番組制作現場に足を運ばれたこともあるのではないかな、と勝手に想像しています)

この本を読み進めていくと、「あれ、このテレビの現場って、もしかしてあの過去作がもとになってる?」なんて思い当たることも。

主人公がファンだと公言する、女優の喜屋武七海(きゃん ななみ)は、私の中では完全にガッキーで再現されていました。(笑)

周囲から「イー君」とかわいがられる主人公。
彼の成長をほほえましく見守りました。

さわやかなお仕事小説、という印象でした。
ドラマ化とか、されないかな…?

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